前回までのあらすじ
車買うことを決意
↓
新車を買うことにするが車種で悩む
↓
結局ラッシュ/ビーゴを本命にすることに
↓
札幌で値引き交渉開始
↓
トヨタのベテラン営業マンに惨敗
さて、国試という枷が無くなったため自由に飛びまわれるようになった私はさっそく行動を開始した。
今度は札幌のように無様に失敗できないため、準備をより念入りにして助っ人までつけることにした。
ところで皆さんは値引きに有利な助っ人とはどういうタイプの人かご存知だろうか?
車に詳しい人・・・?
実はそうではないのである。
私が勉強したところによると・・・
「車に詳しい人は確かに商談で有効ですが、あまり詳しすぎでマニアになってしまうと、セールスマンが敬遠しがちになります。
そういう方の知識はすごいものがありますから、車についてのみで言えば、セールスマンなど軽く論破されるでしょう。
ただ、車の性能等をどんなに詳しく知っていても、商談には期待はもてません、『お客さん詳しいですね~ どうぞごゆっくりお車をご覧下さい、なにかありましたら奥にいますので呼んでください・・終了』というセールスマンも多いと思います。
話がマニアックな話になればなるほど、どんどん商談から離れてしまいます。」
ということらしい。
では有利に交渉を運べる人材はどんな人かというと・・・
強気・ずーずーしい女性
なのである。
「のっけから、度肝を抜くような冗談とも本気ともとれるような発言をする人などいいですね。
セールスマンの心理としては、購入者(あなた)への心象を悪くしたくはないですから、苦笑いしながら対応するはずです。
お店に行く前に、事前打ち合わせをして、こういう人に言いにくいことをバンバン言わせてしまいましょう。
セールスマンが難しいことや歯切れがわるかったりしたら、『○○さん、何に言ってるのかさっぱりわかんない』と、精神攻撃をするくらいの方がいいですね。
それから、女性の場合の特権は、反論が感覚的でも許されるということもあります「車のライトの形がかっこ悪い」とか感覚的な物をしゃべってくれるだけで弱点を突く攻撃になります。
「理屈抜き」これは女性の特権ですね」
と、いうように向こうに主導権を握らせないようにする効果があるらしい。
相手は百戦錬磨のプロである。こういった精神攻撃専門のサブウエポンを用意していかないと、気がついたら向こうのペースにはまって値引きがうまくいかなくなってしまうということだ。
そこで私は図々しさには定評のあるTに同行を依頼することにした。
Tも私と同じように新しく乗る車を探していてた。
しかもラッシュもしくはビーゴも候補に入っているということで、ディーラー回りをすることはTにとっても悪い話ではないだろう。(Tはパパに買ってもらうので交渉は必要ないのかもしれないが)
そんなわけで旭川での交渉に出発する我々。
まずはマツダのベリーサを見に行く。
ベリーサはボディの美しさが目に留まったのであるが、とりあえずよほどのことがない限り買う気はない。
あくまでもラッシュ/ビーゴの競合用だ。
それでも大して買う気がないのをマツダ側に気づかれてはならない。
そこで私はTに「入ったらまずスンスンス~ン ハシルヨロコビ~♪て歌って」と指示した。
マツダのCMソングを歌うことで好感度アップを狙う作戦だ。
しかしあろうことかTは「は?やだよ」とまるで取り合ってくれない。
この作戦の重要さがイマイチ分かっていないようだ。
仕方ないので普通に入店。
しかしここマツダでも入って数秒は放置された。
やや間があって、奥の方で上役っぽい人に「行きなさい」みたいな感じで促された女性店員が近づいてきた。
女営「いらっしゃいませ」
私「ども。ベリーサを見せてもらえますか」
女営「ではこちらにどうぞ」
と窓際のテーブルに案内される。
女性か・・・
女性の営業は男性のそれと比べて値引きがしにくいというような傾向にあるようだ。
女性は比較的真面目に会社の値引き基準を守ろうとするからだそうだ。
私「ベリーサは今ありますか?」
女営「いえ、今はおいていません。で、ですが次回お越しいただける際にご連絡いただければご用意しておきます」
私(実車がないなら話にならんな・・・)
その後出してくれたオレンジジュースを飲みながらカタログを使っての丁寧な説明を受ける。
だがカタログに載っていること程度なら既に私は勉強済みであったため、非常に退屈な時間であった。
ためしにカタログに載っていない内容についての質問をしてみたが「あの・・・すいません。勉強不足でして・・・」と分からない。
勧めるポイントも内装の色やボディなど見た目に偏っていていかにも女性らしかった。
ひととおり説明を受け、見積もりをだしてもらった。
値引きは5万。
これはベリーサにしては少なすぎる。
私たちは席を立った。
次はいよいよトヨタだ。
入ってすぐ、
「いらっしゃいませ~!」と気持ちのいい声。
私「ラッシュを見に来たんですが」
営業「はい!ございますよ!ではこちらにどうぞ。試乗はされますよね?」
私「ん、ああはい」
営業「かしこまりました。少々お待ちください」
奥の方に鍵を取りにいく営業マン。
私「あのさ、おれ今日コンタクトしてないから運転して」
T「え?え?」
私「おれ助手席に乗るから運転しながら感想教えてね」
というわけでTに運転してもらって私は助手席に乗ることに。
営業マンは後部座席へ。
私「んじゃてきとーにその辺回って」
T「あわわ・・・」
完全にテンパってるT。事故だけは起こさないで欲しいのだが・・・
運転中営業マンと話す。札幌のベテランディーラーから得た知識なども交え「こちらはずぶの素人ではないんだぞ」ということをアピール。
この営業マンはかなり感じのいい人で、その上若くてイケメンだ。
私はこの人から買いたくなった。
だがやっぱり最後にものを言うのは値引き額である。どこまで引いてくれるか・・・
Tに運転した感じはどう?と聞いたが「ちょっと話しかけないで!」と怒られてしまった。ビビリ過ぎである。
無事に店まで帰ってくる。
商談スタート!
女性店員がコーヒーを持ってきてくれたが、私はコーヒーなど苦くて飲めないので日本茶にしてもらった。
まず見積もりを出してもらう。
値引きは0円。
私「で、ここからいくらくらい引いてもらえますか?」
営業「う~ん、値引きですか。そうですね3万ほど・・・」
私「(3万・・・?)ん~、実は札幌の方のトヨタさんにも行って来たんですが、そこでは3月の決算期価格では10万まではなんとかがんばりますと言ってもらえましたよ?」
これはハッタリである。
本当は2月価格として5万値引きで、3月期に入ればもっと引けますよと言われただけ。10万と言う具体的な数字は出ていない。
営業「じゅ、10万ですか・・・?いやあ・・・すごいですね・・・。ちょっとうちではそこまでは・・・。がんばって5万が限界です。で、でもその分オプションの方で相当がんばらせていただきますよ!」
いい人そうなだけに心が痛む。
だが 情 け は 禁 物 である。
私「なるほど・・・。例えばどんな風に?」
営業「そ、そうですねぇ・・・スタッドレスなどを少々・・・あとナビもお付けになるのでしたら値引きいたします」
私「そうですか。とりあえずこれからダイハツさんも見てきますので、それから帰って検討いたします」
営業「はい!よろしくお願いいたします!」
う~ん。気持ちのいい人だ。
ここで買いたいなぁ・・・
最後にダイハツ。
トヨタのラッシュとダイハツのビーゴは会社が違うだけで車は同じもの。競合相手としてはまさにうってつけ。
営業「いらっしゃいませ~!」
店内は広く、オシャレな雰囲気。
ここもなかなか感じがいい。
一人の営業マンが他の客の相手をしていたので、受付の女性にもう一人営業マンを呼んでもらうことにした。
女性「こちらでお待ちください」
案内されたテーブルにはなにやら飲み物のメニューが書かれた紙があった。その下に「ダイハツカフェ」と書かれている。
ここは喫茶店としても利用できるのか!
ということはグダグダ交渉を延ばせばただでお茶できるという事ではないか!
しかもここは飲み物だけでなくケーキもついてくる。素晴らしい店だ。
友達と遊ぶ時、「タダでお茶できるとこ知ってるぜ」などと言ってここに連れてくれば一躍人気者ではないか。
とりあえず私はアップルティーを優雅に注文。Tはまたしてもコーヒー。今日3連続である。芸のない奴だ。
「お待たせしました」
お茶が運ばれてしばらくたった頃、私たちの担当の営業マンが姿を現した。
やや小太りの40過ぎと思われる男性だ。
にこやかな笑みをたたえているが、その眼光は鋭くこれは手ごわいなと感じさせる迫力があった。
とりあえずすでに車の方は何度も見たことを伝え早々に見積もりを出してもらうことに。
さて、いくか。
私「値引きの方はこちらではいくらしていただけますか?」
「こちらでは」を強調したのはある程度他のところとも交渉は進んでいますよということをアピールするためだ。
営業「そうですねぇ・・・では10万でどうでしょう?」
!?
私は耳を疑った。
いきなり10万・・・?これはうまくすればさらに大幅値引きが期待できるか?
思わずにやけそうになるがなんとかこらえる。
だが目が笑ってしまった。自分でも分かった。
そして悪いことにおそらくそれを悟られてしまった。
(引きすぎたかな・・・?)という顔をしている。
まあ勝負はこれからよ。
私「う~ん。ではオプションとかつけたらどうなりますかね。これとこれと・・・これつけてもう一回見積もりしてもらえますか?」
営業「かしこまりました」
営業マンが奥に計算しに引っ込む。
その間私とTは「ちょwwwマジかよ10万てwww」とはしゃぐ。
営業マンが戻ってくる。
すぐにキリッとした表情に戻る私。
私「どうなりましたかね?」
営業「こちらになります」
提示された見積書のオプションはほとんど値引きがされてなかった。
(やはりさっき引きすぎた分を取り返す気だな・・・だが!)
私「ではこれをもうちょっと引いてもらえますか」(なにが「では」だよと自分でツッコミをいれながらも提案)
営業「え・・・そうですね。じゃあ2万引きくらいで・・・」
私「5万引いてください(ニッコリ)」
営業「は?」
私「トヨタさんではオプションの値引きをがんばりますと言っていただいたもので・・・」
内心かなりビビりながら要求。
大丈夫、まだいけるはずだ・・・!
営業「(#^ω^)ビキビキ・・・分かりました。では特別に5万引きで」
うわー
目がこえー
そうして出してもらったお支払い総額。
営業「ん~・・・ではこの端数の97000円をカットしまして・・・これでどうでしょう!」
!!?
な!?ここでさらに97000円の大幅値引き!?
おいおいまじかよまじかよ。
私はかなりダイハツに気持ちが傾く。
だがそんなそぶりを見せてはいけない!
当たり障りのない話をしよう。
私「あ~なかなかいいですね~。ところで車体の色によって納車の時期とかって変わってくるんですかね?」
営業「少々お待ち下さい」
営業マンがいなくなるとまたはしゃぎだす私とT。「おいおいここにきてさらに10万近くの値引きだぜ!大丈夫かダイハツwww」
営業マン戻る。
クールにキメる我々。
営業「ただいま在庫が何台かございまして、黒ならば2週間くらいでお渡しできますが」
マジか!?
私はもともと黒を狙っていた。そして通常納車までに4週間はかかると言われていたのでこのおいしすぎる話に飛びつきそうになってしまう。
なんとかグッとこらえる私。
私「それはいいですね。かなり前向きに検討してみます」
営業「分かりました。おっしゃっていただければいつでも押さえますので・・・」
私「はい。では・・・」
やばい。
値引きはもとより納車2週間ってのがデカイ。
ローンの金利も値引きしてくれるみたいだし、これは相当いくんじゃないか?
この結果を明日トヨタに話して、この条件よりもさらに下げてくれるか交渉しよう。それでだめならダイハツにしちゃおう。
もはやベリーサなどは虚空の彼方に吹き飛んでしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だが家に帰って冷静な頭でふとあることに気づく。
それは実際問題交渉においてTがほとんど役に立たなかったこと・・・ではなくて、
ダイハツでもらった端数97000円を引いた明細をよく見ると、始めに言っていた本体からの10万の値引きが反映されていないのだ。
見積書をよく見直さないと気がつかなかったことだ。
10万+端数97000円の値引きと思わせておいて、実際には端数分の値引きしかしていない。
さすがに値引き交渉は食うか食われるかの世界だ。
散々好条件を出してきたのはこちらの目を曇らせるためだったのだな。
だが気がついたからにはチャンスはこちらにある。
今度この明細の金額から「本体から10万引いていただけるんですよね?」と引いてもらうことにしよう。
トヨタの人のようにいい人が相手なら、なんだかこちらも気が引けてしまって強い要求も出しにくいが、相手がその気ならこちらもとことんまでやってやろうじゃないかという気になる。
静かな闘志に燃え始める雪の夜だった・・・・・・・・・
次回 最終話「交渉の先に・・・」
お楽しみに♪
つづく
車買うことを決意
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新車を買うことにするが車種で悩む
↓
結局ラッシュ/ビーゴを本命にすることに
↓
札幌で値引き交渉開始
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トヨタのベテラン営業マンに惨敗
さて、国試という枷が無くなったため自由に飛びまわれるようになった私はさっそく行動を開始した。
今度は札幌のように無様に失敗できないため、準備をより念入りにして助っ人までつけることにした。
ところで皆さんは値引きに有利な助っ人とはどういうタイプの人かご存知だろうか?
車に詳しい人・・・?
実はそうではないのである。
私が勉強したところによると・・・
「車に詳しい人は確かに商談で有効ですが、あまり詳しすぎでマニアになってしまうと、セールスマンが敬遠しがちになります。
そういう方の知識はすごいものがありますから、車についてのみで言えば、セールスマンなど軽く論破されるでしょう。
ただ、車の性能等をどんなに詳しく知っていても、商談には期待はもてません、『お客さん詳しいですね~ どうぞごゆっくりお車をご覧下さい、なにかありましたら奥にいますので呼んでください・・終了』というセールスマンも多いと思います。
話がマニアックな話になればなるほど、どんどん商談から離れてしまいます。」
ということらしい。
では有利に交渉を運べる人材はどんな人かというと・・・
強気・ずーずーしい女性
なのである。
「のっけから、度肝を抜くような冗談とも本気ともとれるような発言をする人などいいですね。
セールスマンの心理としては、購入者(あなた)への心象を悪くしたくはないですから、苦笑いしながら対応するはずです。
お店に行く前に、事前打ち合わせをして、こういう人に言いにくいことをバンバン言わせてしまいましょう。
セールスマンが難しいことや歯切れがわるかったりしたら、『○○さん、何に言ってるのかさっぱりわかんない』と、精神攻撃をするくらいの方がいいですね。
それから、女性の場合の特権は、反論が感覚的でも許されるということもあります「車のライトの形がかっこ悪い」とか感覚的な物をしゃべってくれるだけで弱点を突く攻撃になります。
「理屈抜き」これは女性の特権ですね」
と、いうように向こうに主導権を握らせないようにする効果があるらしい。
相手は百戦錬磨のプロである。こういった精神攻撃専門のサブウエポンを用意していかないと、気がついたら向こうのペースにはまって値引きがうまくいかなくなってしまうということだ。
そこで私は図々しさには定評のあるTに同行を依頼することにした。
Tも私と同じように新しく乗る車を探していてた。
しかもラッシュもしくはビーゴも候補に入っているということで、ディーラー回りをすることはTにとっても悪い話ではないだろう。(Tはパパに買ってもらうので交渉は必要ないのかもしれないが)
そんなわけで旭川での交渉に出発する我々。
まずはマツダのベリーサを見に行く。
ベリーサはボディの美しさが目に留まったのであるが、とりあえずよほどのことがない限り買う気はない。
あくまでもラッシュ/ビーゴの競合用だ。
それでも大して買う気がないのをマツダ側に気づかれてはならない。
そこで私はTに「入ったらまずスンスンス~ン ハシルヨロコビ~♪て歌って」と指示した。
マツダのCMソングを歌うことで好感度アップを狙う作戦だ。
しかしあろうことかTは「は?やだよ」とまるで取り合ってくれない。
この作戦の重要さがイマイチ分かっていないようだ。
仕方ないので普通に入店。
しかしここマツダでも入って数秒は放置された。
やや間があって、奥の方で上役っぽい人に「行きなさい」みたいな感じで促された女性店員が近づいてきた。
女営「いらっしゃいませ」
私「ども。ベリーサを見せてもらえますか」
女営「ではこちらにどうぞ」
と窓際のテーブルに案内される。
女性か・・・
女性の営業は男性のそれと比べて値引きがしにくいというような傾向にあるようだ。
女性は比較的真面目に会社の値引き基準を守ろうとするからだそうだ。
私「ベリーサは今ありますか?」
女営「いえ、今はおいていません。で、ですが次回お越しいただける際にご連絡いただければご用意しておきます」
私(実車がないなら話にならんな・・・)
その後出してくれたオレンジジュースを飲みながらカタログを使っての丁寧な説明を受ける。
だがカタログに載っていること程度なら既に私は勉強済みであったため、非常に退屈な時間であった。
ためしにカタログに載っていない内容についての質問をしてみたが「あの・・・すいません。勉強不足でして・・・」と分からない。
勧めるポイントも内装の色やボディなど見た目に偏っていていかにも女性らしかった。
ひととおり説明を受け、見積もりをだしてもらった。
値引きは5万。
これはベリーサにしては少なすぎる。
私たちは席を立った。
次はいよいよトヨタだ。
入ってすぐ、
「いらっしゃいませ~!」と気持ちのいい声。
私「ラッシュを見に来たんですが」
営業「はい!ございますよ!ではこちらにどうぞ。試乗はされますよね?」
私「ん、ああはい」
営業「かしこまりました。少々お待ちください」
奥の方に鍵を取りにいく営業マン。
私「あのさ、おれ今日コンタクトしてないから運転して」
T「え?え?」
私「おれ助手席に乗るから運転しながら感想教えてね」
というわけでTに運転してもらって私は助手席に乗ることに。
営業マンは後部座席へ。
私「んじゃてきとーにその辺回って」
T「あわわ・・・」
完全にテンパってるT。事故だけは起こさないで欲しいのだが・・・
運転中営業マンと話す。札幌のベテランディーラーから得た知識なども交え「こちらはずぶの素人ではないんだぞ」ということをアピール。
この営業マンはかなり感じのいい人で、その上若くてイケメンだ。
私はこの人から買いたくなった。
だがやっぱり最後にものを言うのは値引き額である。どこまで引いてくれるか・・・
Tに運転した感じはどう?と聞いたが「ちょっと話しかけないで!」と怒られてしまった。ビビリ過ぎである。
無事に店まで帰ってくる。
商談スタート!
女性店員がコーヒーを持ってきてくれたが、私はコーヒーなど苦くて飲めないので日本茶にしてもらった。
まず見積もりを出してもらう。
値引きは0円。
私「で、ここからいくらくらい引いてもらえますか?」
営業「う~ん、値引きですか。そうですね3万ほど・・・」
私「(3万・・・?)ん~、実は札幌の方のトヨタさんにも行って来たんですが、そこでは3月の決算期価格では10万まではなんとかがんばりますと言ってもらえましたよ?」
これはハッタリである。
本当は2月価格として5万値引きで、3月期に入ればもっと引けますよと言われただけ。10万と言う具体的な数字は出ていない。
営業「じゅ、10万ですか・・・?いやあ・・・すごいですね・・・。ちょっとうちではそこまでは・・・。がんばって5万が限界です。で、でもその分オプションの方で相当がんばらせていただきますよ!」
いい人そうなだけに心が痛む。
だが 情 け は 禁 物 である。
私「なるほど・・・。例えばどんな風に?」
営業「そ、そうですねぇ・・・スタッドレスなどを少々・・・あとナビもお付けになるのでしたら値引きいたします」
私「そうですか。とりあえずこれからダイハツさんも見てきますので、それから帰って検討いたします」
営業「はい!よろしくお願いいたします!」
う~ん。気持ちのいい人だ。
ここで買いたいなぁ・・・
最後にダイハツ。
トヨタのラッシュとダイハツのビーゴは会社が違うだけで車は同じもの。競合相手としてはまさにうってつけ。
営業「いらっしゃいませ~!」
店内は広く、オシャレな雰囲気。
ここもなかなか感じがいい。
一人の営業マンが他の客の相手をしていたので、受付の女性にもう一人営業マンを呼んでもらうことにした。
女性「こちらでお待ちください」
案内されたテーブルにはなにやら飲み物のメニューが書かれた紙があった。その下に「ダイハツカフェ」と書かれている。
ここは喫茶店としても利用できるのか!
ということはグダグダ交渉を延ばせばただでお茶できるという事ではないか!
しかもここは飲み物だけでなくケーキもついてくる。素晴らしい店だ。
友達と遊ぶ時、「タダでお茶できるとこ知ってるぜ」などと言ってここに連れてくれば一躍人気者ではないか。
とりあえず私はアップルティーを優雅に注文。Tはまたしてもコーヒー。今日3連続である。芸のない奴だ。
「お待たせしました」
お茶が運ばれてしばらくたった頃、私たちの担当の営業マンが姿を現した。
やや小太りの40過ぎと思われる男性だ。
にこやかな笑みをたたえているが、その眼光は鋭くこれは手ごわいなと感じさせる迫力があった。
とりあえずすでに車の方は何度も見たことを伝え早々に見積もりを出してもらうことに。
さて、いくか。
私「値引きの方はこちらではいくらしていただけますか?」
「こちらでは」を強調したのはある程度他のところとも交渉は進んでいますよということをアピールするためだ。
営業「そうですねぇ・・・では10万でどうでしょう?」
!?
私は耳を疑った。
いきなり10万・・・?これはうまくすればさらに大幅値引きが期待できるか?
思わずにやけそうになるがなんとかこらえる。
だが目が笑ってしまった。自分でも分かった。
そして悪いことにおそらくそれを悟られてしまった。
(引きすぎたかな・・・?)という顔をしている。
まあ勝負はこれからよ。
私「う~ん。ではオプションとかつけたらどうなりますかね。これとこれと・・・これつけてもう一回見積もりしてもらえますか?」
営業「かしこまりました」
営業マンが奥に計算しに引っ込む。
その間私とTは「ちょwwwマジかよ10万てwww」とはしゃぐ。
営業マンが戻ってくる。
すぐにキリッとした表情に戻る私。
私「どうなりましたかね?」
営業「こちらになります」
提示された見積書のオプションはほとんど値引きがされてなかった。
(やはりさっき引きすぎた分を取り返す気だな・・・だが!)
私「ではこれをもうちょっと引いてもらえますか」(なにが「では」だよと自分でツッコミをいれながらも提案)
営業「え・・・そうですね。じゃあ2万引きくらいで・・・」
私「5万引いてください(ニッコリ)」
営業「は?」
私「トヨタさんではオプションの値引きをがんばりますと言っていただいたもので・・・」
内心かなりビビりながら要求。
大丈夫、まだいけるはずだ・・・!
営業「(#^ω^)ビキビキ・・・分かりました。では特別に5万引きで」
うわー
目がこえー
そうして出してもらったお支払い総額。
営業「ん~・・・ではこの端数の97000円をカットしまして・・・これでどうでしょう!」
!!?
な!?ここでさらに97000円の大幅値引き!?
おいおいまじかよまじかよ。
私はかなりダイハツに気持ちが傾く。
だがそんなそぶりを見せてはいけない!
当たり障りのない話をしよう。
私「あ~なかなかいいですね~。ところで車体の色によって納車の時期とかって変わってくるんですかね?」
営業「少々お待ち下さい」
営業マンがいなくなるとまたはしゃぎだす私とT。「おいおいここにきてさらに10万近くの値引きだぜ!大丈夫かダイハツwww」
営業マン戻る。
クールにキメる我々。
営業「ただいま在庫が何台かございまして、黒ならば2週間くらいでお渡しできますが」
マジか!?
私はもともと黒を狙っていた。そして通常納車までに4週間はかかると言われていたのでこのおいしすぎる話に飛びつきそうになってしまう。
なんとかグッとこらえる私。
私「それはいいですね。かなり前向きに検討してみます」
営業「分かりました。おっしゃっていただければいつでも押さえますので・・・」
私「はい。では・・・」
やばい。
値引きはもとより納車2週間ってのがデカイ。
ローンの金利も値引きしてくれるみたいだし、これは相当いくんじゃないか?
この結果を明日トヨタに話して、この条件よりもさらに下げてくれるか交渉しよう。それでだめならダイハツにしちゃおう。
もはやベリーサなどは虚空の彼方に吹き飛んでしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だが家に帰って冷静な頭でふとあることに気づく。
それは実際問題交渉においてTがほとんど役に立たなかったこと・・・ではなくて、
ダイハツでもらった端数97000円を引いた明細をよく見ると、始めに言っていた本体からの10万の値引きが反映されていないのだ。
見積書をよく見直さないと気がつかなかったことだ。
10万+端数97000円の値引きと思わせておいて、実際には端数分の値引きしかしていない。
さすがに値引き交渉は食うか食われるかの世界だ。
散々好条件を出してきたのはこちらの目を曇らせるためだったのだな。
だが気がついたからにはチャンスはこちらにある。
今度この明細の金額から「本体から10万引いていただけるんですよね?」と引いてもらうことにしよう。
トヨタの人のようにいい人が相手なら、なんだかこちらも気が引けてしまって強い要求も出しにくいが、相手がその気ならこちらもとことんまでやってやろうじゃないかという気になる。
静かな闘志に燃え始める雪の夜だった・・・・・・・・・
次回 最終話「交渉の先に・・・」
お楽しみに♪
つづく
それにしても最初から10万引きなんて凄いですねぇ!もしかしたら目標額以上にいけちゃうんじゃないですか?
結末が楽しみです☆
第4話をお楽しみに☆
てか、ダイハツもかなり最高だね☆
早く続き書いてください
今日はマックのこと書くんで、つづきはちょっと待ってて(笑)