ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

ビューティフル・ガールズ。

2016年06月23日 | blog
ビューティフル・ガールズという映画がある。

ティモシー・ハットンが友人の俳優たちと作った映画で、キャストがやたら豪華なわりに地味な映画である。この映画ですこぶる印象的なのは、クルマの描き方だ。

冒頭、売れないピアニストの主人公(ティモシー・ハットン)は、ニューヨークのバーでピアノ弾きの仕事を終えたあと、グレイハウンド・バスに乗る。まずここで観客は、ああ、こいつはカネがないのね、とわかる。手にはリユニオンの案内状。

久々に帰った地元の町で、真っ先に出迎えてくれたのはかつての悪友だ。地元で就職して、同級生と結婚して、娘がいる。そんな悪友が乗ってくるのは、ジープ・ワゴニアだ。日本でも一時流行ったワゴニアは、雪深い田舎のマイホーム・パパにぴったりだ。

かつてのプロムのキング(マット・ディロン)とクイーン(ミラ・ソルヴィーノ)は結婚して、キングは地元で商売を始めている。オンボロのトラックに除雪機を取り付けて、ダチ仲間と雪かきの仕事をしている(アメリカでは、トラックの前部にショベルカーのシャベル部分を取り付けた、簡易的な除雪車の文化があるのをこの時知った)。スクール・カーストの頂点の二人だったが、キングが浮気をしているのを皆んなが知ってる。田舎町だ。

キングの浮気相手は、町の金持ちの奥さんだ。旦那は、型落ちのBMWの5シリーズに乗っている。かつてヤッピーが好んだクルマだ。いかにも見栄っ張りな感じ。(でも、あまり手入れはされていない)

主人公は29歳で、ピアニストとしては芽が出ず、結婚を控えて、堅気の仕事につこうか悩んでる。

同窓会に帰った実家で、隣に住んでるまマセた美少女に、ちょっとドキっとしたりする(ナタリー・ポートマン、キャラはレオンのマチルダそのまま)。実家のアホな弟は、デヴィッド・アークエット。

そんな田舎に突然、洗練された都会の記者が現れたり(ユマ・サーマン)、キングの浮気がばれてイザコザがあったりするのだが、物語の終盤、主人公のフィアンセがニューヨークから追いかけてくるのだ、クルマで。

ニューヨークの弁護士で、でも高飛車じゃなくて、感じがよくて(ブルネットの知らない女優)、実家の親父とアホな弟はすっかりホダされてしまうのだが、そんな彼女が乗ってきたクルマが…

サーブ。

なんという絶妙なチョイス。アメ車はもちろん、ドイツ車でもない、ボルボでもない。スゥェーデンの飛行機メーカー。上品で、少し繊細で、知的な感じ。

特に車内の音。キングのボロいトラック(たぶんエンジンはOHV)はゴロゴロガラガラ野蛮な音が全開で、サーブの車内はシューッと洗練された音がする。

ちょうど自分も29歳で、才能はあまりなくて、デザインの仕事を続けるべきか悩んでいて、この映画のことはよく覚えてる。

2016年6月23日、サーブの消滅によせて。
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三度の飯より。

2015年12月05日 | blog
これね。

中の人の感覚で言うと、デザイナーに限らず、関わってる人が「三度の飯より家電が好き」じゃないからです。
自動車とかゲームとか、高いレベルのデザインのあるメーカーの人はみんな「三度の飯より○○が好き」。

ただ、これはもはや古い価値観で、「三度の飯より好き」というのは、日常を軽んじている。
時代の流れとして、「日々の生活をいつくしむ」価値観が強まっているので、家電のデザインも変わってゆくはず。

「三度のご飯は、おいしいね」

「その中にあるデザインは、大事だね」
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非表示。

2015年11月12日 | blog


iPhoneの写真アルバムを見ていたら、いつの間に「非表示」というアルバムがあった。多分Mac版のiPhotoで設定したのだと思う。何を非表示にしてたのかな、と開いてみたら娘のうんこだった。ショックで啞然として、しばらく考えて思い出した。娘がおむつが取れる頃、よく便秘になっていた。便秘になるとうんこが硬くなってしまうので、出すと肛門が切れてしまう。当然痛い。写真のうんこには血がついていた。

これはただの痛い話ではない。おむつを卒業するためには、きわめて深刻な問題なのだ。便秘→痛い→しない→便秘、の悪循環になってしまう。ただでさえおむつの卒業が遅かった娘のトイレトレーニングが進まない。何としてでもトイレでして欲しい。トイレでうんこをする。人として最低限の能力。それすらも、という焦り。今にして思えば、放っておいてもいつかはできるよと思うが、その時は必死だった。子育てはいつもそうだ。

便秘のたびに、こまめに浣腸をして出させていた。つらかった写真の日付は、2010年4月9日。
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考えごと。

2015年11月10日 | blog


小学校に入った娘には毎日宿題がある。

めんどうくさいので、ちょっとやると「あと何やればいいの!?」と聞いてくる。何やればいいのじゃないよ、あと宿題何あるか、自分でしらべなよ! と言って、連絡帳を確認させる。まったく、自分で考えなさいよ。

さいきん娘がやりたがる遊びがある。外出先で親としっかり手をつないで、目をつぶって歩くのだ。出かけた先が買い物とか、つまらない時ほどやりたがる。危ないからやめろと言っても、あまり聞かない。

ああ、自分で考えるのがめんどうなんだな、と思う。やらなきゃならないことがあるのはわかっていて、目の前の問題を片付ける意識もあるけど、とにかくそれ以上のことを考えたくないのだ。考えるコストを最小限にしたい、という意識の表れ。

なんというなまけもの…

しかしその性格には覚えがある。私自身が、できるだけ考えるコストを下げたいと願っている。
例えば、新しい事務処理を覚えなくてはならない時は、歯を食いしばって自分の運用に100%最適化したマニュアルを作り、あとは心を無にして手順を辿るだけにしている。

正確に言うと、考えること自体が嫌なわけではない。
自分の興味のあること以外は考えたくないということだ。

考えることは好きだ。娘も、「いま考え事してるの♡」と嬉しそうに言うことがよくある。そして、自分の興味のないことは考えたくないし、考えられない。

うう、DNA…

ま、面倒臭がりほど工夫すると言うし、その性格が良い方にはたらくことを祈るばかりである。何だかんだ言って、我慢して私はマニュアルを作っている。それさえできれば大丈夫なのだ。
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きゃりーぱみゅぱみゅ。

2015年10月18日 | blog


すごくファンというわけではないけれど、一度行ってみたいよねー、と思っていた、きゃりーぱみゅぱみゅのコンサートに行ってきました。この行動力がうちの奥さんの素晴らしいところです。

クレイジー・パーティ・ナイトというコンセプトで、前半はクラブ寄りのカッコいい構成、後半はヒット曲を連発で繋いでアゲアゲ(ライブの語彙が少ない。笑)。すごい完成度と様式美。いきなりバーン!うおおあの曲キターッ!となるイントロばかりで、3曲4曲ぐいぐい続けてやるので盛り上がること!

そしてちょっぴり体調の悪かった娘、最初は興奮してたものの、30分でぐったり、45分からアンコールまで爆睡でした…。爆音なのに爆睡。通路でずっと踊り狂ってぴょんぴょん跳ねてた3歳くらいの男の子を眺めながら、うーん娘もああなるはずだったのだが…と思うものの、ま、アンコールの2曲だけはしっかり聞けたので良しと思うことに。

幼児連れの家族がすごく多くて、あー親が見せたいアイドルなのねーと実感。ウチもそうだ。

抜かりない奥さんが二階席の階段上、という絶妙の席を取ってくれたので、前にお客がいなくて立たずに見られて助かりました。年齢的に座って見たいし、娘寝ちゃったし。

すごくファンというわけではないけれど、一度行ってみたいよねーなシリーズ、今度はPerfume行きたいなぁ。
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