日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

中学生、高校生のための自由主義講座 14 -若者言葉を考える-

2018年05月23日 | 日記

若者言葉を考える

 

A.若者言葉

1.先だって、朝の日本テレビの番組で、「次の言葉が分かりますか?」と言って、三つの若者言葉、

ア.「ガンダ」、イ.「BFF」、ウ.「ワズ」を、出演者に尋ねていました。

 

2.アは「ガンガンダッシュする」、イは「Best Friend Forever」の略、ウは、過去形を意味する

「was」だそうです。

 

3.私には若者言葉は全く分かりませんが、おそらくこれらの言葉は、若い人が自分の感性を自己表

現する方法なのでしょう。言葉に限らず、自己表現にトライすることはとても良いことだと思います。

 

4.このような自己表現のパワーの中から、既存の発想や思考の枠に捉(とら)われない、新しいも

のが生み出されて来るのだと思います。フィギュアスケートの羽生結弦選手、将棋の藤井聡太七段、

卓球の張本智和選手、アメリカ大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手といった人達はその代表なので

しょう。日本も、そのような自己表現できる人達が少しずつ登場しつつあり、変わって来ているので

しょう。

 

B.「棒のような棒、棒状の棒」

1.少し前になりますが、明石家さんまさんの番組で、ファッションモデルでもある若い女性のタレ

ントさんが、自分のイメージの中にある「棒」を表現しようとして「棒のような棒、棒状の棒」と表

現されたことがありました。これは、その番組に出演されていたインテリと言われる人達からすぐさ

ま「そのような表現はおかしい」と半畳を入れられていました(半畳を入れる:文句をつけ、茶化す

さま)が、これは私の好奇心を甚(いた)く刺激しました。「茶化す方がむしろ固定観念に捉われて

いのではないか」というものです。

 

2.棒にはいろいろなものがあります。小学校の校庭にある鉄棒や、今は学校で見かけなくなった攀

登(はんとう)棒、昔、荷物を運ぶために使用した天秤(てんびん)棒、今の若い人の殆どが知らな

いと思いますが重さを計るために使用した棒はかりの棒、武器ともなる棍(こん)棒、警棒、孫悟空

の如意(にょい)棒、昔、家屋の戸締りのために使った心張(しんばり)棒、ブラスバンドや軍楽隊

の指揮者が行進の時使用する指揮棒、ウィキペディアを見ると原子炉の燃料棒も載せています。いろ

いろあります。そしてその全てに名前がついています。これを知識と言います。学識の豊かな出演者

の人達には若い女性タレントさんが発した表現が自分の知識のバスケットの中にはありませんでした。

それで奇異に映ったのでしょう。

 

3.もう少し考えましょう。「枝のような棒」、この表現はどうでしょう?木の枝の小枝をはらい、

表面は真っすぐではありませんが棒状にしたもので、少し太く長いものであれば、天秤棒や武器とし

て使えます。短く細ければ杖(つえ)として使えます。宮本武蔵は佐々木小次郎との巌流島の決闘に

おいて、舟の櫓(ろ)を削ってそれを自分の道具(武器)として臨みました。きっと距離において優

位を取るためだったのでしょう。このような枝や櫓はすでに枝や櫓ではありません。「棒」や「武具」

と言って良いと思います。

 

4.では、棒とは何でしょう。これを考えればプラトンのイデア論にまで行き着きます。プラトンの

イデア論を簡単に言えば、「私たちが生きている世界の中で見て知っているものは、その真の姿=イ

デアの形相(けいそう)であり、それぞれの形相にはそのイデアがある」、と言ってよいものです。

「棒」を「国家」に置き換えれば、「国家のような国家」という表現が成立します。この表現をあな

たが提出しても、誰も笑わないでしょう。何故ならこの表現には「国家とは何か」というテーマを内

在させているからです。そして、私達が、「日本は国家か?」、「北朝鮮は国家か?」、「中国は国

家か?」と問う時、私達はプラトンを自由社会の敵だと論じたカール・ポパーの存在も知っておく必

要があります。そしてまた、私達が学んだ国家の三要素、領土、国民、主権のみで国家を語るとき、

そこでは「国家のような国家」の成立と存立を許してしまうことを知ります。このように考えて行く

時、私達はやっと、国家はこの三要素に人権と自由を加えた五要素で語る必要があることを知るので

す。

 

5.総じて、先の女性モデル兼タレントさんの表現は、日本の社会には少しのインパクトをもって受

け止められたらしく、この方のその後の活躍の場は広がっているようです。喜ばしいことです。

 

追記:本記事は、「中学生、高校生のための自由主義講座 14」と致します。(2018.6.12)

 

 

                                                             桜2

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