<このブログは、2004年1月4日に別サイトへ掲載した日記を移設したものです>
5年ぶりの日本での生活がスタートしちょうど1年が経過して、年も改まったところで東京雑感。
一番感じたのは、スクラップ・アンド・ビルドのパワー。経済が停滞してようがなんだろうが、新陳代謝を進めるスピードと持続性は、世界にも例が無い程ではないでしょうか。
伝統を大切にしないとか、軽んじているとか言う向きもありますが、残っていたとすれば、日本が世界に誇れたと思える江戸時代の街並みは、一部を残して空襲や震災で壊滅してしまっています。もうここまで来たらどんどん新しくして、世界一のサイバー空間を目指してもらいたいものです。
そう言えば、六本木ヒルズを作った森ビルでは、港区とNYの巨大なスケールモデルを作り、都市計画の検証に使っているのですが、初めて見たとき、一企業の持ち物としてはちょっと違和感を覚える程の規模で、これからも期待がかかります。
余談ですが、そう言った意味からは、上海に象徴される中国の発展ぶりにはちょっと嫉妬、彼等がどこまで発展し続けられるのかが勝負ですが。(勝負するのか?)
さて、器(うつわ)を進化させるパワーはあるとして、問題はその中身かな?と思います。中身とは、文化でありシステムであり、最終的には人です。
残念ながら、この面では絶望的な印象です。もちろん、独創的な発想や高い成果を上げて輝く人が特筆されている場面も見受けられますが、総じてパワーが感じられません。
昔、このコラムでも少し触れましたが、社会構造の変化に伴うシステム側の要求と個人個人のマインドとの矛盾が、悪循環を起こしているような感じで、失礼な言い方ですが、ローエンドの人達のパワーが低下している中、一部の最先端の人がずば抜けている訳でもなく、また、これからの日本がどちらへ向かうのか明確なゴールも無いという閉塞感すらあります。
よく、欧米はAC社会だと言われますが、Cの人も人生はパワフルに謳歌しています。オールB社会を無理やりACスタイルにする過程で、人生を楽しむパワーさえ失っていく日本人が、増えないことを祈るばかりです。
ところで、最初にスクラップ・アンド・ビルドを提唱しておいてなんなんですが、伝統ある街並みを守ると言う意味で、江戸情緒が残る古い東京下町の住居を、商業エリアとして保存してはどうでしょうか?
建物の上っ面は残して、防災対策含めたインフラ整備は地下化してでも行い、植木鉢が溢れる狭い路地裏にひしめく、古い日本家屋の中身がブティックやレストラン・カフェなんかになってるという、ヨーロッパの旧市街ではおなじみの街作りです。
古い器で古い商売を続けることではなく、ましてや、どこかの博物館やアミューズメント施設の中に街並みを再現する方法とも違います。
イメージとして最も近いのが下の写真、これは京都にあるイタリアンレストランで、酒造メーカーが所有する築130年の建物を改修して造られたものです。京都には他にもこうした店舗が増えているようです。

器だけは、なにからなにまで一新してきた東京ですが、人のマインドまでスクラップ・アンド・ビルドすることは、これからも容易では無いと思われます。
街も人も、大切なものは守りつつ再生を図ることが可能なのか否か、物事の中身・根本を変えようと思ったら、器を変えるのとは比較にならない労力が必要です。
やっぱり日本には「六本木ヒルズ」は造れても「旧市街再生」は無理かなあ。
5年ぶりの日本での生活がスタートしちょうど1年が経過して、年も改まったところで東京雑感。
一番感じたのは、スクラップ・アンド・ビルドのパワー。経済が停滞してようがなんだろうが、新陳代謝を進めるスピードと持続性は、世界にも例が無い程ではないでしょうか。
伝統を大切にしないとか、軽んじているとか言う向きもありますが、残っていたとすれば、日本が世界に誇れたと思える江戸時代の街並みは、一部を残して空襲や震災で壊滅してしまっています。もうここまで来たらどんどん新しくして、世界一のサイバー空間を目指してもらいたいものです。
そう言えば、六本木ヒルズを作った森ビルでは、港区とNYの巨大なスケールモデルを作り、都市計画の検証に使っているのですが、初めて見たとき、一企業の持ち物としてはちょっと違和感を覚える程の規模で、これからも期待がかかります。
余談ですが、そう言った意味からは、上海に象徴される中国の発展ぶりにはちょっと嫉妬、彼等がどこまで発展し続けられるのかが勝負ですが。(勝負するのか?)
さて、器(うつわ)を進化させるパワーはあるとして、問題はその中身かな?と思います。中身とは、文化でありシステムであり、最終的には人です。
残念ながら、この面では絶望的な印象です。もちろん、独創的な発想や高い成果を上げて輝く人が特筆されている場面も見受けられますが、総じてパワーが感じられません。
昔、このコラムでも少し触れましたが、社会構造の変化に伴うシステム側の要求と個人個人のマインドとの矛盾が、悪循環を起こしているような感じで、失礼な言い方ですが、ローエンドの人達のパワーが低下している中、一部の最先端の人がずば抜けている訳でもなく、また、これからの日本がどちらへ向かうのか明確なゴールも無いという閉塞感すらあります。
よく、欧米はAC社会だと言われますが、Cの人も人生はパワフルに謳歌しています。オールB社会を無理やりACスタイルにする過程で、人生を楽しむパワーさえ失っていく日本人が、増えないことを祈るばかりです。
ところで、最初にスクラップ・アンド・ビルドを提唱しておいてなんなんですが、伝統ある街並みを守ると言う意味で、江戸情緒が残る古い東京下町の住居を、商業エリアとして保存してはどうでしょうか?
建物の上っ面は残して、防災対策含めたインフラ整備は地下化してでも行い、植木鉢が溢れる狭い路地裏にひしめく、古い日本家屋の中身がブティックやレストラン・カフェなんかになってるという、ヨーロッパの旧市街ではおなじみの街作りです。
古い器で古い商売を続けることではなく、ましてや、どこかの博物館やアミューズメント施設の中に街並みを再現する方法とも違います。
イメージとして最も近いのが下の写真、これは京都にあるイタリアンレストランで、酒造メーカーが所有する築130年の建物を改修して造られたものです。京都には他にもこうした店舗が増えているようです。

器だけは、なにからなにまで一新してきた東京ですが、人のマインドまでスクラップ・アンド・ビルドすることは、これからも容易では無いと思われます。
街も人も、大切なものは守りつつ再生を図ることが可能なのか否か、物事の中身・根本を変えようと思ったら、器を変えるのとは比較にならない労力が必要です。
やっぱり日本には「六本木ヒルズ」は造れても「旧市街再生」は無理かなあ。