は横目で三木を見る。
「拙者の目から見ると、あれは相当悪いかと。休息所など、のいいお払い箱でしょう」
「やはりそうか?アイツら…おつむが良くないんだな。仲間割れなんざしている暇かって話しよ」
寝物語にしては品の良くないそれを伊東は黙って聞いていた。
──違う。yaz 避孕藥 彼らの関係性は仲が良いとか、悪いとかそう言った陳腐な言葉で表すことは出来ない。
伊東は先日の出来事を思い出した。
山南が休息所へ移動する前夜のことである。伊東は山南の部屋を訪れていた。
『やあ、山南君。明日から療養と聞きましたよ。寂しくなりますね…。貴方のお陰では隊に残ることを決めたというのに…』
『伊東君なら、心配することは有りませんよ。私も体調が良くなったらまた戻って参ります。その節は宜しくお願いしますね』
山南は微塵たりとも、屯所移転の件について味方にならなかったことを根には持っていないらしい。
お人好し過ぎるのだと伊東は目を細めた。
伊東が山南を尋ねた理由は一つ。新撰組に根差す鉄の掟、"局中法度"について山南の意見を聞くためだ。
些細な事でも直ぐに切腹を申し付けかねられないそれを、伊東は疎ましく恐ろしく思っていた。
土方と馬が合わないことは薄々感じているが、あの男が副長職に付いている限り、下手なことをすればの首は何回でも胴体と生き別れになるだろう。
心根が穏やかで未だ"総長"という立場かつ、土方と折り合いが悪い筈の山南であれば、対抗馬になるのでは無いかと考えたのだ。
療養とは言え、脱退する訳でない。総長という役職と共に療養するのだ。権力や元々の人徳は死なぬ限り有効だろう。
しかも聞いた所に寄ると、秋頃に法度を巡って土方とやり合ったそうだ。局長非難をした隊士が切腹させられたとか何とかで。
これは山南も局中法度を疎ましく思っているに違いない。
『勿論ですとも。…して、山南君。新撰組は素晴らしい隊だが、法度に背いた隊士が切腹させられているという話を聞きました。これは真ですか』
伊東の言葉に山南は頷いた。伊東は口元に手を当て、嘆く振りをする。
『隊を纏める為に、規律が必要なことは分かります。ですが、何と過激な…。山南君はそれで良いのですか?たった一つの過ちで志を共にと、やってきた仲間の腹を切らせるなど!』
『そうですね…、中々厳しい法度だとは私も思います』
伊東の言葉を肯定するような山南の返答に、伊東は笑みを浮かべた。
『なら、山南君──』
『ですが、我々は浪士組結成当時からこの法度でやって来ましたからね』
神妙な面持ちの山南を、伊東は首を傾げて見遣る。
この言い方であると、まさか賛成なのか。
『山南君は…、まさかとは思いますが。局中法度に賛成なのですか』
『まさかも何も、法度を考えたのは土方君と私ですよ』
穏やかにそう言った山南の瞳は真剣そのもので。法度に対する疑いを持たない目をしていた。
『そうだったのですか…。だけを見せしめに切腹させるのは良くない。という事だ。
幹部を許すのであれば葛山も許されるべきだったのだ。
『そ…そうしますよ。人の噂なぞ、ろくな物は有りませんね。それにしても、山南君も食えないお人だ。土方副長と折り合いが
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