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ゲーマーによるチャリティ - Child's Playはもっと語られるべき

2007年12月24日 07時19分29秒 | Game



海外のゲーム系ニュースサイトが毎年この時期になると必ず取り上げるニュースの一つに
ゲーマー達が企画したあるチャリティの話題があります。


Child's Play
http://www.childsplaycharity.org/

Child's Playとは、世界中の病院で闘病生活を送る子供達の元へ
ゲームや本、おもちゃなどを届ける事を目的として
人気ウェブコミックサイトのPenny Arcade (http://www.penny-arcade.com/)
2003年から行っている非営利のチャリティ活動のこと。

日本でこのChild's Playを紹介する記事としては、既に3年前に
Radium Software Developmentさんが素晴らしいエントリを書かれているので
うちみたいなうんこBlogがいまさら取り上げても詮無い話なんですが
ゲームファンによる社会貢献としても、ネット・チャリティの手法としても
面白い点が多々有るのに、あまりにも日本で取り上げられる機会が少ないので
もっと知られて欲しいという気持ちも含めて「Child's Playはココがすごい!」ってのを
ちょっとばかり書いてみようかと思います。


  • ゲーマーによるチャリティ
Radium Software Developmentさんも言及されている部分ですが
普段、ゲーム害悪論を標榜する外部メディアから、
銃犯罪の要因だの、脳に悪影響があるだの、いわれの無い批判を浴びせられている
ゲームとゲームファンたちの良心を、チャリティという形で世に示すことが出来た功績は、
実際のチャリティの成果以上に大きいものがあると思います。

// 以下は最近放送されたニュース番組




  • 個人サイトから始まった
Penny Arcadeは、Jerry Holkins(Tycho)とMike Krahulik(Gabe)の二人の共同コミック作家による
コラムや風刺コミックを掲載するための場であり、基本的には彼らの個人サイトです。

もちろん、200万PV/dayを超えるアクセス数(GIGAZINE以上ですわな)と、
ゲームコミュニティへの絶大な影響力を持つ有名ウェブコミックだからこそ
Child's Playもここまで成功したわけですが、特定の企業や業界団体ではなく
オタ系個人サイトからスタートしたチャリティというのは注目すべきでしょう。


  • Amazonのウィッシュリストをチャリティに応用した
Child's Playの仕組みは、協賛する病院が子供たちのために用意したAmazonのウィッシュリストを参考に
賛同者がそれぞれ「自分が子供たちに送りたい」と思ったアイテムを選ぶというもの。

この仕組みは、多くの人が慣れ親しんでいるサービスを媒介とすることで
余計な手続きを踏まずにチャリティに参加できるという点や
「どこの病院に」「何を送るのか」を選択可能なことで
賛同者がチャリティへ「参加している」実感を得られるという点で優れています。
また、Amazonという信頼性のある企業と協力する事で、チャリティの透明性も高める効果もあります。

日本じゃ全くと言っていいほど使われていないAmazonのウィッシュリストですが
これって、ネットを使った募金が苦戦している(そしてAmazon隆盛の)日本でこそ注目されるべき
チャリティの形だと思うのですよ。いやマジで。


  • 多くのウェブサイト・ブログ・コミュニティが協力している
最初にも書きましたが、毎年この時期になるとゲーム系ブログ・ニュースサイトが挙ってニュースを取り上げたり、
掲示板サイトやコミュニティサイトでは独自に募金を募ったりして、Child' Playへの貢献を積極的に行っています。

私が巡回しているゲームアレンジコミュニティでも
OverClocked ReMixは今年からトップページにChild's Playのバナーを掲げていますし
OneUp Studiosも、彼らが過去に関わったゲームアレンジCDから、今や入手困難なアルバム*1を含む
全12枚(+グッズ)をeBayに出品して、その売り上げを全て寄付しました。


  • 企業をも巻き込む広がり
Child's Playのトップページには、貢献の大きさに応じて
Platinum,Gold,Silverに格付けされた企業スポンサーのロゴが表示されています。

これは単に寄付をしたというだけでなくて、例えば今月11日に開かれたチャリティディナーでのオークションでは
HaloのBungieとHalf-LifeのValveのスタッフが出席して多くのオークションアイテムを出品したり
MMORPGのTabula Rasaは、「ゲームのNPCにあなたの名前を付ける権利 (リチャード・ギャリオットのエスコート付き)」を
チャリティオークションに出品するなど、各社がChild's Playのために特別なチャリティを用意しているほか、
米国任天堂もスポンサーリストにこそ名を連ねていませんが
DS本体やソフトを特別なディスカウント価格で提供するなどして、Child's Playの活動に配慮を示しています。




さて、こうしてChild's Playの元へ寄せられた募金やプレゼントの総額は、
過去4年間で100万ドルを越え、世界中の病院と、
そこで病気と闘っている子供達へと届けられています。
さらに、今年度は現時点で既に97万ドル(約1.1億円)もの貢献が寄せられ、
チャリティにとって大きな飛躍の年になりました。

これほど大きく成功しているのに、「何でもっと語られないの?」と思ったので紹介しましたが
本当はこんな穴だらけの紹介より、ジーパラやWired Visionあたりがちゃんとした形で取り上げてくれるのが一番良いんですよねぇ・・・。
もう長年続いているチャリティなので、いまさらイチから取り上げるのは難しいのかしら?



以上、クリスマスってことでゲームにまつわる素敵なチャリティのお話でした。
将来的には日本の病院も参加するようになるといいなぁ!



*1 完全に余談ですが、『PMM: A Tribute to Nobuo Uematsu Gold Edition』は海外の同人アレンジCDの中でも最も希少価値のあるアルバムの一つです