今年の年賀状の添え書きには、「プロ野球はスター不在」「タイガースは生え抜き不在」これが見たいというものもなく、子供たちに夢を与えるものがないと書いて出した。
今の人たちにはそう見えないのかもしれないが、オールドファンはそう見る。
プロ野球も今年で80周年になる。そのうち、50年くらいは私もプレーヤーとしてあるいは評論家として携わってきたことになる。
思い出に残るプレーやゲームは数多くある。今後、その中でこれぞプロという印象に残るプレーヤーを取り上げてみようと思う。
昭和の時代のプロ野球にはこれが見たい、あれが見たいがたくさんあった。
昭和32年、私がタイガース入団時、初代ミスタータイガース藤村冨美男さんは、ゲーム前のトスバッティングでもファンをわかせた。
3人1組でトスバッティングをする。2人が守り1人が打つ。打ってきた打球を守りの2人はフットワークを使い、左右に動きトスプレーをしながら相手の位置と入れ替わるトスプレーはグラブハンドのまま、前から後ろから相手にトス、または打者に投げるマネをして背中越しに相手にトス、左手で右手でどこから相手にトスをするのか分からない。
藤村さんのボール回しは実に巧妙で素早い。ファンは拍手喝采!藤村さんのマネができる人はなかなかいなかった。
私も新人ながら2、3度組ませていただいたが、10分間ついていくのに汗びっしょりだった。