斎藤隆介「花咲き山」に導かれて
斎藤隆介「花咲き山」に導かれた。
ひとはどれだけ悪くなれるか
それはみんな知っていることだ
ひとはどれほど善くなれるのか
それはなかなか分からない
だから心は
善い事さがしに懸命なのだろう
―やさしいことをすれば花が咲く*
という
ひとのために一つ優しいことをしたら
知らない山辺に美しい花が一つ咲く という
せつないニンゲンの一生に
一輪でもうつくしい花が咲かせられたら!
*斎藤隆介『斎藤隆介童話集』所収「花咲き山」から引用、角川春樹事務所、ハルキ文庫。
この童話集には「ベロだしチョンマ」「八郎」「モチモチの木」など、弱者の位置に立ち続けるという反骨精神を土台に据えて、人間の優しさ・温かさ・けなげさ・勇気・自己犠牲などの尊さをまっすぐ追い求めた作品が数多く収められている。
★たんぽぽの 何とかなるさ 飛んでれば
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。
童話は好きです。絵本も好きです。ストレートに人間の「善」を探っていけるものだと思います。もちろん「悪」を知らないのではありません。マイナスの人間性を重々承知のうえでなお「善」なるものを追い求めるひたむきさが、わたしは好きなのです。