私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

18歳のヒップホップ「OnJuicy」という才能

2013年10月31日 | ポピュラー
 小さい頃から知っている男の子が音楽をやっています。
 現在18歳ですが、高校進学の際に「東京の音楽専門学校へ行きます」と云われて驚かされました。
 高校生(?)になってから会ったときには「ヒップホップをやっています」と云われてさらに驚かされました。
 私の前では物静かで無口な彼から、ヒップホップというジャンルが想像しにくかったのです(笑)。

 そして先日、彼が YouTube に動画投稿しているという情報を得て、見てみました;

■ ONJUICY「Shake up
Onjuicy TV Vol.01 - あいつらはどんなやつらですか
GoodGood - Onjuicy [Audio]
BRAVERY - Onjuicy [Audio]

 そのイメチェンと楽曲の完成度に驚かされました(三度目の正直!)。
 いずれ、ビッグネームになりそうな予感・・・影ながら応援してます。

「ワーグナーとユダヤ人の私」

2013年10月27日 | クラシック
 NHK-BSで「BS 世界のドキュメンタリー」で放映された番組です。
 演奏・歌・舞踏・劇を統合した総合芸術「楽劇」を完成させたコンポーザーであるワーグナーを熱狂的なファン(俗称「ワグネリアン」)である司会者が、自身がユダヤ人という矛盾を孕みながら紹介する、ときに緊張感が走る内容でした。

 逆説的ですが、番組の中でワーグナーは「オペラ嫌い」と紹介されました。
 それまでのオペラの題材になった貴族の生活だの、男と女の諍いなどには興味がなかったのです。
 バイロイト歌劇場を造るときも、設計図に見つけた当時流行していた華美な装飾を全部取り去ったエピソードも紹介されています。

 より普遍性・永遠性を求めていくと、その理想像は「ギリシャ悲劇」にたどり着きました。
 なによりもギリシャ悲劇は神話を題材とし、かつ特権階級ではなく民衆の芸術だったことに魅了されたのでした。
 これが彼の楽劇に神話から題材を取ったストーリーが多く採用されている理由です。
 また、楽曲の放つ神秘性もそこに根源があるものと思われます。

 ある作曲家は「ワーグナーの序曲は魔術的に美しいから危ない」と云いました。
 カラヤンはワーグナーの楽劇のリハーサル中、その美しさに感動して涙したという言い伝えもあります。

 ワーグナーが「反ユダヤ」であることは避けて通れない話題です。
 私は以前から知っていました(偉大な作曲家たち Vol.4「ワーグナー」)。
 ただ調べてみると、当時人気者であったメンデルスゾーンやマイアベーアへの嫉妬混じりの要素も指摘されており、今となっては詳細不明です。

 番組中の各出演者のコメント;
・ワーグナーが性格の悪い反ユダヤ主義者であったとしても、彼の崇高な芸術は毅然として存在し続ける。
・人々はヒトラーを通してワーグナーを見がちであるが、するとワーグナーの素晴らしさの一部分しか見えない。音楽作品を通して見ればその偉大さに気づくはずだ。

 これは「答えのない問い」ですね。

番組解説
ワーグナーとユダヤ人のわたし(前編)
2013年5月20日、13年10月7日、13年11月25日
 イギリスの著名な番組プレゼンターで作家のスティーブン・フライはワーグナーの音楽に魅了されてきた。だが同時に、家族をホロコーストで亡くしている彼にとって、ヒトラーがワーグナーを深く信奉していたという事実が心に刺さったトゲとなっていた。フライはワーグナーの足跡をたどり、偉大な音楽と反ユダヤ主義という相入れない事実に折り合いをつけようと試みる。2013年はワーグナー生誕200年。旅するフライの目を通して今なお世界中のオペラファンをとりこにする芸術家の人生と創造性に迫る。
 旅の始まりは、ワーグナーが自身の作品の上演のために建設したバイロイト祝祭劇場。毎年恒例の音楽祭の準備が進む舞台裏で、ワーグナーの魅力を最大限に引き出す劇場の秘密が明かされる。また、ワーグナーのかつての邸宅では彼自身のピアノで“トリスタンコード”を演奏して大興奮!
 さらにフライは、ワーグナーが野心的な“楽劇”「ニーベルングの指環」四部作の着想を得たスイスで音楽の世界に一大変革をもたらすことになる創作の原点を探り、次にロシアのマリインスキー劇場へ。浪費癖による莫大な借金の返済のため、指揮者として各国をツアーしたワーグナーはここにも滞在し、初めて観客に背中を向け、オーケストラの正面から指揮するという当時としては考えられない革命的な上演で人びとを魅了した。
 やがて、マリインスキー劇場の芸術監督への誘いを断って故郷ドイツに戻ったワーグナーだったが、演奏旅行で稼いだ金は借金の返済に消え、結婚生活も破綻。50歳にして、人生の集大成となる「指環」四部作を世に出すどころか、生活していくことさえ難しい状況に追い込まれる。
 そこへ奇跡のように現れたのが、バイエルン王国の国王となったばかりの若きルードヴィヒ2世だった。

ワーグナーとユダヤ人のわたし 後編(再)
2013年5月21日、13年10月8日、13年11月26日
 旅の後半はニュルンベルクから。ワーグナー中期の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台であり、後にヒトラーがナチス党大会の会場に選んだ場所でもある。ここでフライは、ナチスがいかにワーグナーの音楽をプロパガンダに利用したのかを読み解き、一方では、ワーグナーがいかに深くヒトラーの世界観に影響を与えていたのかをも思い知ることになる。
 そして一行は、再びバイロイトへ。パトロンとなったルードヴィヒ2世の援助で自身の作品のための劇場を建てることになったワーグナーが設計者に出した指示が読み取れるオリジナルの図面や、ここで完成をみた「指環」四部作の最後の作品のオリジナル譜面を間近にしたあと、ついには夢にまで見たバイロイト祝祭劇場の客席と舞台に足を踏み入れる。そこで出会うのは、最近になって音楽祭の総監督となったワーグナーの曽孫のひとり、エファ・ワーグナー。
 バイロイト祝祭劇場でのこうした体験に、音楽祭への期待を新たにするフライだが、どうしてもヒトラーとバイロイトとの密接な関係をぬぐい去ることができない。最後に、アウシュビッツ収容所に捕らえられ、オーケストラでチェロ奏者をしていたユダヤ人女性に会いに行ったフライは、バイロイトの客席でヒトラーと同じようにワーグナーの音楽を聴こうとする自分はユダヤ人として間違っているのだろうかと尋ねるが・・・。

ケーブル類のグレードアップはN氏特製

2013年10月24日 | オーディオ
 現在の私のシステムはCD3500枚をパソコンに取り込んだMacを中心としたいわゆるPCオーディオです。
 次の2系統で聴き分け;

■ MacPro→ AUDIOQUEST Diamond→ Esoteric SA-50→ Jeff Rowland CONCENTRA→ Mitsubishi 2S-305
■ MacPro→ FURUTECH GT2→ Accuphase E-460→ Sonus Faber ELECTA AMATOR

 主に2S-305では大編成オーケストラやジャズを、ELECTA AMATOR では弦とヴォーカルを楽しんでいます。
 ただ、2S-305に少し不満があります。
 このスピーカーは音域の上から下まで歪みなく伸び伸びと再生してくれるのが魅力的ですが、高音のキンキンキラキラが耳を刺激するのです。まあDIATONE の特徴と云ってしまえばそれまでなんですが・・・。
 ケーブル類でなんとか調整できないものかと、いろいろ物色してきました。
 しかし、ケーブル類は数値で判断できる目安がないのが悩ましい。各メーカーの説明を読むと良いことばかり書いてあり選択の参考になりません。

 そこで、市販品のインプレッションをオーディオ通のN氏に聞いてみました。
 すると、製品の特徴から私のシステムに合うかどうかも教えていただきました。ふむふむ、なるほどと読み進めていくと・・・最後に「なんなら私が作りましょうか?」と一言添えてありました。

「!」

 私はその言葉に飛びつきました。
 オフ会で彼のシステムを聴かせていただいたときの衝撃が甦りました。
 ニュートラルな音、歪みのないキャラの立った音が上下の音域にストレス無く伸びきり、部屋の外までステージ(音像)が広がる快感・・・。
 私のターゲットの一ケタ上の価格のハイエンド・オーディオを聴き尽くしてきた彼(最近「dCS」をコンプリートしたそうです)。
 その行く末に「自作」にたどり着いたのですね。

 早速、依頼して作成していただきました。
 彼の解説と、私のファースト・インプレッションを記しておきます;

電源ケーブル線材は英国製の純度の高いUP-OCCを用いた銅線を用い、電源プラグ、インレットプラグもUP-OCCのハイグレードのものを使用。駆動力もあり、情報量の多さがウィークポイントになっています。駆動力も上がりますのでパワーアンプにも適しています。

→ 分解能・S/N比が良くなり、とくに低音がタイトになるとともに迫力が増したことに驚きました。今までのシステムでは2S-305でも低音がぼやけることがあったのですが、それが解消しました。
 私が昔から愛聴しているウィンダム・ヒル・レーベルのウィリアム・アッカーマンというアーティストがいます。彼の「Meditation」というアルバムのギターの低音割れがずっと気になっていたのですが、それがほぼ消えました。録音が悪いわけではなく再生するシステムの問題だったことに改めて気づいた次第です。
 トミー・エマニュエルのギターが半端でない鮮やかな音で再生され、「こんなすごい音だったかな?」と私の耳が驚きました。
 残念ながら、高音のキンキラは解消するに至らず・・・。

電源タップカナダのHammondのケースを使って高級線材を用いて作成、コンセントにはCooperの最高グレードの無メッキプレートに換装。ハモンドでクーパーのコンセントを採用したのはタップで癖があるとバランスが崩れるのであえてクーパーの無メッキにしました。メッシュチューブには最高級のアラミド繊維を中心として音質に配慮したもの。傾向はワイドレンジかつ中高音の耳あたりも良く、透明度の高いニュートラルサウンドで情報量を引き出せるよう完成させたものです。

RCAケーブルスイスのスーナーのスコフレックス最高グレードの線材を用いて作成。計測用ですが情報量は抜群です。アコースティックギターの音やヴァイオリンの音が生々しくなり瑞々しさも増して弦の擦れ方がリアルです。弦楽器を中心に追い込むとスーナーの線材は欠かせない存在になります。音のフォーカスの滲みが低減して鮮明になって、情報量が大幅に増えます。1つ1つの音の滲みも低減しますし、適確に音を描写しますからニュートラルになった事が感じられると思います。

→ 一言で云うと、音のリアル感がワンランクアップしました。
 個々の音は付帯音が消えてどちらかというとタイトになりましたが、音像が立体的になり響きがふくよかに広がる印象です。情報が正しく伝わり、かつ量が増えた効果でしょうか。輪郭がぼやけがちなピアノの音がタイトに響き渡る空気感は快適です。
 逆に美音の塊のように聞こえた楽曲の音が分解されておとなしくなり、思っていたほどの美音ではなかったことに気づく音源もありました。まあ、良しも悪しくも録音が裸にされる感じ。

 以上のように音は確実にグレードアップしたわけですが、電源タップとRCAケーブルは同時に換えたのでどれがどちらの効果かわからなくなってしまいました(笑)。
 2S-305の高音キンキラも、消えはしませんけどケーブル交換前より気にならなくなりました。
 CD情報を確実に伝達することにより音像のにじみが減っているのでしょう。つまり「発展的解消」しつつあるのかな。

 今回も、N氏の理想の音を求めるエネルギーに脱帽するばかり。オーディオ・メーカーのみならず、計測用や軍事/宇宙工学仕様の製品まで手を伸ばしているのですから。

 ケーブル類をグレードアップする方向性には「色づけ」と「情報量を増やす」の二通りがあると思います。
 しかし中途半端な色づけはえてして失敗しがちです。私も「柔らかい音」を求めてケーブルをいくつか試しましたが、「柔らかい=豊かな響き」のつもりが「柔らかい=腰砕け」になってしまったり。やはりCDに収録されている情報量を余すところ無く引き出す手法が王道ですね。
 N氏の方向性はまさに王道を極めたものだと実感した次第です(進化は現在進行形、恐るべし)。

カザフスタンの二人の歌姫

2013年10月22日 | ヴォーカル
 NHK-BS「Amazing Voice 驚異の歌声」で「女たちの地平線~カザフスタン~」として放映されました(再放送)。

番組紹介
 中央アジア、カザフスタンの国民的スーパースター2人が登場。反核の歌「時代よ」(ザマナイ)を歌姫ローザが熱唱し、歌姫マクパルは派手な衣装で登場!
 ローザ・リムバエワは、旧ソ連時代に核実験場があったセミパラチンスク地方の生まれ。核実験廃止を訴える原動力となった歌「時代よ」を「日本のため」と熱唱する。
 伝統楽器ドンブラを手にカザフの恋歌を歌うマクパルは、有力政治家だった夫の死後に人々にこわれて舞台へ復帰。


 カザフスタンは1990年代に旧ソ連崩壊に伴い独立し、まだ政情が安定しているとは言い難い国です。
 歌姫たちも平和な社会で順風満帆な活動をしているわけではなく、そんな国の歴史に翻弄された人生を背負っているのが印象的でした。

 幼少期から天才少女として有名で、伝統音楽から歌謡曲までこなすマクバルは日本で云えば美空ひばりでしょうか。
 彼女の夫は政権野党の大物政治家でした。
 しかし彼は、与党の不正の証拠を手に入れたと発表した矢先に暗殺されてしまったのでした(警察発表は「自殺」)。
 悲しみに暮れるマクバルは表舞台から一旦消えましたが、数年後に復帰。
 複雑な思いを抱きながらも「国民的歌手」として現在も活躍中です。

 もう一人のローザは、キャリア・ウーマンを思わせる現代的な歌謡曲の担い手で、若者にも人気があります。
 彼女の出身地は、旧ソ連時代に核実験場として使われた闇の歴史を背負った土地であり、自身も被爆者です。
 そして彼女は、被曝問題を歌った「時代よ」を世界に発信し有名になりました。

●「ザマナイ」~時代よ!~

【訳詞】高橋朋子
【作曲】T.Muhamad Janov

1.健やかな子らは なぜ消えた
  風になびく髪は なぜ消えた
  心ないしうちよ ザマナイ
  ザマナイ ザマナイ
  清き故郷はなぜ消えた

  哀れなるわが大地
  数え切れぬ 爆発 閃光に
  引き裂かれたわが心よ

2.父祖の眠る地を壊して
  豊かな大地を汚して
  罰として苦しみ続けよと?
  ザマナイ ザマナイ
  ひとの誇りよ 今いずこ

  哀れなるわが大地
  数え切れぬ 爆発 閃光に
  引き裂かれたわが心よ

3.泉に毒を流すものよ
  愛しき子らを奪うものよ
  何故ふるさとを貶めるのか
  ザマナイ ザマナイ
  恥じてこの身が地に埋まる

  哀れなるわが大地
  数え切れぬ 爆発 閃光に
  引き裂かれたわが心よ

  哀れなるわが大地
  数え切れぬ 爆発 閃光に
  引き裂かれたわがふるさとよ

 
 日本の芸能界と違い、ただ「キレイ、カワイイ」ではカザフスタンでは評価されないようです。
 人生の荒波にもまれながらもしたたかに逞しく生きる女性からの歌声でなければ、人の心に響かないのでしょう。
 ブラジルの女性歌手にもその傾向がありますね。