三好達治に導かれて
三好達治の「乳母車」という詩に導かれた。
乳母車 三好達治
母よ――
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり
時はたそがれ
母よ 私の乳母車を押せ
泣きぬれる夕陽にむかつて
轔々(りんりん)と私の乳母車を押せ
赤い総(ふさ)ある天鵞絨(びろおど)の帽子を
つめたき額(ひたひ)にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空を渡るなり
淡くかなしきもののふる
紫陽花いろのもののふる道
母よ 私は知つてゐる
この道は遠く遠くはてしない道
(三好達治「測量船」青空文庫)
母
だれにも母在り。
そばにいても居なくても。元気でも病んでいても。豊かでも貧しくても。心開いていても閉ざしていても。
だれにも母在り。
大きくても小さくても。太っていても痩せていても。おしゃべりでも物静かでも。美しくても綺麗でなくても。老いていても若くても。
だれにも母在り。
わたしにも母在り。
あなたにも母在り。
●ご訪問ありがとうございます。
今日は母の日。母は特別な存在です。亡くなって久しいですが、いまも心に熱く生きているのです。