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天動説で四面楚歌に陥った韓国

2013-12-18 14:05:33 | コラム

保守系紙も相次ぎ朴槿恵の外交を批判

 「天動説で四面楚歌に陥った」――。韓国では保守系紙までが外交批判に乗り出した。しかし朴槿恵大統領は動じる風もない。北朝鮮の政変で米国の助けが大いに必要になりそうというのに。

北朝鮮と日本が嘲笑う韓国

 韓国の現状を「四面楚歌」と評したのは中央日報のカン・ヨンジン論説委員だ。「荒波の東アジア――楚の歌が聞こえないのか」(11月29日)で以下のように書いた(注1)

(注1)この記事はここで日本語で読める。

・米国は中国包囲網に加われと圧迫を加えてくる。中国も韓国の最大交易国であることをさりげなく示しながら、立場をわきまえて振る舞えと言う。

・米日と中国との間で動きがとれなくなっている韓国を、北朝鮮は陰湿に嘲笑う感じだ。日本もそんな韓国の苦境を苦笑する雰囲気だ。韓国は四面楚歌の境遇にある。

外交の天才、我らが大統領

 「四面楚歌」とは大げさな――と思う日本人も多いだろう。確かに日韓関係は国交樹立以来、最悪だ。しかし韓国は、米国や中国とは表面的にはさほど関係が悪化しているわけではない。双方から踏み絵を迫られ始めたに過ぎない。

 韓国人のこのしょげ振りは、少し前までの異様な高揚感の反動だ。「我が国は米中双方と極めて良好な関係を築いた。両大国の力を使って日本を思う存分に叩いている」と韓国人は信じていた。

 要は米中間での二股外交なのだが、韓国紙のネット版の書き込み欄には「外交の天才、我らが朴槿恵大統領!」という称賛と「韓国に逆らう日本はもう終わりだ」との快哉とがあふれた。

 風向きが一気に変わったのは10月2日、米国が日本の集団的自衛権行使容認に賛成してからだ。韓国は自分が反対しているのだから米国は「行使容認」に反対するはず、と思い込んでいた。

 その思惑が大きく外れたため、韓国では米国に対する不信感や「中国と同盟しよう」との声が噴出した(「日米同盟強化で逆切れした韓国」参照)。

大統領が行けば雨が上がる

 しかし、次第にメディアの矛先は韓国政府の外交政策に向いた。初めに朴槿恵大統領に対する厳しい批判記事を載せたのは、左派のキョンヒャン新聞だった。

 セミョン大学のイ・ボンス・ジャーナリズムスクール大学院長が寄せた記事「青瓦台(大統領府)記者たちは死んだ、民主主義とともに」(11月7日)がそれだ。

 “御用メディア”の報道姿勢を批判する長い記事だが、外交に関する部分の要旨は以下だ。

・朴槿恵大統領は就任以来、国内記者とは一度も会見したことがない、という珍記録を持っている。

・(大統領の訪欧に同行した記者たちは)朴槿恵大統領がどこかへ行くごとに「雨が上がり、陽がかんかんと照った」とか、「朴槿恵大統領のファッションに世界が魅惑された」と書いた。

・(記者たちは)大統領に会うこともできず、広報首席にも悪く見られないか戦々恐々としながら、大統領の美談と成果だけを報じているのだ。

 普通の韓国人なら「雨が上がり、陽がかんかんと照った」というくだりで、独裁者の登場を瑞祥とともに描く北朝鮮メディアを思い出すことだろう。

韓国人の天動説

 この新聞批判が記者たちに衝撃を与えたのかもしれない。その後、保守系メディアにも朴槿恵外交を批判する記事が載り始めた。

 朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)主筆が書いた「世界は大韓民国を中心に回らない」(11月23日)は、朴槿恵政権の二股外交の危うさを率直に指摘した。

 サブ見出しは「同盟は利益も負担も分かち合ってこそ」と「この国の政治家たちは非現実的な色眼鏡を外し、世界を直視する時」の2本。記事の中のハイライトは以下だ。

・北朝鮮という問題児が隣にいる韓国の選択は、最強国の米国ほど自由ではない。島国の日本のように竹を割るごとく二者択一するのも難しい。

・「韓米同盟」と「韓中友好」の間で、どう均衡をとるかは国を挙げて知恵を絞り、手探りするしかない。

・その過程では「統一ムードが熟せば、韓国は『米韓同盟縮小』と『統一への中国の支援』を取引するだろう」というブレジンスキー元・米大統領安全保障補佐官の言葉が、個人的な疑念ではないことを常に念頭に置くべきだ。

・「世界は大韓民国を中心に回っている」と信じるのは危険千万で、何の根拠もない。「政治的天動説」に過ぎない。

“識別圏”が追い打ち

 姜天錫主筆は米中の間でどちらにも完全に寄れない――バランスをとる難しさに加え、二股外交をとっくに見抜かれてしまった以上、周辺国すべてから「コウモリ」と見なされて軽んじられる現実をも指摘したのだった。

 このコラムが載った日、韓国には激震が走った。今度の震源地は米国ではなく、中国だった。中国が“防空識別圏”を新たに設定する、と発表し事実上、領空を拡張したのだ(「似て非なる中国の“識別圏”」参照)。

 朴槿恵大統領の二股外交は、2つの点で試練にさらされた。中国の“識別圏”により、米中の緊張が高まって「お前はどちら側か」と双方から踏み絵を迫られる可能性が高まったこと(「読み違えた中国、その中国に傾く韓国」参照)。

 もう1つは、中国の“識別圏”が韓国の識別圏や、韓国が中国と管轄権を争う暗礁の上空をもカバーしたため「中国と緊密な関係を作ったなんてウソだったではないか」との国内からの批判を呼んだことだ。

米国も中国も、もう優しくない

 中央日報のコ・ジョンエ政治国際部門次長が書いた「ワンボイスないしはノーボイス」(12月5日)は朴槿恵外交の硬直性を手厳しく批判した(注2)

(注2)この記事はここで日本語で読める。

・最近、世界列強が競り合った朝鮮朝末を思い出す人が多い。列強の間の勢力変化が緊張を招くのは一般理論だ。

・しかし、韓国の外交当局が今、内部の力量を結集しているかは不明だ。ある専門家の話だ。「金章洙(キム・ジャンス)青瓦台国家安保室長が米国で、その動きも知らずに日本の悪口ばかり言うので米国人は驚いた」。

・彼はさらに明かした。「ワシントン、北京、東京の人々は韓国を以前のように親切に優しく対応してくれない」。

 朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)論説室長が書いた「冷静、冷静、また冷静」(12月4日)は、同紙の社論を一歩、踏み越えた感さえする。

中国の大国意識を警戒せよ

 サブ見出しは「性急な大国中国――さらに大きくなるものの、米国の相手にはならない」「米国の力をよく知り、日本を軽視するな。自身も過小評価してはいけない」の2本。記事のポイントは以下だ。

・中国の大国意識は病的である。防空識別圏だけではない。黄海の排他的経済水域の問題でも、中間で線を引くのではなく「大国は小国よりも広い海域を持たねばならぬ」と考えている。

・中国の代表的な国際政治学者は米中葛藤に関連、韓国人学者にこう言ったという。「小国である韓国が2つの大国を離間させ(操ることで)利を得ようなんて、お笑い草だ」。

・今、米中の間で選択せねばならぬという意見もある。しかし、米国と中国の力を同じに見てはいけない。特に米国の軍事能力は想像もできないほど発達している。

・我が国にとって中国市場は重要だ。しかし、対中輸出品の最終仕向け地は米国であることが多い。中国の人口のうち10億人はアフリカの生活水準で生きている。内部の腐敗も深刻だ。中国を米国と同じ国と見ること自体が錯覚だ。

・我々は感情的、衝動的に一喜一憂するのではなく、冷静に、冷静に、また冷静であらねばならない。

海洋勢力派の復権

 朴槿恵政権と近い朝鮮日報の社論は「米国に軸足を置いた二股外交」である。「二股」という単語を使う人もいるし使わない人もいるが、金大中顧問や姜天錫主筆ら同紙の大物記者らはその路線を貫いてきた。

 米中のどちらが東アジアの覇権を握るかはまだ分からない、との判断からだ。それと比べ、楊相勲論説室長のこのコラムは「米国の完全優位」を前提に書いている。韓国では今や極右とも見なされる、米国との同盟を重視する海洋勢力派の主張と似ている。

 趙甲済氏ら海洋勢力派は(1)米中間での二股外交などは幻想だ(2)韓国は米国と組んでこそ自由と民主主義を享受できる(3)反日は離米につながるので危険だ――と訴えてきた(『中国という蟻地獄に落ちた韓国』第4章第4節参照)。

 楊相勲論説室長のコラムは同紙の社論が変わる兆しなのか、あるいはこのコラムが突出しただけなのか、まだ分からない。ただ言えることは同紙に限らず、2013年末の段階では朴槿恵政権の中国傾斜に歯止めをかけようとする主張が各紙に載り始めたことだ。

韓国の二股を見抜いた米国

 もっとも朴槿恵政権には、それに耳を傾け海洋勢力側に戻る様子はない。12月6日、バイデン米副大統領が訪韓、朴槿恵大統領と会談した。米国も韓国の二股外交はすっかり見抜いている。バイデン副大統領は、会談でこう語った(聯合ニュースによる)。

・オバマ大統領のアジア・太平洋地域への回帰政策は決して疑念の余地がないものだ。米国は行動に移せないことは絶対に言わない。もう一度申し上げるが、行動に移せない言葉は、米国は絶対に言わない。

・今回の訪問を通じ、ずうっと他の国に対しても、米国の反対側に賭けるのならそれはいい賭けではない、と言い続けてきた。米国は今後も韓国に賭けるつもりだ。

 「米国が韓国を見捨てることは絶対にない。だから中国を頼りにしようなどと考えずに、米韓同盟を堅持しよう」とのメッセージだった。

 だが朴槿恵大統領は、9月30日のヘーゲル米国防長官との会談と同様に「反日カード」を切って米日韓3国軍事協力を拒否した。

相変わらず「日本のせい」

 聯合ニュースによると、バイデン副大統領が「韓日の障害要因が速やかに解決されることを望む」と日韓関係改善を求めたのに対し「日本の真摯な措置を期待している」と、相変わらず日本責任論で応えた。

 さらには「中国とも戦略的協力パートナー関係を継続的に発展させ、域内の平和と発展に貢献したい」と付け加え、中国の顔色も伺った。

 保守メディアまでが中国傾斜の行き過ぎを唱え始めた。北朝鮮の政変で戦略環境の激変も予想される。張成沢氏の失脚で、北朝鮮が軍事的により強硬に出る可能性や、あるいは米国に傾斜する可能性もあるからだ(「親中派の張成沢失脚で米国に急接近?」参照)。

 だが、朴槿恵大統領は動かない。それはなぜだろうか――。韓国の識者の多くは、大統領の「ぶれない」あるいは「頑固」な性格で説明する。

大国を操る高揚感

 ただ、それだけではない気もする。論説委員ら韓国の指導層がいくら中国傾斜に警鐘を鳴らしても、普通の韓国人は「米中を操り日本を叩く、魔法のような朴槿恵外交」を依然、愛しているからだ。

 韓国人学者、ウ・スグン東華大学(中国)教授が毎日経済新聞に寄せた記事「激浪の中の東アジア、韓国外交はどこへ?」(11月4日)がその象徴だ。以下の通りだ。

・韓国は米国から「日本の集団的自衛権の行使容認」を言い渡されてしまった。蜜月だった中国との関係も微妙になるかも知れない。

・しかし、我が国の強くなった位置を十分に知るべきだ。20世紀の韓国が小学生なら、21世紀の韓国は大学生の体格を持つ。

・米中を「左の青龍、右の白虎」(両脇に控えさせる護衛役)として活用すれば、我が国の国益を極大化できる。
 
 永い間、大国に翻弄され自分で国の運命を決められなかった悔しさを噛みしめる韓国人。その彼らが一度手にした「大国を操る」高揚感を捨て去るのは容易ではない。

 そして、いくら韓国の大統領に力があるといっても、国民の夢を壊すほどの力はないのだ。

天動説で四面楚歌に陥った韓国 より

 

 

 

 

 

 



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