人生
犬生や猫生すがる人ありて
女房より猫が好きと言ったひとがいましたっけ
人なくば生きられまいか人の生
「人生」から「人」を引けるのでしょうか?
生涯を架ける吊り橋 亀が行く
人の歩みは、たどたどしくて危なっかしくて
回れ右! できぬナメクジ転がって
方向転換できないならその場で転がるという選択肢もありそう
ぶっきら棒 胸につかえる熱いもの
目が笑っていない―そう言われるけれど、あふれたい情熱はあるのです
人生の虹はいつでも爪(つま)立ちで
幸福と思えることも幻かも。でもそれを探す、探したい
寺詣で牛の額に汗にじみ
常に信仰心を燃やすのは難しい……
鬼女の里 狼男と夫婦箸(めおとばし)
お似合いの夫婦と呼ばれるまでには葛藤もあって
死に時を逃した草も引き抜かれ
生き死には自分で決めるものではないようで
ごっつぁんと柩(ひつぎ)ほほ笑む仰向いて
最期は天に向かってご挨拶
えっ、これではない? わが神は
見えない存在でも、それに賭けた人生なら悔い無し
角刈りのイエス・キリスト陽に焼けて
イメージぴったりの神さまって、逆に怪しい
●ご訪問ありがとうございます。
「人生」という言葉を含む俳句を読んでいると、遠くから眺めるか、無常観でいろどるか、軽く触れるかのものが少なくないと思いました。
そのなかで、高濱虚子の
人生の台風圏に今入りし
が、興味深いと思いました。「人生の台風圏」が、虚子の追い求めた花鳥諷詠に属するかどうか分かりませんが、わたしには響いてきました。
人みなちょぼちょぼ、生涯で一度も「台風圏」に入らないような、安穏な人生などないと思うのです。