鎌田実の野球教室

元トラ戦士が分かりやすく指導!

中学硬式野球の発展に(4)

2008-12-31 11:59:43 | 少年野球


 硬式野球はお金がかかる。ボール代を筆頭にチーム用具費、大会費、交通費、グラウンド代など…。特に都会ではグラウンドの問題に苦労している。

 日本は昔から軟式野球の歴史があり、グラウンドもそれに対応しているから硬式野球ができるグラウンドがほとんどないのが現状である。

 たまに使えるグラウンドがあっても1日の使用料金が3万円だったりする。練習は土、日、祝日、春、夏休みなどだが、グラウンド確保のために早朝から親が並んで抽選を行ったり、狭い河川敷や車で1時間以上もかかる遠隔地だったりする。自チームの専用グラウンドを持っているチームは、オーナーが建設会社などごく一部である。

 昨年、日本プロ野球はWBCで王監督が率いて世界一に輝いた。日本が世界に誇るスポーツ技術をみせつけたのである。その底辺には、これまでこういう組織の頑張りがあったものである。しかし、用具代の高騰やグラウンドの問題が今後も解消しないと野球少年の減少やレベルの低下、指導者の意欲の欠如など硬式野球発展にかげりが出てくる危険性がある。

 中学硬式野球は時代にマッチしたレベルの高い野球組織である。今後も野球文化として世界に通用するためにも育てていくべきものであると思う。

 そのためにもプロ野球界はもっと深く関与、用具やグラウンドなどの野球環境作りに支援、協力体制をとるべきであると思う。

中学硬式野球の発展に(3)

2008-12-24 09:00:52 | 少年野球
 昨年、高野連が問題にした特待生問題、他府県から自分が目指す高校に進学、地元の部員より数が多くなったというのはいき過ぎの感もあるが、今や中学からメジャーを目指す国際化時代であり、あれもイカン、これも規制では子供たちの将来の道を閉ざし、個性を生かせないことにつながっていくと思う。

 野球界の発展や世界に羽ばたくための個性の育成の観点からも時代とともに変革の必要があると思う。

 先の北京オリンピックで日本は惨敗したが、韓国などは国をあげての支援体制をとり、その成果を見せ付けた。

 平成4、5年に私が近鉄の総合コーチだった頃、韓国の指導者がそろって春のキャンプに見学、勉強会に参加していた。当時の韓国チームのレベルは、日本のファームとほぼ同じくらいの力量であった。

 あれから15年、国をあげてのチーム強化が実を結び、今や日本を凌ぐ実力を備えた。

 それに比べると日本プロ野球界はアマチュアの基盤の上に乗っかって相撲をとっているに過ぎず、自ら汗を流して育成する努力が欠けている。

 亡くなられたが巨人の元監督の藤田元司さんが生前、中学硬式野球育成の重要性を説いておられたが、野球界を動かせるまでには至らなかった。

中学硬式野球の発展に(2)

2008-12-16 13:50:05 | 少年野球
 ゴロ捕球において、硬式ではひざがポイントになる。硬式では身に付けられるが、軟式ではバウンドが高くひざが突っ立ったままでプレーすることが多く、これでは基本姿勢は身に付きにくい。

高校に行ってからでは「遅かりし」ということになりかねない。そこが大きなポイントになる。また、打撃においても中学生用アルミバットの重さは腕力、体力を鍛えるにも中学生に適した重さであり、3年間振り込みを続けると足腰の強化と身体全体の筋力強化につながる。また、早くから硬式対応フォームを正していける利点がある。

 軟式の軽いバットでは、身体全体の筋力強化までには至らない。中学硬式で3年生にもなると100メートルのフェンスオーバーもできる選手もおれば、140キロのスピードを出せる投手も出てくるのだ。これからは中学を卒業後にメジャーを目指す選手も出てくると思う。

 私の知り合いにメジャーのスカウトがいるが、「今後は中学生のメジャー選手も出てくるね」といい、その可能性を示唆していた。

 守りのチームプレーにしても、難しい一、三塁中間守備も教えれば中学3年生ともなると形はほぼできるようになり、あとは高校に行って肩の強さが出てくればよいだけである。一、二塁のバントシフトなども高校生と何ら変わらないサインプレーを覚えていく。

 また、大会の豊富さで数々の経験を重ね、大試合の中でも臆することなくプレーできるようになる。大会は多いチームで年間15、6大会、平均しても10大会くらいに参加する。大会は高校野球と同じく春、夏の全国大会からプロ野球の球団が主催するタイガースカップやジャイアンツカップ、今年は倉敷マスカット球場で国際大会(日本、米国、韓国、台湾が参加)も行われた。

 中学硬式野球をする子供たちは、甲子園に出たい願望が強く、私学の強豪校に進学していく傾向がある。だから昔と違って公立高校との格差がついていく。

中学硬式野球の発展に(1)

2008-12-10 10:36:27 | 少年野球
 近年、高校野球のレベルが高くなってきている。今年の夏の全国大会を見て益々その感を深くした。その要因には様々なことが考えられるが、子供の頃からスポーツをしている人の体力は向上し、トレーニング方法と器具の発展、用具の質の向上、10年前になる全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)による指導者講習会、中学硬式野球の普及などが挙げられる。

 全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)も年に数回、全国で野球教室を開催。かつてプロで活躍した名プレーヤーたちが、子供たち相手に手取り足取りで丁寧に熱心に指導している。

 中でも中学硬式野球は、全国1300チームのクラブがある。ヤング、シニア、ボーイズ、サン、ポニーリーグなどで指導者もプロ、アマを問わず昔とった杵柄で優れた指導者がボランティアで多く携わっている。近年、この組織から高校、大学に進みプロ野球で活躍している人たちが大勢いる。清原、桑田、イチロー、今岡、大村、最近では楽天の田中、早大の斎藤と数え上げればキリがない。

 中学生は成長期であり、育てるのに一番重要な時期である。その時期に硬式野球で1年生、2年生、3年生と成長に応じて段階的に基本的なことを身に付けさせていくと、先々の飛躍につながることになる。

 以前にもこのブログで述べたが、軟式野球と硬式野球のギャップは大きい。軟式は自己流であっても、多少基本から外れていてもプレーできるが、硬式はそうはいかない。まず技術を身につけるために体力を作り、正しい基本に基づいて正確さを身に付けていかないと大成しない。

「走る」(4)

2008-12-01 19:35:24 | 練習
 野球の走り方は、陸上競技と違ってヨーイドンで100メートル、200メートルを直線的、曲線的にゴールまで走ればよいというものではない。ベースランニングは左回りの直角だから各塁のベースを踏むと同時に左反転、外側である右腕を大きくしっかり振れることや走りながら「止まる」、「戻る」、「行く」の判断が常につきまとう。

 スタートやスライディングの良し悪しや判断力、直感力がよければ、走力をもカバーできるものだ。走力のない人は判断力やよいスタートを心がけ、身につけていくとよい。

 そうはいうものの、小学生や中学生に判断力や直感力を要求するのは無理かもしれない。しかし、常時走者を塁上に置いて紅白戦や実戦形式で「常に次の塁を狙え」と指示して積極的な走塁を心がける練習をすることで判断力、直感力を磨くことはできる。そのときに次の走塁の注意点をいっておくと子供たちはそのうち頭に入っていく。

1.一、二塁のときは前の走者を見て走れ、ライナーに注意とか。
2.一、三塁のときは三塁に投げるマネがあるぞ、外野フライはタッチアップだぞとか。
3.満塁時はライナーに注意。外野フライはタッチアップ。

 それでもスタートミスや判断ミスを犯しがちだが、子供たちは失敗から覚えていくことが多いのである。

 「足を速くする」、「判断をよくする」2つの条件がそろってこそ名ランナーになれるのだ。

 その為にKBクラブでは、ランニング時にタイムを計ることが多い。そうすると以前のタイムより速く走りたいと思う気持ちが出て最後まで走力を緩めないからだ。

 それと二、三年生は紅白戦や実戦形式の中で上記のような走塁を主目的とした練習をよくやる。その結果、二年生の夏を過ぎた頃になってやっと二年生並みの走力になる。並の走力になるまで1年半を費やしたのだ。

KBクラブの走力測定
50メートル
 三年生 №1 6秒45
     №2 6秒51
     №3 6秒82
 二年生 №1 6秒92
     №2 7秒12
 一年生 №1 7秒30
     №2 7秒69
ベース1周
 三年生 №1 15秒11
     №2 15秒32
     №3 15秒34
 二年生 №1 16秒05
     №2 16秒40
 一年生 №1 17秒10
     №2 17秒18
一塁まで
 三年生 №1 3秒70
     №2 3秒72
     №3 3秒80
 二年生 №1 3秒80
     №2 3秒91
 一年生 №1 4秒09
     №2 4秒19