ヘンな父
1
―うちの母ってヘンですか?*
この漫画に描かれたかずかずの母親
たいがい 自分を善人と おもっている
たいがい 心配性だが 気が利くと思っている
たいがい お節介だが 世話好きとおもっている
たいがい ねたみ屋なのに 心がひろいと思っている
これってハハオヤだけのことか
チチオヤもそうじゃないのか
たいがい 自信家
たいがい 自分を反省しない
―うちの父ってヘンですか?
そういう漫画が出たら 怖い
ほとんどオレのことだ
*田房永子『うちの母ってヘンですか?』秋田書店
2
夢をみた
息子三人が出てきた
顔ははっきりしないが 息子だとわかった
息子は口々に
「もういいよ」
「もういいよ」と云う
三番目の息子はわたしを抱いて
「もういいよ」と
耳元で何度もささやく
わたしは気づいた ぼんやりとした頭だが
息子たち わたしを赦してくれている!
ダメだったオヤジを ゆるしてくれている!
トイレで目が覚めた
目のあたりが何となく濡れていた
●ご訪問ありがとうございます。
親はあっても子は育つ、と、太宰治がいいました。わたしも共感するところがある父親です。父親をモデルとして育たなかったわたしは、「父」というのはどういう存在か、どうするものなのか、ほんとうに分かりませんでした。ハチャメチャナな親父だと悔いることを、何度もしでかしました。
そのわたしを夢の中で赦すと言ってくれたのです、むすこたちが。現実の出来事ではないのに、妙にリアルでした。たくさんの罪意識をひとつ、ほどかれた気がしました。