CRAZYの戯言

ブログ無期限の一時休止です。ポイしないでください(笑)
⇒ちょろっとだけ復活してます(∩◇∩)!!!

「卑日」で前面突破?逆切れの韓国

2013-11-08 13:32:14 | コラム
 米国が集団的自衛権の行使容認問題で日本政府を支持したら「面子がつぶれた」と怒りだした韓国。それを報じた「日米同盟強化で逆切れした韓国」の読者から質問が相次いだ。今回は、隣国に首をひねる人々との対話編の2回目である。

「親中に追いやるぞ」

韓国紙が一部とはいえ「だったら、中国と同盟しよう」と書いたとのくだりには少々驚きました。本気なのか、あるいはすねて見せ米国の気を引くのが目的なのでしょうか。

鈴置:確かに「あなたが私よりも日本を可愛がるなら、中国と仲良くするけど、いいの?」と袖を引いている部分もあると思います。

 例えば、文化日報のイ・ミスク国際部長の書いた「逆行する米国の対日外交」(10月16日)はそんなニュアンスです。この記事は、集団的自衛権問題で米国が日本を支持したことを強く非難したうえ、以下のように結んでいます。

・日本の右傾・軍事化を見逃すのなら、それは米国のアジア回帰の道ではなく、アジアの友邦を親中国家に追いやる道だ。

 一方、「日米同盟強化で逆切れした韓国」で引用した韓国日報の北京特派員の記事は、本心から中国との同盟を主張していると読めます。米韓同盟よりも中韓同盟の方が韓国の国益に利する、と論理的に説明しているからです。

「だったら、中国と……」とは、すねて言っている部分もあり、本気の部分もあり、ということなのですね。

初めて米国以外に「同盟先」

鈴置:ええ、そうです。いずれにせよ、東アジアの動向を読む際にこれらの言説を軽く見てはいけないと思います。とにもかくにも韓国メディアが「中国との同盟を考えよう」と言い出したのは初めてのことなのです。

 過去に米韓同盟が不安定になった時期は何度もありました。最近だと反米親北の盧武鉉政権(2003-2008年)の時です。米国も真剣に同盟の打ち切りを考えたようです。

しかし、そうならなかったのは、当時の韓国は中国との同盟に踏み切るハラを固めていなかった――というか、そんな意図は全くなかったからです。

 反米ごっこに明け暮れた結果、「勝手にしろ」とばかりに戦時の作戦統制権まで投げ返された韓国政府は「米国に見捨てられると北朝鮮の脅威を防げない」と焦りました。国民からも不安の声も上がりました。

 そこで、韓国は一気に米国の歓心を得る方向に転じました。反米政権たる盧武鉉政権が、米韓自由貿易協定(FTA)締結を申し出たのは米国への「わび状」だったのです。

日本の民主党政権も「わび状」

日本の民主党政権が、突然に環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を言い出したのと似ていますね。

鈴置:全く同じ構図です。鳩山由紀夫政権は「アジア共通の家を造る。米国はそこに入れない」と表明したこともありました。そうした反米親中の姿勢を修正する証拠としてTPPが必要だった、と複数の政府関係者が証言しています。

 話を戻します。今の韓国なら、米国から見捨てられそうになっても「わび状」を差し出す必要はないかもしれません。韓国には中国という「もう一つの同盟先」ができたからです。米韓同盟が大きく揺れれば、韓国が一気に中国陣営に走る可能性もあります。

 米国も韓国の二股外交はもう分かっています。今は我慢しているのでしょうが、いつ見切って捨てるかもしれない。仮に「すねて見せている」だけとしても「ヒョウタンから駒」になりかねないのです。

 こうした状況を中国はよく見ています。米韓関係が悪くなると、すっと韓国に手を差し出します。

隙間風送る中国

 ヘーゲル米国防長官の提案した「米日韓3国軍事協力体制の強化」に対し朴槿恵大統領が反対し、なおかつそれを公表しました(「ついに米国は韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。当然、米国は怒りました。

 この事件は9月30日に起きました。直後には中国が、予定になかった李克強首相との首脳会談を韓国に申し出て、10月10日にブルネイで実現しました。

中国は機を見るに敏ですね。

鈴置:それだけではありせん。最近、中国人が韓国人に「日本と韓国が戦争したら、米国はどちらを助けると思うか」と聞くようになったそうです。これ自体が巧妙な宣伝工作です。

 韓国メディアが「米国は日本より韓国を大事にしている」と書いているところに、集団的自衛権の問題で米国は日本を支持。韓国人が米国に対し不信感を強めている今、この質問なのです。

米国は別段、韓国よりも日本を大事にしたわけでもないと思うのですが。

中国株式会社では“役員”に

鈴置:ええ。米国としては自国の安全保障のために3国軍事協力の強化を同盟国に訴え、韓国が反対したので見切り発車しただけでしょう。

 でも、韓国人は「日本を選んだ」と見たのです。冊封体制的な序列重視の韓国社会では、何らかの「決定」が「内容」よりも「主張する人と、権力を持つ人の近さ」で決まるからでしょう。韓国人にとっては、宗主国にどれだけ近いかが一大事となります。

 そこに中国人の、質問の形を借りた懐柔作戦。「米国は結局、日本の方を大事にしますよね。もし、韓国が我が陣営に鞍替えすれば、日本よりもはるかに上の存在になれますよ」とささやいているのです。

 日本が中国の冊封体制に入ってくるとは考えにくい。歴史的にも韓国は中華帝国の「いい子」だったのに対し、日本は「外の人」でした。だから、序列が重要な韓国人にとっては極めて魅力的で、現実的な提案です。

 なるほど! 出世志向のサラリーマンが「今のままなら永遠に同期の下風に立ったままだよ。うちの会社に来れば役員になれるかも」とささやかれ、心を動か しているようなものですね。でも、“中国株式会社”に心理的抵抗はないのでしょうか。昔、忠実な社員だったことはあるにしろ“米国株式会社”で伸び伸び やってきたのですから。

反日は国民向け糖衣に

鈴置:だから「離米従中」を偽装する「反日」が重要になるのでしょう。朴槿恵の韓国は急速に中国に傾斜している。本来なら、これに不安を訴える人がもっと出てきてもおかしくない。中国株式会社は韓国でも「ブラック企業」視されがちですから。

 中国傾斜を防ぐにも、米日韓3国軍事協力の強化が必要だと考える人は韓国にもいます。ただ大統領から「慰安婦を侮辱する日本とは協力できない」と言われてしまえば、メディアも普通の人も「それでも日本と軍事協力を」とは言いにくい。

 韓国人の娯楽の一種でもある「反日」は、「離米従中」の苦さを誤魔化すための糖衣――シュガー・コーティングにも使われているのです。

鈴置さんは「反日は離米従中の偽装」とかねてから指摘してきました。目的は米国を誤魔化すためとのことでしたが、国民向けでもあるのですね。

「偽装」を指摘するのは少数派

鈴置:その通りです。もう、米国には「反日独り芝居」というか「猿芝居」であることがばれてしまった。でも、国民の不安を抑えるためにも「反日」は手放せません。中国の引力が増すであろう今後、韓国はますます「離米従中」に進む可能性が高いからです。

その「偽装の構図」を指摘する人は韓国にいないのですか?

鈴置:わずかですが親米保守派にいます。「日米同盟強化で逆切れした韓国」で紹介した元・ベテラン外交官の李長春氏が少ない例です。同氏は趙甲済ドットコムで、「敵と同志を取り違えた親中反日の幻(まぼろし)から覚めよ」とまで言い切っています。

 そのネットメディアの主宰者で「米国も見透かす韓国の『卑日一人芝居』」で引用した趙甲済氏も同様です。「韓―米―日同盟体制下で親中反日は可能なのか」(10月6日)といった記事をしばしば載せています。

 ただ、趙甲済ドットコムは韓国では「極右メディア」と見られがちで、ここに載る主張は少数意見に留まっています。

では、普通の新聞は?

米中天秤で切り抜ける

 大手メディアはもちろん「反日はまやかしだ」とは書きません。国民から親日派と批判されてしまうし、政府の面子をつぶすからでしょう。ただ、10月3日の「日米同盟強化」以降、日本との関係改善を訴える主張が、各紙に相次いで載るようになりました。

 典型的なのが、朝鮮日報の金大中顧問の「韓日関係をいつまでこのまま放っておくのか」(10月15日)というコラムです。なお、この金大中さんは同名の元大統領とはもちろん別人です。

 韓国保守論壇の大御所ですが、2013年4月に「“二股外交”」という見出しの記事で米中間の等距離外交を提唱し、韓国研究者を驚かせた人です(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参考)。

 今回のコラムでは、頑固に反日姿勢を続ける朴槿恵政権を念頭に「膠着した日韓関係を打開しよう」と訴えました。「経済的にも日本との関係が重要だ」という文章に続く、以下が本音部分と思われます。

・我々がさらに深く考えるべきことは、アジアの安保戦略面で「日本を前に立たせる」意図を明らかにした米国と、今後どのように調整するのか、ということだ。

・我々は(米国と軍事的に一体化した)日本と、中国の、どちら一方にも傾かないよう留意せねばならない。

米国が怒る前に微調整

 各紙に一斉に載った日本との関係改善を訴える論説を読むと、韓国人の懸念が「対日」よりも「米国との関係悪化」にあることが分かります。日本とケンカしても米国が肩を持ってくれるから大丈夫、と考えていた計算が「日米同盟強化」であてが外れたからです。

 そこで日本に対し融和的な姿勢を示し「日韓関係が悪化した原因は韓国の頑固さにはない」ことを米国に訴える、新たな作戦が構想されたということでしょう。

「米国と関係が悪くなってはいけない」との発想は「海洋勢力側に戻る」を意味するのですか?

鈴置:まさにそこがポイントです。注意すべきは、それらは「米国側に完全に戻ろう」とは言っていないことです。

 最近、中国に傾きすぎたから「米中を操る天秤」が機能しなくなりそうだ。それではまずいから、米国が本気で怒りだす前に、ここらで微調整しておこう――といったニュアンスです。

 趙甲済ドットコムのようにはっきりと中国傾斜の危険性を指摘し「海洋勢力として生き残ろう」と訴えている記事はまずありません。

結局、韓国はどこへ行くのでしょうか?

離婚時期決める作戦統制権

 韓国が岐路に立っていることは明白です。しかし、中国側に行くのか、米国側に残るのか、あるいは核武装中立の道を選ぶのか、今の段階では分かりません。1つ言えるのは、韓国がまどろんできた二股外交の夢が早くも怪しくなったことです。

 「日米同盟強化」で韓国の立ち位置が問われるようになったからです。ミサイル防衛(MD)でも米国から踏み絵を突きつけられました(「ついに米国は韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。

 作戦統制権の返還問題も、その時期が「米韓の離婚」を大きく左右することになると思います。米韓は2014年上半期までに、戦時の作戦統制権をいつ、韓国に返還するか決める予定です。

 もし返還時期を、現在の「2015年12月」から「無期延期」と変えるなら、韓国は当面は米国陣営に留まる可能性が高まります。

 しかし、韓国の二股外交にいらだつ米国は「1年間程度の延期」で押し切ると予測する安全保障専門家もいます。「延長」を小出しにすることで、韓国の忠誠心を恒常的に確かめられるからです。

 ただその際、韓国はその不安定さに耐えかね、あるいは「米国に見捨てられる時期が迫った」と考え、中国傾斜の勢いを増すことになるかもしれません。

対日政策はどうなるのでしょう? メディアは関係改善を訴え始めたとのことですが、政府はその方向に動きますか?

卑日強化で前面突破か

鈴置:朴槿恵政権はメディアの主張とは反対に「卑日」を強化する可能性があります。韓国が今、困っているのは日米同盟が強化されたため自らの中国傾斜が目立ってしまい、米中二股外交の余地が狭まったことです。

 韓国紙が言うように日本に少し寄って見せ、米中等距離に戻ったように振る舞う戦術も確かにあります。でも、前面突破する覚悟があれば、そもそもの原因たる「日米同盟強化」を破壊すればいいのです。

 具体的には、日本の軍国主義化をさらに言い募り「戦犯国たる日本に米国は翼を与えた」と米国や世界で宣伝する手があります。すでに韓国紙ではそうした議論が始まっています。

 米国が日本の集団的自衛権の行使容認を支持した直後から、紙面には「戦犯国」や「敵国条項の対象国」という単語が以前にもまして躍るようになりました。日本は米国を含む世界の敵ではないか、これを言いたてようではないいか――との考え方は依然、根強いのです。

 「日米離間」は韓国の二股外交の余地を増すだけではありません。中国に頭を撫でて貰えます。さらに中国が尖閣を奪い取る助けにもなります。多くの韓国人は「日本が尖閣を取られればいいのに」と願っていますからね(「『尖閣で中国完勝』と読んだ韓国の誤算」参照)。

 それに対日関係改善策のように、日本に譲歩したとは受け取られません。対日強硬姿勢がウリの朴槿恵政権としては「日米離間策」の方がはるかに得です。

そんなに簡単に「日米離間」ができますか?

慰安婦像で日米離間

鈴置:例えば「日本人の残虐性」を訴えるべく、在米韓国人が「従軍慰安婦の像」を米国各地に建設し始めました。こうした活動を続ければ、日本のイメージは落ちていくと韓国人は期待しています。

 韓国の卑日活動は中国からの支援を受けていると見る人もいます。その中国外務省の広報予算は日本とは桁違いに多いのです。米政界でのロビー活動も、日本のそれとは比べものにならないほど活発です。

 また、朴槿恵はオバマに好かれている半面、安倍は嫌われている――と韓国では理解されています。「権力者との距離」で物事が決まる韓国では「集団的自衛権では日本にしてやられたが、大統領の個人的関係を生かせ、まだまだ巻き返せる」と考える人が多いのです。

11月2日、パリでの仏紙フィガロとの会見で、朴槿恵大統領が「日本は反省しない」と、卑日発言をまた繰り出しました。

鈴置:韓国は日本のイメージを落とすことに注力してきました(「なぜ、韓国は東京五輪を邪魔したいのか」参照)。その作戦は「日米離間」にも効果があると韓国人は信じているわけです。「ナチスと同罪の日本と、米国は手を組もうとしている」とのイメージを作れるとの判断です。

 「日米離間」を仕掛けたり「中国側に走るぞ」とすねて見せたり。朴槿恵の韓国は当面は――作戦統制権などの問題で最後の決断を迫られるまでは――しぶとく二股外交を続けると思います。

 「国が生き残るには、米中どちらがアジアの覇権国になるか判明するまで、双方に保険をかけるしかない」との発想は、韓国ではごく普通なのです。

 

「卑日」で前面突破?逆切れの韓国 より

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿