仲邑菫さんの試験碁、張栩名人との対局で先番6目コミ貰いの手合いです。
この碁は、下記の2図と、ヨセで数目損が1手あっただけで、後はこれという
指摘する手はありません。2図も高いレベルの疑問手で、みなさんに解説する
のが難しい碁でした。
実戦図1
45で押しましたが、LeelaZeroはコウをもっと争えと言っています。
ここでLZでは、白の勝率がアップしました。
とはいえコウ材が難しいので、一流棋士の判断力が必要な局面だと思います。
参考図1
上辺のヒラキでは、2子取りを決めたほうが良かったのでは、という解説
がありました。手抜きは死が残るので、アマでもわかりやすい先手なのですが、
このクラスになると、すぐ形を決めるのは良くない、後でもっと得する可能性
があるかも、と考えてすぐには打たなくなります。
この碁は、仲邑菫さんがほとんどの着手を90~95点の手で打ち切ったといえます。
特筆すべきは、95点というのは、仲邑さんにとっての95点ではなく、張栩名人の
着手と比べての点数です。崩れることなく最後までいくのは恐ろしいことです。
若手の頑張りというのは、大体は積み重なると無理になることが多く、ポキっと
折れるのですが、彼女は崩れません。また、ということは張栩名人はほぼ100点の手
を打っているということで、それは本気で負かせにいっているということです。
張栩名人・井山五冠を一時でも本気にさせるというのは、凄い才能といえるでしょう。
余談ですが、高尾9段は、この碁の譜を見て文句なく入段OKだったそうですが、その後に
プロフィールを見て目が点になったそうです。9才・・・。
高尾9段はプロを目指す決心をつけたのは10才の時だったそうですが、その時9段
のプロに3子で負けたそうです。
話は変わって、彼女の入段に関して、多少の批判もあるようですが、私の考えは、
ダイヤの原石はダイヤでしか磨かれない、です。それと、この制度を推進したのが、
元ダイヤの原石の小林覚理事(小林先生ごめんなさい)だということです。小林理事
が必要、と言っているわけですから、それ以上に説得力のある話はないと思います。
外野の石ころがあれこれ言ってもうるさいだけで、意味はないと思います。