私は次の記事が気にかかる。どういう意味なのか。
【ソウル２３日聯合】
銀行が自営業者など実需要者以外への外貨建て融資を事実上全面的に中断している。
下半期に入り金融監督院が円建て融資の特別管理を指示したのに続き、最近になり韓国銀行も指導に乗り出しており、外貨建て融資が事実上中断したことから市場には大きな影響が予想される。
ソース 聯合ニュース
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=482006082302300
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ぱっと見ると，いよいよ韓国経済が崩壊しそうになっているように見える。
韓国が外国から輸入しようとすれば，外貨が必要となる。ウォンでは決済できないからだ。外貨を多量に保有していれば問題ないが，そんな企業は少ないだろうから，通常企業は外貨建て融資で外貨を調達し，輸入の代金支払いに当てることになる。その外貨建て融資を中断するということが何を意味するかは明瞭だ。輸入できなくなる企業が続出するということだ。
韓国は石油や部品・製造装置等を外国に頼る国。実需を削って輸出入にダメージを与えてまで，外貨への換金を抑止するのは，加工貿易国にとっては自傷行為。数十年前の日本も，景気が良くなると，外貨が逼迫して不況入りを繰り返してきた経緯がある。基本的に経常収支が赤字だったからだ。しかし，現在韓国は景気が悪い。ウォン高と原油高と韓国の産業の輸出競争力が低下した為である。景気がいいから外貨が逼迫した日本とは中身が違う。
なぜこのような処置をしたのか。新規貸し出しできないくらい貸し出してしまい，手元資金が無くなったから と考えざるを得ない。
背景には：
1．ウォン高による外貨準備の含み損
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/17/20060117000037.html
２．為替介入によっては外貨準備高はあまり増えていない。
ウォンを刷るわけにもいかないので力弱く，最近の外貨準備高に影響 を与えていない。むしろ，為替介入時に韓国の年金資金にまで手を出し始めている。弊害の方が大きい。
３．経常収支が悪化し，外貨が枯渇した。
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/keizai/20060806/K2006080601960.html
４．特に対日貿易赤字が過去最高を記録し，支払のために円をできるだけ確保しておきたい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060814-00000004-yonh-kr
要するに，韓国経済は危ない，ということなのだが，次のような見方もできる。
●手元資金枯渇以外の韓国国内事情●
１．バブル対策
韓国は土地バブルにある。その資金を円で回してた人間が多い（これは韓国に限らない）。円は低金利だったから。しかし，ここにきて円安に陰りが見え，しかもゼロ金利解除したので，あわてふためいて脊髄反射的処置をとったのが今回の処置？
なお，韓国はバブル崩壊の兆しが見えるという。江南の家賃相場が３ヶ月前に比べて１０％以上下落しているらしい。
２．ウォン安誘導の一環
外貨建て融資が中断ということは、企業が支払いの為にウォンで外貨を買わねばならない。外貨の価格が高くなり，ウォンが安くなる。
３．モラルの遵守
日本からの低金利融資等の支援が杜撰な審査の元に目的外に使われていたので，当局が引き締めを図っているだけ。
http://www.asahi.com/business/update/0526/149.html
資金の枯渇以外で外貨融資を止めたのであれば大変な愚行。日本のバブルが崩壊したのは有名な宮沢内閣の総量規制からである。蛇口を止めればどうなるか。日本は１０年以上その後遺症に苦しんだ。ノムヒョンは金持ちに対する嫉妬からバブル潰しを図っていると伝えられる。
しかし，記事を信頼するのなら，「事実上外貨融資が中断した」とある。いくらノムヒョンが馬鹿でも，官僚はまともな人が多いだろう。進んで首を吊るようなことをするだろうか。やはりそうせざるをえない理由，資金が枯渇していると考えざるを得ない。
私がいまひとつ納得できないのは，この政策がとんでもないと思うからである。韓国経済に赤信号がともっているのは間違いない。上に政策あれば下に対策あり，という国だから額面通りには受け取れないが，想像以上に韓国経済は疲弊しているのかも。
※ちなみに，タイにおいて外貨融資規制が通貨危機の誘引の一つになっている。
