それは暑い夏の夜だった。
私は珍しく真面目に数学の問題などを解いていたところだった。
左目の視界の隅に、なにか黒いものが映った…
それはチラッとしか映らなかったが、私の部屋の景色として明らかに異質なものであった。
音を一切たてず、Gは現れた。
その圧倒的な威圧感!
なぜこのサイズの生き物がここまでの迫力を醸し出すのだろう・・・
鼓動が高鳴る。
手が汗ばむ。
今度は床に、やつは姿を現した。
イスに座っている私はちょうど見下ろすかたちになっている。
でかい・・・
5cmはゆうにありそうだ。
あの吐き気を催す足のギザギザも、よく動く触角もはっきりと観察できる近さ・・・
その距離約2m。
Gはタンスの下から現れたきり、その場を動かない。
まるで私を挑発しているかのようだ。
だがもう今までの私とは違う。
今のうちにせいぜい粋がっておくがいい・・・!
Gよ、おまえはこちらが準備万端で待ち構えていたことなど知る由もない。
おまえに与えられた数々の屈辱、いまこそ晴らさせてもらう・・・!
私はゆっくりと棚にしまってある愛銃に手を伸ばす。
興奮に、つい口が緩む。
もちろんその間もGからは目が離せない。
まだ動くな・・・動くな・・・
銃に、手が・・・
届いた!!
そのままゆっくりと銃を手前に引き寄せる。
ガチャコッ!
弾を込めるその音にも、Gは微動だにしない。
息を大きく・・・吸って、吐く。
この距離、そして動かない的。
今の私なら外しっこない。
ついに、今まで絶対に翻ることのなかった私とGの上下関係を打ち破る時が来たのだ。
これで虫けらごときに気圧される毎日ともオサラバだ。
この一撃から、私の新しい人生が始まる…!
狙いをつける。
何回も訓練を積み上げ、磨きをかけたこの動作。
すべては、この日のために・・・
くらえ!Gッ!!
!?
これが野生の勘とでもいうのだろうか。
はたまた伊達に太古の時代からこの地球を蹂躙していた訳ではないという事か。
弾丸が発射されるそのほんのコンマ何秒か前、Gは動いた。
瞬間動揺した私の手はわずかにぶれてしまう。
バチンッ!!
勢いよく発射された弾丸は床を抉っただけ。
Gはものすごいスピードで接近してくる!
悪いことは外したということだけではなかった。
床に跳ね返り、なおかつ入り口の扉にも跳ね返った弾丸は私の右手の指に直撃した。
激烈な痛みと、外した悔しさと、Gが接近してくる恐怖から
「ぬおお!!」
などという下品極まりない声を漏らしながら第2射の弾丸を込める。
Gはもう、すぐそこまで迫ってきている!
狙いをつける暇などない。
とにかくここで殺らないと、こっちが殺られる!!!
第二射!
ボウンッ!!
既にイスの下にひくカーペットまで接近されていたため、カーぺットに弾丸がめり込む鈍い音が響く。
外した・・・!!
そう確認し終わる前に死に物狂いで足を上げる。
Gは私の素足から20cm近くのところまで来ていたのだ!
もし、仮に、
非常に考えたくないことだが、あの5cmの黒い魔獣が素足に乗り、ふくらはぎから太ももにかけて登ってきたら・・・!
冗談でもなんでもなく気絶しそうだ!
「ウヒョウゎっ!!」
みたいな極めて情けない声をあげて、命からがら部屋を飛び出した。
そのまま望(弟)の部屋に転がり込む。
私「はっ・・・はあっ・・・!ご、ゴキブリが・・・!」
望「( ´,_ゝ`)プッ」
・・・こ、こいつ・・・!
この兄が、今まさに命のやり取りをし、勇敢なる撤退をしてきたばかりだというのになんて態度だ!
とりあえずその日はGが私の部屋からいなくなるまで望の部屋で遊んで過ごした。
部屋に戻る前はもちろん望に安全を確認してもらった。
私ばかりではなく望の勉学の邪魔までするとは本当にどうしようもない害虫だ。
その夏、何度となく私とGとの戦いは続いた。
死闘は常に決着がつかなかった。
あるときGの足を吹っ飛ばしたことがあったが、その後親父に家具に傷をつけたという理由で吹っ飛ばされた。
だがついにGの息の根を止める時がきた。
Gはあまりにも不用意に、のろのろと姿を現した。
私は部屋に飛んで行き、愛銃をひっさげ望を呼んだ。
私「見てろ。あいつを一撃で仕留めてやる」
兄としていいところをみせ、なおかつ永きにわたるGとの戦いの歴史に終止符を打つ。
こんどこそ、やってみせる。
・・・・・・・・・まさに一撃。
弾丸が直撃したGは破裂するようにバラバラになった。
思ったほど中身はぐちょぐちょしていなかったという記憶がある。
私「み、見た!?すごいしょ!?」
望「・・・掃除はどうすんだよ・・・」
( ゜д゜ )
・・・・・・・・・・・その後、私はGに対して必要以上に怯えることはなくなった気がする。
たった一度でも、絶対的強者を破ったというその自信が私に勇気をくれた。
なおこの一件で身につけた射撃のスキルは、現在遊園地やゲームセンターなどで役立っている。
私は珍しく真面目に数学の問題などを解いていたところだった。
左目の視界の隅に、なにか黒いものが映った…
それはチラッとしか映らなかったが、私の部屋の景色として明らかに異質なものであった。
音を一切たてず、Gは現れた。
その圧倒的な威圧感!
なぜこのサイズの生き物がここまでの迫力を醸し出すのだろう・・・
鼓動が高鳴る。
手が汗ばむ。
今度は床に、やつは姿を現した。
イスに座っている私はちょうど見下ろすかたちになっている。
でかい・・・
5cmはゆうにありそうだ。
あの吐き気を催す足のギザギザも、よく動く触角もはっきりと観察できる近さ・・・
その距離約2m。
Gはタンスの下から現れたきり、その場を動かない。
まるで私を挑発しているかのようだ。
だがもう今までの私とは違う。
今のうちにせいぜい粋がっておくがいい・・・!
Gよ、おまえはこちらが準備万端で待ち構えていたことなど知る由もない。
おまえに与えられた数々の屈辱、いまこそ晴らさせてもらう・・・!
私はゆっくりと棚にしまってある愛銃に手を伸ばす。
興奮に、つい口が緩む。
もちろんその間もGからは目が離せない。
まだ動くな・・・動くな・・・
銃に、手が・・・
届いた!!
そのままゆっくりと銃を手前に引き寄せる。
ガチャコッ!
弾を込めるその音にも、Gは微動だにしない。
息を大きく・・・吸って、吐く。
この距離、そして動かない的。
今の私なら外しっこない。
ついに、今まで絶対に翻ることのなかった私とGの上下関係を打ち破る時が来たのだ。
これで虫けらごときに気圧される毎日ともオサラバだ。
この一撃から、私の新しい人生が始まる…!
狙いをつける。
何回も訓練を積み上げ、磨きをかけたこの動作。
すべては、この日のために・・・
くらえ!Gッ!!
!?
これが野生の勘とでもいうのだろうか。
はたまた伊達に太古の時代からこの地球を蹂躙していた訳ではないという事か。
弾丸が発射されるそのほんのコンマ何秒か前、Gは動いた。
瞬間動揺した私の手はわずかにぶれてしまう。
バチンッ!!
勢いよく発射された弾丸は床を抉っただけ。
Gはものすごいスピードで接近してくる!
悪いことは外したということだけではなかった。
床に跳ね返り、なおかつ入り口の扉にも跳ね返った弾丸は私の右手の指に直撃した。
激烈な痛みと、外した悔しさと、Gが接近してくる恐怖から
「ぬおお!!」
などという下品極まりない声を漏らしながら第2射の弾丸を込める。
Gはもう、すぐそこまで迫ってきている!
狙いをつける暇などない。
とにかくここで殺らないと、こっちが殺られる!!!
第二射!
ボウンッ!!
既にイスの下にひくカーペットまで接近されていたため、カーぺットに弾丸がめり込む鈍い音が響く。
外した・・・!!
そう確認し終わる前に死に物狂いで足を上げる。
Gは私の素足から20cm近くのところまで来ていたのだ!
もし、仮に、
非常に考えたくないことだが、あの5cmの黒い魔獣が素足に乗り、ふくらはぎから太ももにかけて登ってきたら・・・!
冗談でもなんでもなく気絶しそうだ!
「ウヒョウゎっ!!」
みたいな極めて情けない声をあげて、命からがら部屋を飛び出した。
そのまま望(弟)の部屋に転がり込む。
私「はっ・・・はあっ・・・!ご、ゴキブリが・・・!」
望「( ´,_ゝ`)プッ」
・・・こ、こいつ・・・!
この兄が、今まさに命のやり取りをし、勇敢なる撤退をしてきたばかりだというのになんて態度だ!
とりあえずその日はGが私の部屋からいなくなるまで望の部屋で遊んで過ごした。
部屋に戻る前はもちろん望に安全を確認してもらった。
私ばかりではなく望の勉学の邪魔までするとは本当にどうしようもない害虫だ。
その夏、何度となく私とGとの戦いは続いた。
死闘は常に決着がつかなかった。
あるときGの足を吹っ飛ばしたことがあったが、その後親父に家具に傷をつけたという理由で吹っ飛ばされた。
だがついにGの息の根を止める時がきた。
Gはあまりにも不用意に、のろのろと姿を現した。
私は部屋に飛んで行き、愛銃をひっさげ望を呼んだ。
私「見てろ。あいつを一撃で仕留めてやる」
兄としていいところをみせ、なおかつ永きにわたるGとの戦いの歴史に終止符を打つ。
こんどこそ、やってみせる。
・・・・・・・・・まさに一撃。
弾丸が直撃したGは破裂するようにバラバラになった。
思ったほど中身はぐちょぐちょしていなかったという記憶がある。
私「み、見た!?すごいしょ!?」
望「・・・掃除はどうすんだよ・・・」
( ゜д゜ )
・・・・・・・・・・・その後、私はGに対して必要以上に怯えることはなくなった気がする。
たった一度でも、絶対的強者を破ったというその自信が私に勇気をくれた。
なおこの一件で身につけた射撃のスキルは、現在遊園地やゲームセンターなどで役立っている。
予想どおりw
今の官舎は出そうだね~。
つかよく立ち向かえるね~。ガンバレ!
私は生粋の道産子だからその生物は見た事ないんですけどね!
まあ床掃除が大変になるのはいっしょだね(笑)
流し専用の対処法だわ。