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無名雇われデザイナーの流浪の日々。

地球の片隅でひらめいたことを、気が向いたときに書き綴っているページです。

バブルはGONE

2007年02月18日 | PRODUCTS
 
 わけ分からないタイトルの意味を説明すると、偶然にも、映画「バブルへGO」の封切りと時を同じくして、自分の持ち物で、最後のバブルの遺恨となった腕時計が世代交代した、と言うことなんですが、余計分からん???

 構わず進めさせて頂きますが(笑)、写真左の時計は、1987年に発表された、タグホイヤーのS/el(スポーツ/エレガント)シリーズで、当時、タグホイヤーの日本市場でのイメージ確立に貢献したヒットモデルです。
 その頃の日本は、バブル経済に向かって突っ走っていた真っ最中、また、故アイルトン・セナに象徴されるF-1ブームも絶頂に達しようとしていた時期で、この両方の流れにうまく乗った、この時計のデザイン、価格、戦略(+メーカーの歴史)がまんまと当たり、それまで、ブランド時計なんか興味が無かったような人間(自分も)までもが、こぞってお買い上げされたのでした。
 真面目な話、自分の周りは会社の役員から同僚、そして女性も含め、かな~りな方々が愛用されていました。

 時は流れ、本格的に時計の世界に興味を持った方々は、オメガやロレックスに移って行き、カジュアル派はGショックなどをコレクションされていましたが、自分だけは、いつまでもこの時計をしていて、早20年近く。
 全く故障もせず、電池交換だけで黙々と正確な時を刻み続けてくれるし、各パーツが丸みを帯びた独特のデザインは、肌に吸い付くような滑らかな着け心地で気持ち良いし、200m防水で取り扱いにも気を使わなくて良いし、ON/OFF共使えるデキるヤツでした。

 え~と、時計を新調した話なんで、そろそろ新しい方の話に移りますが、LAに駐在してから、時差のある移動がやたらと増え、ビジネス向けにGMT機能の付いた時計が欲しいとず~っと思っていたのですが、予算やタイミングの問題でなかなか買えずに、5年以上悶々とした末にとうとう買っちゃった、と言うのが購買動機です。

 で、買ったのは、写真右の『タグホイヤー、カレラ、ツインタイム』と言うモデルです。 またホイヤーかよ?と言う感じですが、結局、そうなってしまいました。

 GMT機能付き腕時計で1番人気と思われるは、ロレックスのエクスプローラーⅡ。確かに魅力的なんだけど、これは全く予算オーバー。
 で、手頃な価格と、ビジネスライクでクラシックなデザイン(出来れば革ベルト)の機械式時計、と言う条件で最後まで候補に残ったのが、オリスのXXLワールドタイマー(既に生産終了モデルですがまだ売ってます)と、コレ。
 
 最後の決め手は、文字盤のシンプルさ。

 両者のデザインは非常に似ていて、違いは文字盤。オリスのワールドタイマーシリーズの特徴は、簡単に言うと、時計の中に小さい時計がもう1つある感じで、これはこれで魅力があるのですが、メカっぽさだったらクロノグラフを買えば良いのだし、一見、GMTに見えない、ホイヤーのシンプルな盤面に惹かれたのでした。(強いて言えば、ややクオリティ不足ですが…)
 
 ところで、2都市(以上)の時間帯を表示できる時計をGMT(グリニッジ標準時のこと)と呼ぶことが慣例のようになっていますが、ホイヤーのこのモデル「カレラ」では、TWIN TIMEと命名されています。でも、同じキャリバー(メカニズム)を使っている「リンク」と言うモデルではGMTと呼んでいるのですが、何か違うのでしょうかね?

 ここからは戯言として読んで頂きたいのですが^^;

 実は、本当に欲しかったのは、グランドセイコーGMT。価格は、先の予算オーバーで諦めたロレックスと同じくらいします。
 数年前から個人的に“Buy Japanese”を密かにに展開したいと思っていて、事ある毎に、意識的に日本製品を候補に上げているのですが、結局、選べない。
 今回買った腕時計も、3年以内に買った、眼鏡も、携帯電話も、携帯オーディオも、ホームシアターも、クルマも、海外ブランドの製品になってしまった…涙。

 何故か?

 1つに日本製でも良いものは高い!
コレ、当たり前と思われるかもしれませんが、ちょっと大袈裟に言い方を変えると、同じ機能・性能の製品だとしたら、実は、海外ブランド製品より、日本メーカー製品の方が高い、と言う現実が進行しています。
 
 日本製は安くて性能も良い、と言うのは昔の話。
分かりやすい例としては、アジア製品が台頭している家電製品。この対抗策として、日本メーカーは、製品に技術とアイデアの付加価値を付けて、「高くても良いもの」で勝負することにシフトしているのです。斜めドラム洗濯機とか、薄型TVなんかは良い例です。
 これとて実は危うい戦略で、とある製品の話では、技術がとりたてアジアメーカーと比較して高い訳ではなく、高性能な製品を作るため、徹底的に設計精度・製造精度を高くしても、結局、生産歩留まり率は下がっているとか。これを直訳すると、生産バラつきの上だけ出荷して、下は捨ててでも、高性能を保っていると言うこと?!
 日本の基幹産業であるクルマも安心はできません。
欧州プレミアムブランドのクルマは高価ですが、同じ性能の製品を、同じ作り方で日本のメーカーが製造した場合、欧州メーカーと同じ価格ではやってけないから、いつまでも、下や横(?)の土俵で勝負せざるを得ないのかもしれません。

 さて、話を時計に戻しますが、数あるスイスの有名ブランド時計。実は、極少数のブランドを除いて、中身はみんな一緒です。(今回買ったメーカーも、最後まで候補に残ったもう1つのメーカーも、オ○ガも、○ライトリン○も、あれもこれも…)
 まあ、正確には、汎用キャリバー(メカ)メーカーがあり、そこのラインナップから自社の製品に合うものを選び、多少モデファイして搭載している、ということなんですが、これにより開発費の大幅な削減が可能になり、競争力のある価格で製品が提供できる要素の1つになっています。
 グランドセイコーは確かに世界TOPレベルの製品ですが、そこまでじゃなくても、ETA(汎用メーカーの1つ)製キャリバー並みの性能で、手頃な機械式GMT時計を、日本のメーカーが作って欲しいのですが、これといったものがありません。
 恐らく、ブランドイメージまでも考慮すると、日本のメーカーでは競争力のある製品が作れない、と言うのが本音だと思います。それで、電波だのソーラーだのと、先進メカで勝負せざるを得ないのかと。(それはそれで、日本製品としての正しいソリューションかもしれませんが…)

 歴史や伝統がもたらす、欧州メーカーのような強いブランドイメージも無く、アジア製品のような価格競争力も持てない日本のメーカーは、今、価格競争力で欧州ブランドにも、技術力でアジアンブランドにも迫られようとしています。

 スイス時計産業の歴史に見る光と影から、この先、もし、我々の生きるべき道(方法)も、改めて見直さなければならない時期が来たときに、デザイナーの果たさなければならない役割は、非常に大きいのだろうと感じます。

 いやいや、時計1個で少々話を広げ過ぎたので、この辺で終わりにします。

今年買ったもの2006

2006年12月31日 | PRODUCTS
 
 いよいよ2006年も最後の日になったところで、プロダクトデザイナーとして(?)の今年を締め括る、恒例の(2回目だけど…)、今年買ったもの特集です。

 で、今年ピックしたのは写真の2つの製品、ナショナルのイオンドライヤー (左)と、T-FAL(ティファール)のアイロン (右)です。それぞれ、高い技術と機能を誇っている製品で、お店の陳列棚でも価格帯は上の方の商品ですが、売れ行きも良いようです。(詳細はサイトでご確認下さい)

 さてこの2つ、ドライヤーは日本製、アイロンはフランス製です。

 いままで、日本製の家電や携帯のデザインは、ダサいダサいと言われ続け、カリスマ風デザイナーの使い難い商品が、それなりに人気になってたりもしますが、最近時、自分が馴れちゃったのか、日本流デザインも極まりつつあるのか、そんなに悪くない気がしてきてるのは自分だけでしょうか?(ヤバい???)
 一方、欧米の家電は、日本には無いシンプルで洗練されたデザインだったり、昔から変わらない普遍的なデザインだったりしてたんですが、最近、機能を極めた結果、やはりそうなるのか、はたまた、(ダサい)日本製品に新しさを感じて影響を受けてるのか、どんどんデザインの方向性が日本チックになっているように感じます。(ま、欧米が影響を受けてるのは、日本製だけではなく、国をあげてデザインコンシャスを目指している、コリアン製品の存在も大きいとは思いますが。)

 最近増えつつある、デザインや機能に少しこだわりのある奥様が、ネットで情報を仕入れ、ビックやヨドバシで手に取る、或いは、楽天市場でクリックしちゃう、ちょっとオシャレな家電製品の代表2つだけ見ても、製品のデザイン・機能・価格で、日米欧(+韓)が戦う土俵は、同じになって来てるようです。以前は、デザインは良いけど、機能が限定されたり、お値段が高かったりと、何かを割り切る必要があったんですけどねぇ(それが一部の人に受けていた理由とも思えますが)。
 こりゃ、頑張らないと(笑)

 さて、ここまで書いといてナンですが、実は、前回2005年の「今年買ったもの」特集は、個人的なもの、つまり、自分だけの趣味嗜好で購入し使用するものの特集でした。
 んで、今年もその企画でやろうと思い、今年買ったものを思い出してみたところ、どんなに頑張っても、過去ブログに書いた「ビートのミニカー」しか思い出せない! あとは衣料関係少しと、DVD3枚、CD2枚、本2冊...(汗; なもんで、急遽、上の企画に変更した次第です。
 ま、住宅ローンと家族を抱えたしがないサラリーマンの現実とはこんなもんか、と思いつつ、趣味のクルマを持つのは宝くじでも当たらないと無理としても、来年は、時計買っちゃおうかな~(と言い続けて、早5年^^;)
 と言うことで、第一生命が毎年やってる「サラリーマン川柳」で、今年の人気投票ダントツ1位で、多くの同胞の存在に勇気付けられる句を最後に残しておきます。 『昼食は 妻がセレブで 俺セルフ』

 2007年も宜しくお願い申し上げます。

今年買ったもの2.

2005年12月31日 | PRODUCTS
 さて、持ち物自慢最終回は「携帯電話」です。

 携帯電話は、3年前、日本に帰国したときに買ったのを、ず~っと使っていたので、久々の新機種投入となります。
 いままで変えなかったのは、使ってる機種が、特に気に入ってるとかじゃなくて、話せれば問題無い程度の使用状況の自分としては、必要に迫られていなかったし、当時、通話料の安さから選んだJ-PHONE(現Vodafone)から、魅力的な機種が全然出てこなかったからだったりします。

 で、やっと買い換える気になったのは、NOKIA6680(Vodafone702NKⅡ)と言う機種です。とは言っても、デザイン的にはもう一歩の感ありで、隣の芝が青くみえるのを差し引いても、他キャリアの方が、まだ、魅力あるものが多いなあと思います。

 では、どこがが魅力かと言えば、PCとの親和性の高さが一番です。いままでPDAを使っていて、常々、これが携帯サイズならと思っていたのですが、まさにその要求に応えてくれるモデルです。(USの仲間に餞別でもらった東芝のPDAは、3年間の技術進化でお払い箱に・・・)
 但し、もう少し軽量なら尚良い。また、本体上部はアンテナが入っているから持たないようにと言う注意や、小さい操作ボタンが下の方に集中していることもあり、本体の下の方を握ることになるのですが、少々安定感に欠けます。この点は、下側が丸くて大きい前モデルの702NKの形状の方が、理に叶っていると言えそうです。

 まだ、買って間もないのですが、これだけ多機能にしては、人間との親和性も高そうだし、イマイチと言いつつ、日本離れしたビジネスライクな外観を持つこの電話とも、また、長い付き合いになりそうです。
 会社が、個人携帯持ち込み禁止で、活躍の場が限られるのだけが残念ですが・・・。


 ところで、今年、個人的趣味で買ったもの特集は、たった2回で終わってしまいました。でも、他に何も買ってない訳では無いんですけどね、例えば、液晶アクオス、WOWOW付きケーブルTVも導入して、本当はもっとワクワクしなきゃいけないのかもしれないけど、なんだか、冷蔵庫を親調したのとあまり変わらない喜びレベル。
 やっぱ歳なのか?、はたまたモノがつまらないのか?、来年は、感動するモノに出会いたいなぁ。

今年買ったもの1.

2005年12月30日 | PRODUCTS
 昔、新しいモノを手に入れることは、いままでと、ちょっと違ったライフスタイルへ足を踏み入れることと同意語で、いつも何か欲しいものを見つけては買っていた(半分は直ぐ飽きて使わないのだけど・・・)若い頃に比べ、近頃、めっきりチャレンジしなくなっているのですが、これは、モノが飽和した結果、モノ消費からコト消費へと世の中が動いているからでは無く、単に、自分が歳をとったせいではないかと不安に思う今日この頃、今年、極めて個人的に買ったモノを見つめ直す特集を組んでみました。(単純に言うと「持ち物自慢」です)

 その第1弾は「iPod nano」

 購入動機は、バンドをやろうと言う仲間の前々からの誘いに、とうとう重い腰を上げてしまったため、約10年振りに、手にはスティックを、耳にはヘッドフォンを装着する毎日が始まったと言う、必要に迫られて系。
 で、最初は、古いポータブルCDプレーヤーなんぞを引っ張り出して使っていたのですが、今となっては、据え置き機器としか思えないサイズで、昔はよくこんなものを鞄に放り込んで使っていたものだと、関心したり呆れたりしていたところに「nano」が登場、直ぐ購入した次第です。

 タイプは2Gの方、値段的には4Gもそんなに変わらないのですが、売り切れ中だったので2Gにしました。でも、自分的には2Gの容量(約500曲)で充分、音も普段聞く分には充分ですが、買った目的に対しては不充分だったので、コンパクトな密閉タイプのヘッドフォンを追加しました。これで冬の寒さもちょっと和らぐ(?)
 後は、液晶が壊れるだのなんだのと話題になっていたので、革ケースも買いました、nano本体がかなり薄いので、革の厚みだけで、一回り大きくなっちゃった感じですが、手触りも良く、持ち運びに神経を使わなくてよくなったのが嬉しいです。 ちなみに、他のiPodシリーズ同様、nonoの裏側も、鏡面に磨き上げたケースが使用されていますが、この革ケースの裏側には四角い窓が開けられていて、裏ケースをミラー代わりに使ったりしている人にも、嬉しい心使いが感じられます。

 iTune含めた使い勝手も良く、いまのところ、文句を付けるところは全く無く、アップルのブランドイメージと合わせて、売れない訳が無い商品かと。

 1つ気になるのは、この大容量フラッシュメモリーが、日本の技術では無い点。技術差なのか、収益を無視した戦略なのか、いずれにしても、もう、お隣の国の技術力は、我々と同じところに居ると考えるのが妥当であることを裏付ける製品でもあります。
 但し、裏ケースを磨いているのは日本の職人。そう考えると、団塊世代退陣と同時に、日本の職人技が途絶えてしまうと言う心配が、かなり現実味を帯びてきます。

 と、いろいろ心配していますが、一番心配なのは、来年2月に決定しているライブまでに、曲をマスターできるかどうか? かなり切実になってきました(汗;

セグウェイ

2005年08月07日 | PRODUCTS
<このブログは、LA滞在中の2002年1月12日に別サイトへ掲載した日記を移設したものです>



 21位世紀最初の年が暮れようとしていた昨年末、それまで一部の間で様々な憶測が飛びかっていたシロモノ、ジンジャーこと「セグウェイ・ヒューマントランスポーター」が発表されました。

 写真(上)でお分かりのように、左右2つの車輪にハンドルを配置したコンパクトな本体の上に、人が乗って移動できると言うものです。画期的なのはその制御システムで、通常であれば自律できない本体の上に、さらに人が乗って好きな方向に移動できるのは、ジャイロを利用したセンサーによって、車輪を駆動するモーターを制御しているからです。
 同じように慣性力をモニターして制御しているものには、HONDAが開発した2足歩行ロボットがありますが、具体的な使用状況や発展性が見える、と言う点では、こちらの方がよりプロダクト的興味がそそられます。

 そもそも人間には自分の力を発展させたいと言う欲求があり、クルマの存在は、人が歩いて自由に移動できる"力"の延長線上にある、とも言われています。
 となると、究極のクルマとは、自動運転によってなにもしなくても目的地に着けるようなものではなくて、ガンダムに乗って自由に動きまわったりできるようなイメージの、あくまでも自分の"意志"と直結した動きによって移動する手段でなければならない、となります。

 で、その4つのタイヤとボディを持ったクルマより、自分の意志の通りに動き、自分の力を伸ばしてくれる感覚に近いものが、目の前に現れたのです。
 もちろん、成熟したクルマと言うものの操縦感覚を否定するものではありませんが、人間が移動と言う欲求に対してクルマを発明した歴史の延長線(原点?)に、セグウェイは位置するのではないかと思います。
 自分の行きたい方向へ重心を傾けると言う、極めて自然なインターフェイスによる操縦方法は、その機能的ポテンシャルが上がってくれば、人間の方の身体的能力の向上も要求されてくると思われますが、そこがまた、今後の発展性に夢を与える部分ではないかと思います。(早くこれでレースやゲームが行われるところが見たいです。)

この発明を見て思い出した絵があります。



 シドミードが描いた1輪車のトランスポーター。ユニットを背中に背負うスタイルの、未来の創造画ですが、なんだかにわかに現実味を帯びて見えます。初めてこの絵を見たときには、現実性なんか全然感じなかったんですけどね。

 いやぁ、こんな発明を見られるだけで、生きてて良かったなんて思ってしまう今日この頃です。

と言う訳で、これを新年の挨拶に代えさせて頂きます。

本年もよろしく!