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経済破綻③97年東南アジア

2006-10-13 | 経済(特に韓国)

タイの通貨危機はなぜ東アジアに波及したか。

 

タイにおける通貨・金融市場の混乱は、数週間後には、インドネシア、マレーシア、フィリピン、また、これら3国に比べ程度は小さいもののシンガポール、台湾に波及し、更に香港にまで及んだ。

これらの国々は、マクロ経済状況から見る限り通貨・金融市場の混乱が起こる要素は少なかったし、タイの場合と違いそれ以前に市場において徴候があったわけでもない。また、各国それぞれについて見ると、その経済構造、産業構造は、一次産品への依存度が依然高い国から、ハイテク製品の輸出が主流となっている国まで、また、一人当たりGDPをとってみても大きな違いがあった。 
 

伝染が生じた要因としては、市場におけるこれら各国通貨に対するパーセプションが、タイ・バーツの大幅下落を受けて一挙に変わったことが指摘されている。そのような市場の変化をもたらした1つの背景としては、それまでのアジアの高成長の過程でこれら各国が域内貿易の依存度(資料8参照)をはじめ、相互依存の程度を高めていた ことが挙げられる。また、特に波及の大きかったインドネシア、マレーシア、フィリピンについては、以下のような点につきマーケットが着目したことが指摘されている。


 

 

アセアン通貨危機の背景

 

①為替の過大評価
程度の差はあれ自国通貨をドルにリンクしており、ドル高に伴い実質実効為替レートが上昇し、輸出競争力の低下が懸念された。これにより、タイ同様中国等の後発国との競争にさらされるようになった。


②輸出主導型の経済構造
各国とも輸出主導型の経済構造を有しており、輸出競争力の低下(為替相場の上昇・労働コストの上昇等による)の影響を受けやすい。


③短期対外民間債務の積み上がり
これまでの外資導入促進に基づく成長政策の中で、民間債務、その中でも短期の債務の積み上がりに対する懸念が生じた。


④構造問題等
ファミリービジネス等に代表される採算性への考慮を欠いた過剰投資とそれを支えた金融セクターの不透明さ、脆弱性が表面化したほか、一部の国では政治的安定性に関する疑念が生じた。 
 

いずれにしても、タイの場合には、96年ごろより通貨市場への圧力が高まっており、97年7月にタイにおいて通貨危機が発生したことは、必ずしも驚きではなかった。しかし、これらの国においては、同様の兆候は市場において表面化しておらず、これらの国にタイの通貨危機が大規模に波及し、更にそれが各国経済に大きなインパクトを与えることになったのは、予想を超えるものであった。



salamat po



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