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中国の強力な引力から誰も抜け出せない

2013-12-12 17:01:08 | コラム

(2013年12月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国の最高指導者だった小平氏は、才能を隠して内に力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」という格言を好んで引用した。適切な時期が来るまでは国の能力を隠し、所得増大と世界の経済システムに国を組み込むことを最優先した。

 中国は今や世界第2の経済大国で、将来はトップに立つ可能性も高い。習近平国家主席は中華国家の偉大な復興という「中国の夢」を語り、国の威信を取り戻そうとしている。控えめなふりをする時代は終わったのだ。

■企業や国家首脳に影響力行使

 中国は尊敬、さらには恭順に値する国だとの自覚は、2008年以降目立つようになった。リーマン・ショックを受けて市場資本主義に対する信頼、特に米国は絶対確実だとする信念が揺らいだからだ。中国は最近、こうした考えを一段と進め、外資系企業トップや国家首脳、ジャーナリストにさらなる影響力を行使している。アジア協会米中関係センターのオービル・シェル氏の言葉を借りれば、中国政府は「引力マシン」の回転速度を上げ、取引相手に対する引力を強めている。キャメロン英首相から米通信社ブルームバーグのウィンクラー編集主幹まで、誰もがその影響を実感している。

 氏の経済改革は海外の資本と技術を呼び込むことを当てにしていた。だが中国経済の発展に伴い、誰が誰を必要としているのか判然としなくなってきた。中国政府は最近まで容認してきたような慣行について、外資系企業に異議を申し立てている。

 今年に入り、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が、スマートフォン(スマホ)「iPhone4S」の修理補償サービスの運用が「傲慢」だったとして謝罪に追い込まれ、仏ダノンなど粉ミルクメーカーも価格カルテル容疑で罰金を科せられた。さらに、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)も同社の製剤を処方してもらうために医師や病院に賄賂を提供したとして厳しい批判を浴びている。外資系企業はかつてかなり大きな影響力を持っていたが、世界最大で最も急速な成長を遂げる市場を持つ中国が今や支配的立場にあるというのが新たな現実だ。

 中国の「引力」の威力を実感しているのは企業トップだけではない。英国はキャメロン首相がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談してから1年間、事実上、中国に排除された。フランスのオランド大統領が4月に中国に公式招待された際には、訪問団の中には英国に勝ったとして喜びを隠さない者もいた。彼らが口に出さなかったのは、オランド氏がダライ・ラマ14世との会談を差し控えたということだ。

 キャメロン氏はゲームのルールを学んだようだ。今月の北京訪問では礼儀正しく振る舞い、人権問題についてもほとんど触れなかった。キャメロン氏の北京滞在中、習氏一族の蓄財疑惑を報じたブルームバークの英国人記者は会見から締め出された。英政府はこれに「憂慮」を示したが、会見はそのまま進められた。

■報道機関、大学へも力

 ブルームバーグは騒動の渦中にある。中国首脳の不正蓄財疑惑を調査報道している米紙ニューヨーク・タイムズと共に、中国政府から記者用査証(ビザ)の更新を認められていないからだ。ウィンクラー氏は中国に関する微妙な記事を没にしたとされる。同氏はこの記事について「発表できるレベルになかった」と述べ、ブルームバーグも中国でのビジネス上の利益を守るために、編集の品位を傷つけたとの疑惑を否定している。だが、シェル氏が指摘するように、中国政府の報復力に対して二の足を踏まない記者はほとんどいないはずだ。

 大学でさえも例外ではない。迫害から逃れて渡米した盲目の中国人活動家・陳光誠氏は、中国政府の圧力を受けて客員研究員の契約を早期に打ち切ったとしてニューヨーク大学を非難した。上海に新キャンパスを開設した同大学はこれを否定している。

 中国が勢力を強めている最たる例は、11月に日本と紛争を起こしている島(沖縄県・尖閣諸島)を含む「防空識別圏(ADIZ)」の設定を宣言したことだ。米政府は中国の唐突なやり方を批判しつつも、米航空各社に対して規定に従うよう指示している。

 中国は今後もさらに厳しい条件を突き付けてくるだろう。これは過去において2000年間超大国として扱われていた中国としては想定内で、当たり前ともいえる。だからといって、他の国がこれに簡単に応じるとは限らない。

by David Pilling

(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

[FT]中国の強力な引力から誰も抜け出せない  より



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