NHK-BSで「プレミアム8 紀行 夢の聖地へ ナポリ 響け!幻の美声」という番組を見ました。
番組紹介より:
「18世紀、女性ソプラノと同じ高い声で歌う男声歌手『カストラート』が、ナポリからヨーロッパじゅうをせっけんした。彼らは高く力強い声と同時に、極めて難易度の高い声楽の技法を身につけ、ナポリのオペラ黄金時代を支えた。世界でも指折りの高音域の声の出る声楽家・岡本知高が、聖地ナポリを訪ね、伝説の歌声の再現に挑む。」
カストラート・・・聞き慣れない言葉ですね。
これは去勢された男性が女性のソプラノの音域で歌う歌手を指します。
ボーイソプラノの大人版を医学的処置をして無理矢理作り出した、とも云えます。
当時のキリスト教会の合唱隊に女性は入れなかったために生まれた職種でした。
しかし、去勢されたとはいえ、体は男性ですから肺活量があり声のエネルギーもあります。
次第に教会から歌手として独立し、バロック時代にはオペラ歌手としてもてはやされるようになりました。
貧しい家に生まれた子どもが、たまたま歌が上手いと無理矢理去勢され、一攫千金を目指した悲しい歴史もあるようです。
カストラートの最強スターが実在の歌手「ファリネッリ」。
声を楽器のように扱い、超絶技巧で王侯貴族の心を魅了し、カリスマ性も発揮して重用されました。
彼の人生は「カストラート」という映画になっています。
昔見たことがありますが、文化の爛熟期に咲いた徒花、という印象がなきにしもあらず。
さて、現在は去勢して男性ソプラノを造る時代ではありません。
高音部を担当する男性歌手をカウンターテナーと呼びますが、これは裏声を使っています。
ですから、カストラートの様に歌える歌手は存在しないはず・・・と思われたところに登場したのが岡本知高さん。
岡本さんは声変わりの時期を過ぎても女の子と間違われる高い声にコンプレックスを持っていましたが、それが才能として声楽界で花開きました。
立派な体格と相まって、生まれながらにして現代のカストラートとも云える希有な存在です。
あのゴージャス過ぎるステージ衣装には引きますが・・・化粧をしていない素顔の岡本さんは内山君似のカワイイ顔でした(笑)。
彼のCDを何枚か持っています。
高音域は輝かんばかりの美しさを備えているものの、中音域がショボくなり魅力に欠けるのが玉に瑕。1回聴いて飽きてしまいました。
今回の番組で、イタリアのバロック歌手の先生にレッスンを受ける下りがありますが、全く同じ指摘を受けていましたね。彼自身もそこで悩んでいると告白していました。
是非、中音域でも聴かせるテクニックを磨き、一流の歌手として名前を残して欲しいものです。
例えば、世紀の歌姫サラ・ブライトマン。
彼女は高音部の伸びもさることながら、囁くような弱音部に誰も真似できない魅力があります。
初期のCDでは力強く歌っているスタイルでしたが、世界的にヒットする頃から「囁き」を前面に出し始めた印象があります。
前述の映画「カストラート」の後半は、ファリネッリ~カストラート文化の没落ぶりも描かれています。
華美な装飾音に彩られた彼用に書かれた曲が時代と共に受けなくなり、作曲家ヘンデルの登場でとどめを刺されます。
ヘンデルはバッハ以前のバロックの巨匠で、しっかりした土台を基盤に音楽を構築する作曲家。熱狂的な盛り上がりと云うより、構成美からくるずっしりとした高揚感と云ったところでしょうか。「合奏協奏曲」は私の愛聴曲です。
歴史上、男性を去勢する文化は世界中に分布していました。
中国の「宦官」もしかり。
番組紹介より:
「18世紀、女性ソプラノと同じ高い声で歌う男声歌手『カストラート』が、ナポリからヨーロッパじゅうをせっけんした。彼らは高く力強い声と同時に、極めて難易度の高い声楽の技法を身につけ、ナポリのオペラ黄金時代を支えた。世界でも指折りの高音域の声の出る声楽家・岡本知高が、聖地ナポリを訪ね、伝説の歌声の再現に挑む。」
カストラート・・・聞き慣れない言葉ですね。
これは去勢された男性が女性のソプラノの音域で歌う歌手を指します。
ボーイソプラノの大人版を医学的処置をして無理矢理作り出した、とも云えます。
当時のキリスト教会の合唱隊に女性は入れなかったために生まれた職種でした。
しかし、去勢されたとはいえ、体は男性ですから肺活量があり声のエネルギーもあります。
次第に教会から歌手として独立し、バロック時代にはオペラ歌手としてもてはやされるようになりました。
貧しい家に生まれた子どもが、たまたま歌が上手いと無理矢理去勢され、一攫千金を目指した悲しい歴史もあるようです。
カストラートの最強スターが実在の歌手「ファリネッリ」。
声を楽器のように扱い、超絶技巧で王侯貴族の心を魅了し、カリスマ性も発揮して重用されました。
彼の人生は「カストラート」という映画になっています。
昔見たことがありますが、文化の爛熟期に咲いた徒花、という印象がなきにしもあらず。
さて、現在は去勢して男性ソプラノを造る時代ではありません。
高音部を担当する男性歌手をカウンターテナーと呼びますが、これは裏声を使っています。
ですから、カストラートの様に歌える歌手は存在しないはず・・・と思われたところに登場したのが岡本知高さん。
岡本さんは声変わりの時期を過ぎても女の子と間違われる高い声にコンプレックスを持っていましたが、それが才能として声楽界で花開きました。
立派な体格と相まって、生まれながらにして現代のカストラートとも云える希有な存在です。
あのゴージャス過ぎるステージ衣装には引きますが・・・化粧をしていない素顔の岡本さんは内山君似のカワイイ顔でした(笑)。
彼のCDを何枚か持っています。
高音域は輝かんばかりの美しさを備えているものの、中音域がショボくなり魅力に欠けるのが玉に瑕。1回聴いて飽きてしまいました。
今回の番組で、イタリアのバロック歌手の先生にレッスンを受ける下りがありますが、全く同じ指摘を受けていましたね。彼自身もそこで悩んでいると告白していました。
是非、中音域でも聴かせるテクニックを磨き、一流の歌手として名前を残して欲しいものです。
例えば、世紀の歌姫サラ・ブライトマン。
彼女は高音部の伸びもさることながら、囁くような弱音部に誰も真似できない魅力があります。
初期のCDでは力強く歌っているスタイルでしたが、世界的にヒットする頃から「囁き」を前面に出し始めた印象があります。
前述の映画「カストラート」の後半は、ファリネッリ~カストラート文化の没落ぶりも描かれています。
華美な装飾音に彩られた彼用に書かれた曲が時代と共に受けなくなり、作曲家ヘンデルの登場でとどめを刺されます。
ヘンデルはバッハ以前のバロックの巨匠で、しっかりした土台を基盤に音楽を構築する作曲家。熱狂的な盛り上がりと云うより、構成美からくるずっしりとした高揚感と云ったところでしょうか。「合奏協奏曲」は私の愛聴曲です。
歴史上、男性を去勢する文化は世界中に分布していました。
中国の「宦官」もしかり。