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私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

マックス・ポンマー(Max Pommer)

2010年05月02日 | クラシック
Max Pommer。
東ドイツ出身のクラシック音楽指揮者。1936年ライプツィヒ生まれ。
元「ライプツィヒ放送交響楽団」常任指揮者。

あまり有名な指揮者ではありませんが、10年ほど前にバロック音楽のオムニバスCDで出会ってから虜になりました。
若い頃は先端の前衛音楽を扱い、中年以降は主にバッハ~モーツアルトあたりを守備範囲としていたようです。
まだドイツが東西に分かれていた頃の「東ドイツ」の指揮者なので、堅苦しいイメージが先行しがちですが・・・全然異なりました。

一言で云うと「音楽が輝いている」。
演奏者と指揮者が一体化して、作曲家に敬意を払い、音楽を演奏することを心から愉しみ、自分の技を見せつけるのではなく音楽に包まれることに喜びを感じている・・・音楽演奏の理想像がそこにあります。
「クラシック音楽の愉悦」という言葉がありますが、これほどこの言葉が似合う演奏はないでしょう。
その空気を共有することができたら幸せだろうなあ。

今を去ること10数年前、私は中古オーディオやMacのパソコン、ジャズやクラシックの音楽CDを求めてお茶の水や秋葉原をウロついていました。
彼のCDは他のバロック音楽盤のついでに何気なく購入した記憶があります。
でも、「ついで購入」がいつの間にか愛聴盤になりました。経験上、よくあることです(笑)。

その頃秋葉原はまだ電気街というイメージが残り、LAOXなどのパソコン販売店が目立ち、一方アニメ系おたく文化が芽生えてきた時期です。若者で賑わう美少女アニメの店を冷やかし半分で覗いたところ、汗臭いニオイにむせかえって逃げ出すように出てきたこともありました(苦笑)。

その後、たまに彼のCDを見かけると思い出したように購入しています。
主にHMVですけど。
最近は母国の音楽大学の教授として後進の指導にあたっているようで、新録音は見つけられません。

偉大な作曲家たち Vol.7「プッチーニ」

2009年08月27日 | クラシック
偉大な作曲家たちシリーズ第七弾はプッチーニ.
音楽史家、演奏家、隣人(!)たちのコメントを交えて彼の生涯と音楽を辿ります.
スケートの荒川静香選手の演技に使用された歌劇「トゥーランドット」の中のアリア「誰も寝てはならぬ」は有名になりましたが、オペラ嫌いの私にはやはり縁遠い存在です.

プッチーニが亡くなったのは1924年.今までのシリーズでは作曲家の肖像画しか出てきませんでしたが、さすがに20世紀.本人の写真や映像(誰かわからないけどヒトが映っている程度)が登場し、また隣人がコメントを述べているのが新鮮でした.
浮気はするわ、猟はするわ、宴会も大好き・・・人生を謳歌した人物だったようです.

さて、DVDを見終わって、今まで遠い存在だったプッチーニという作曲家を身近に感じられるようになりました.
何より楽曲がわかりやすく旋律が美しい.それまでの構えて聴くクラシック音楽とは一線を画する親しみやすさがありました.すーっと体に入ってくる心地よさはクラシックというより上質のポピュラー音楽に近いですね.
オペラのサビの部分は「風と共に去りぬ」などの昔の名画の一場面を観ているようでした.
一言で表現すると、心地よい・・・.作曲家としての評価はあまり高くないらしいけど、まあ良いんじゃないですか.

テノールのホセ・クーラ、ソプラノのジュリア・ミゲネスの歌声も美しかった.
オペラ「マノン・レスコー」を観てみたくなりました.

偉大な作曲家たち Vol.4「ワーグナー」

2009年08月27日 | クラシック
偉大な作曲家たち第四弾はワーグナー.
オペラは食わず嫌いなので、私には少々縁遠い作曲家です.

他の作曲家と比べて、その人生に政治色が濃い事が印象に残りました.
借金や亡命騒ぎで逃亡生活に明け暮れる人生.意外でした.
特に「反ユダヤ」的思想を最後まで持ち続けて作品にも反映され、現代でもユダヤ系の人たちには嫌われているようです.

何人かの女性と巡り会い、結婚・離婚を繰り返します.
3人目のコジマ(リストの娘で、指揮者ハンス・フォン・ビューローの元妻)との生活で初めて安定した生活を手に入れました.彼女の誕生日に朝早く演奏家を自宅に招いて階段に並ばせ、彼女の起床とともに演奏をプレゼントした逸話からその幸福ぶりが伺い知れます.

波瀾万丈の人生でしたが、彼の音楽に対する姿勢はぶれる事がなく、理想を追い求めて遂には成就しました.
ベートーヴェンの影響下で始まったキャリアは、別の音楽スタイルである楽劇に突き進みます.
オーケストラの伴奏とともに劇が進み、踊りは無し.劇中火を燃やしたり、フライングがあったりスペスタクル的要素も取り入れます.
オーケストラのピットは深く観客から演奏者・指揮者は見えません.
このスタイルは後の「映画」を予告するものです.

「リング」と略称される「ニーベルンゲンの指輪」は上演に15時間もかかる大作なのですね.
ウ~ン、観てみたいような、観たくないような・・・.

偉大な作曲家たち Vol.5「チャイコフスキー」

2009年08月27日 | クラシック
偉大な作曲家たちシリーズ第五弾はチャイコフスキーです.
今までと同様に音楽史家、研究者、演奏家たちのコメントやインタヴューを交えてチャイコフスキーの生涯と音楽をたどる内容になっています.私の知る演奏家ではピアノのキーシン、ヴァイオリニストのヴェンゲーロフ、指揮者のゲルギエフなどが出演しています.

何よりも彼が同性愛者だったことを知り、驚きました.
男性的ではない繊細な旋律を生んだ源泉かも知れません.
同性愛を隠すため、あるいは克服しようと結婚を試みたが失敗に終わリます.
後期シンフォニーの陰影に富んだ弦の響きは、そんな彼の苦しみが投影されているのでしょう.

それにしても、名をなした作曲家たちは尋常な人生を送っていない人ばかりですね・・・.

カラヤン/クルーゾー指揮の芸術3「ベートーヴェン運命」

2009年08月27日 | クラシック
カラヤン/クルーゾー指揮の芸術第三弾は「ベートーヴェン交響曲第五番ハ短調Op67<運命>」.制作は1966年.
ヘルベルト・フォン・カラヤンのリハーサル、音楽談義、実際の演奏を「恐怖の報酬」などのサスペンス映画で有名な映画監督のクルーゾーがプロデュースした作品です。映画監督らしく、ふつうの演奏会の映像とはひと味違った仕上がりになっているのが特徴です。

58歳のカラヤンはスマートで凛々しいですね.やはり濁声です.
カラヤンと音楽学者の会話から始まり、カラヤンが若手指揮者の指導をしている場面に移ります.
その指導内容の細かいこと細かいこと.リズム、旋律、音の繋がり、強弱を事細かに指示し、全体の響きを大切にし、流れをチェックし、主題を引き立て、作曲家の意図を汲まなくてはならない・・・私が楽団員だったら気が狂いそう.

そうして造り上げられた演奏が後半に続きます.
一つ一つの音や旋律が鍛え上げられた末の響きなんだなあ、と聴き入りました.
演奏者は一々カラヤンの指揮棒を凝視してはいませんが、あの厳しいリハーサルを見ると体の随までカラヤン節がしみ込んでいるでしょうから問題にならないのでしょう.

それにしても、映像の構成が素晴らしい.
ズーム、フォーカス、俯瞰、ライトアップはまるで映画を観ているようで飽きさせません.
カラヤンの手だけがフォーカスされて映し出されるカメラワークがありますが、陰影に富んだ力強い手の動きを見るだけで音楽が伝わってくるような気さえしてきます.サスペンス映画の手法ですね.

「運命」は新時代を告げる街頭演説がモチーフになっていると聞いたことがあります.
でも、カラヤンの曲の解釈にはそのことは一言も出てきませんでしたね.

今から40年以上前の映像.
楽団員のファッションをチェックしてみました.皆さんスーツ姿です.
ジャケットのラペルは今より太め、ゴージラインは低め.
シャツのカラーはレギュラーがメインですが、ワイドスプレッドも散見されます.
ジャケットの袖から数cmシャツが出るのが美しいとされていますが、ウ~ン、まちまちでしたね(詰めが甘い?).
ネクタイのノットはおしなべて小さめ.プレーンノットかな.
全体的に現在のタイト&ナローのスーツよりゆったりしている印象でした.良き時代です.