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自然回帰マーチャンダイジング

-地域-自然-デザイン-商品-生活-を繋ぐ遊び場・仕事場から

家具学~その1

2009-07-16 21:12:51 | Weblog

 静岡市にある安東米店の店主 長坂潔暁さん(ライフスタイルデザインカレッジ講師)から直々にお呼びがかかり、7/14の夕、静岡へ出向くことになった。家具関係者たちの集まりに、ネタと話題を提供してみて欲しいということで、美味しい酒と食事付きだという。ライフスタイルデザインカレッジのことや、ヨコスカラムのことなどを題材に、地域のモノづくりとコトおこしへのヒントを、食べながら、呑みながら喋ればよいのだろうと、呑み会気分で指定の店へ入った。

 メンバーは美大出身者が多かった。長坂店主の知り合いだから、一筋縄ではいかないだろうとは思っていたが、予想通りだった。地域の素地の顕在化、取り組みの地域的必然性、地域の流儀、ライフスタイルツーリズムなど、ふだんの考えを喋りまくり、最後は、どうしたらマネキンはたくさん試食試飲させられるか?で、締めくくった。

 そこで出てきたのが“家具学”である。あるいは“かぐがく”か“カグガク”か。静岡という家具産地は、家具のある生活をもっと真剣に提唱しなければならないだろう。

ようこそ、ライフスタイルデザインカレッジへ

2009-07-08 23:27:25 | Weblog

 2006年からスタートしたライフスタイルデザインカレッジの、2009年度プログラムがスタートする。このほど“竹の丸”ギャラリーで、担当講師やスタッフがカレッジの魅力を紹介するトーク、使用する道具や実況写真の展示を4日間にわたって展開した。写真はカヤックインストラクターの上野裕晃さんらを迎えた3日目のトークイベントの一コマだ。

 クワイエットスポーツを中心としたアクティビティプログラムは、地域の自然や素材、自然資源を巧みに利用した遊び方を提案している。アウトドアショップの「売らんかな」のスクールとも、マスコミの「人が集まらなければ(儲からなければ)実施しない」カルチャースクールとも、「お手軽でさわりだけ」の行政の生涯学習講座とも一線を画し、『自然回帰型の生活』と『大人の大真面目な大遊び』を提唱し、数多くの賛同者を得て、4年目に突入する。

 クワイエットスポーツの敷居やハードルは、決して高くない。思い切って自然のフトコロに飛び込もうという少しの勇気と、価値観に幅をもつための自分への僅かな投資に決断が必要なだけだ。そうして、カレッジを受講してくれた人たちや関わったスタッフの、1年後の明らかな価値観の変革には、目を見張るものがある。

 自然の中にある小宇宙を実感してみないか。人間の中にある自然を呼び覚ましてみないか。声高にエコを叫ぶより、ずっと健全で、ずっと有意義なはずだ。

 ■ライフスタイルデザインカレッジ2009 http://ldc2009.seesaa.net/

ヨコスカ・ラム~甘蔗(かんしゃ)の酒

2009-03-23 21:56:10 | Weblog
  
 昨年秋から関わってきた掛川の大須賀地域の地酒プロジェクト。3/24に発表することになったのが、このさとうきびの酒『ヨコスカ・ラム』だ。

 この遠州横須賀の地で、さとうきび栽培と精糖に200年の歴史を刻めたのは、四国土佐からいただいた苗のおかげだった。土佐への感謝を込め、あえて土佐の地でお酒を造ろうと提案し、酒名にも、さとうきび本来の呼称「甘蔗(かんしゃ)」を採用した。

 ウィキペディアによれば、世界のさとうきび栽培の北限は四国である。しかし、北緯34度付近に位置する遠州横須賀の地が、実質的な日本の北限で、これは世界最北限となる。この緯度:34度を、この酒のアルコール度数と決めた。

 遠州横須賀でつくる酒、といえば“和”の世界である。神ありきの祭りや神事を拠り所とする、このまちの作法。コミュニティの規律。出来上がった地酒を神社へ奉納することを想定すればなおさらだ。

 しかし、ミスマッチを狙った。エネルギッシュな祭礼、懐しいストリート、とびきりの白い砂と大海原、農産品・地産食品による地域自給型の食卓。ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブのように、祭りの太鼓とお囃子は、街を彩るアンサンブルミュージックだ。遠州横須賀は、まるでキューバを彷彿させるシチュエーション。
だから、ラム酒なのだ。

神々が宿る里

2008-05-09 08:09:59 | Weblog

 半年振りに訪ねた遠山川。当たり前のように、自分の庭のように、榊原正巳さんはその川に居た。休日だというのに、ダム放水で本流には水が溢れ、釣りにならない。

 須沢の林道を榊原さんと歩いていると、ふいに榊原さんはキャップを脱ぎ、手を合わせた。その先をみると、“・・大神”と彫られた石が祀られている。慌てて同じように手を合わせていると「この神様、可愛いだろ?」と言う。近づいて、まじまじと石を見つめてみると“・大神”の“・・”には、なんと両眼が彫られている。

 「目大神(めだいじん)というのだそうだ。この目が妙に可愛らしい。オレはここを通るとき、必ず手を合わせるんだ。習慣になっちまった」と榊原さん。よく見ると「神」の字の「申」の「田」の部分が渦巻きになっているのが、その“可愛らしさ”をさらに演出している。

 ここ遠山郷は、神々の里。宮崎駿の「千と千尋の物語」のストーリーやキャラクターのヒントになっているという。同じ天竜川流域でありながら、静岡県側の峠を越え、遠山郷に入った瞬間から空気が変わる。この村とこの川の持つ独特の雰囲気に魅せられ、訪ね始めてからもう12年を数えるようになった。


アメリカへ帰る釣り仲間

2008-04-29 15:02:23 | Weblog

 彼はライフスタイルデザインカレッジを受講してくれた初めての外国人だ。昨年になって初めて日本でフライフィッシングを覚え、Made In Japanの優れたフライフィッシングタックルやウェアを着こなし、日本のアマゴやイワナを初めて釣った。

 彼は、サカナを釣るたびにその画像をメールで送ってくる。われわれの仲間たちと一緒に、ここ5週間連続で春本番の釣りをしてきた。見慣れた渓相の川岸でキャストし、釣れたアマゴを手にして笑っている。先週は25.5cmのアマゴをキャッチしたようだ。

 昨日、彼の日本での仕事の任務が終わった。一昨日、グッバイフィッシングに行ってきた。夕方、絶妙のタイミングで、まっ昼間に26cmのアマゴが泳いでいたプールへたどり着いた。「ここに立って、あのポイントへ、こうやってキャストして」などと言うまでもなく、彼はその通りのアプローチでやってのけた。しかし、彼のフライにはそのアマゴは出てこなかった。タイムリミット・・・・・釣らせたかった。これで彼はもう日本の川とサヨナラだ。

 イギリスで生まれ、アメリカで育ったフライフィッシングが、日本では独特の(繊細かつ多彩に)発展をしている。日本人がアメリカ人にフライフィッシングをレクチャーできたことを、われわれは誇りに感じている。彼とともに過ごした1年間という時空、そしてフライフィッシングライフは、あまりにも面白かった。

 ありがとう、ディヴィッド。ありがとう、フライフィッシャーの友人たち。

間人からの便り

2008-04-25 21:41:29 | Weblog

 京丹後間人(たいざ)の“うまし宿 とト屋”中江さんから「丹後の桜は昨年あまりきれいに咲かなかったのですが、今年の咲き具合がとても良かったので、まずはご報告まで」と素晴らしい桜の画像が届いた。

 続けて中江さんは「間人を歩かれた時に、登られたかもわかりませんが、この時期に墓地公園から眺める間人の町並み、日本海の水平線と桜はとてもいい感じで展望できるいち押しスポットです」という。

 確かにそうだ。この桜と海と墓。永遠の眠りにつく場所として、素晴らしいシチュエーションではないか。間人の人間になってみる価値が、ここにもある。

リラックス・イブニング

2008-04-22 21:07:26 | Weblog

 フライフィッシングでは、大物に出会える確立がたかいイブニングになると、目を血走らせている人が多い。日没までの僅かな時間。手を変え、品を代え、ライズを獲るために、焦っているフライフィッシャーたち。

 しかし、先日のイブニングフィッシングはおおらかそのものだった。気田川支流での釣りは芳しくなかった。イブニングもやめて帰ろうか、という雰囲気だったが、下流部のプールで、オイカワ・カワムツ釣りに興じようということになった。

 オイカワのライズは、カワムツより数段シビアだった。しかし、ケタケタ大声で笑いあい、ザブザブ音を立てあい、アマゴとの真剣勝負とはまったく違う、ゆるゆるフィッシングが、妙に愉しかった。こういうおおらかな釣りが、たまにはいいなぁ。

桜咲く里の春アマゴ

2008-04-07 14:02:07 | Weblog

 4/5、気田川水系へ向かった。ライフスタイルデザインカレッジでF.Fの講師をつとめていただいている川野信之さんや、アメリカから来た釣り友達のディヴィッドほかF.Fの友人たちが、この週末にわれわれのホームグラウンドへ繰り出すこととなった。

 行程となる山沿いにはヤマザクラがしとやかに咲き、川沿いにはソメイヨシノが咲き誇っている。里川の釣りを愉しもうと、熊切川を選んだ。

 先週末、小口修平さんたちをここに案内したときは、強風と低水温でアマゴに会うことができなかったが、ほぼ無風、水温も上昇とグッドコンディションである。あえて今回は、小口修平さんに譲っていただいた和式毛鉤竿を振ってみることとした。

 久し振りの和式毛鉤釣り。ポカポカの陽気と、竹竿独特の感覚が心地よい。数分後には写真の春アマゴと対面することができた。今日辺りが、熊切川のベストシーズンかもしれない。これから、気田川の支流群を、杉川・石切川・本流上流部、と週を追って北上してみようか。


河口にそびえ立つ岩

2008-04-06 10:45:03 | Weblog

 巨大な玄武岩の自然石が、間人の竹野川河口にあった。中上流部といった趣の里川が急に河口となり、淡水が海へ注いだ直後にこの岩に当たる。この岩の左右をサクラマスやアユが、遡上や降海を繰り返していたのだろうか。

 この“立岩”の存在は、非常に不思議な感覚だった。前の記事で書いたが、この反対側を振り向くと、里山風景が広がっている。その里川で、フライフィッシャーがロッドを振っていても、何の違和感もないだろう。(撮影:小川博彦)


海に面した棚田

2008-04-04 23:17:54 | Weblog
 
 京丹後で見た棚田は、なんと海に面していた。里山の奥で少し標高を稼ごうとする際に棚田が存在する光景はよく知っているが、このように海に面した棚田は初めてだ。

 里山と海が近いところが、京丹後の魅力でもある。間人の竹野川の河口にあったエアーズロックのような「立岩」から上流を振り向くと、まるで河口から数十キロも遡ったかのような里山がそこにあった。太平洋側ではめったに見られない光景だ。(撮影:小川博彦)

この日本海を見よ

2008-03-19 22:57:40 | Weblog

 京丹後への最後の出張を終えた。今回はクルマで行き、間人(たいざ)地域とその周辺の景観や資源を目に焼き付けてきた。率直に言って、このまちは非常に魅力的だった。その魅力とこれからのビジョンを3つのキーワードであらわしてみた。

 愛情と風情
  愛のエピソードと、日本人のDNAに響く風景があるまち

 悠久と有機
  悠久の時を超え、ヒト・モノ・コトが有機的につながるまち

 繰訪と繰迎
  繰り返し訪れたい人と、繰り返し迎えたい人が交わるまち

 漁港を中心に細い路地が網のように広がり、しかも高低差をもつ立体的な地形、さらに杉板を使った日本の伝統建築にほぼ統一されているさまは、他に例を見ない素晴らしさだ。そこに間人のひとびとが居て、間人の生活がある。この美しい風景や魅力ある空間は、人間が関与する場面、人間が介在した状態があってこその価値である。間人のひとびとは、醒めていないし、エキセントリックでもない。身の丈を知り、程好いセンスをもつひとびとが暮らす、気持ち良いまちだ。

 人間なくして間人の魅力はあり得ない。これからは、間人のひとと同じように、間人を訪れるひとに、間人のまちを使ってもらうことが大事になる。間人の生活のおそすわけを実現したい。そんな想いと、「間人」を逆に並べると「人間」となることに面白さをおぼえ、次のようなフレーズが浮かんだ。

 間人(たいざ)の人間(ひと)になってみる

 このフィーリングは、このまちを歩き、ひとに触れ、早春の日本海の美しさを自らの目で確かめてこそわかる感覚である。


チェ・ゲバラへのシンパシー

2008-03-08 01:34:16 | Weblog

 ちょうど3年前の今頃、空き家となった生家の倉庫に何の気なしに立ち寄った。足元に落ちていた昭和42年の静岡新聞を拾い上げてみると「ゲバラの身柄を拘束」という記事が眼に飛び込んできた。ボリビアでゲリラ活動をする中で書いたという有名な「ゲバラ日記」をはじめ、ゲバラに関する書籍を読み、ずっと前からゲバラにシンパシーを感じていたが、まさか1967年10月に謀殺されたゲバラの新聞記事を、自宅で見つけるとは夢にも思わなかった。  
 
 昨年12月に、NHK教育テレビ「知るを楽しむ・私のこだわり人物伝」
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200712/tuesday.html#top 
で、戸井十月さんがゲバラを4週にわたって紹介したときは番組テキストまで購入した。理想のためなら一歩も引かない生き方。戸井さんは“人間の本当の素晴らしさとか美しさというものは「何をなしたか」という結果ではなく「何をなそうとしたのか」という志(こころざし)にあるのではないか”と私たちに問いかけた。結果や損得をあまり勘定に入れず、夢みたいなことを言い続けて何が悪いのか、と。

  もしわれわれが空想家のようだといわれるならば、  
  救いがたい理想主義者だといわれるならば、  
  できもしないことを考えているといわれるならば、  
  何千回でも答えよう。そのとおりだ、と。  

 結果でなく、プロセス。ゲバラをリアルタイムでは知らないけれど、歳を追うごとに、共鳴する感覚は強くなっている。

早春ならではの便り

2008-03-06 18:25:33 | Weblog

 建築家の高橋雅志さんから電話が入り、一昨日の大井川支流はアマゴ日和だったという。既に瀬に出ていたそうだ。この週は寒かったのに、確実に春に向かっている。光の加減がとびきり明るくなった。春と秋の渓魚は、照度で生活が変わる。

 御前崎の中山啓司さんからは、そろそろ今年の“つゆひかり”新茶の売り方について打ち合わせをしようと電話が入る。御前崎のつゆひかりには想い入れがある。やぶきたとは明らかに違うさわやかな飲み心地で、栽培農家も決してまだ多くないが、御前崎らしい緑茶である。今年のつゆひかりは、去年より多く摘めるそうだ。

 アマゴ便りと緑茶便り。まだ春爛漫とはいかないが、眩しい春に相応しい便りだ。

フライフィッシングへ出かけよう

2008-03-01 23:46:42 | Weblog
 
 静岡県のすべての河川で、渓流釣りが解禁となった3月1日。今日、仲間たちは狩野川へ一泊で出かけている。解禁日が土曜または日曜となった場合、釣り人はグンと増えているはずだ。狩野川の釣果はどうだったろうと思い電話をかけるが、みんなで宿泊している湯ヶ島上流部のロッジは、電波状況の悪いところらしく、誰も通じない。

 3月のフライフィッシングは、まだ冬の名残がある里川で、まばゆい光を浴びた日中の釣りが心地よいのだが、あいにく今日の午後は強風が吹き、気温もグンと下がった。冬型の気圧配置が恨めしくなる3月。今年のフライフィッシングのスタートは、比較的風が穏やかな、大井川の、あの支流にしようか。

喜久醉という酒

2008-02-21 21:22:37 | Weblog

 掛川からクルマで東へ20分。ここは、藤枝市青島にある蔵元「青島酒造」である。酒造り最盛期のこの時期に、専務で杜氏の青島孝さんに無理を言って、ライフスタイルデザインカレッジのNippon学のプログラムをこの蔵元で開催した。

 ニューヨークで仕事をしていた青島さんは、家業を継ぐことを決意して藤枝に帰り、自らが杜氏となって喜久醉をリセットしてきた。晩秋から初春にかけては頭を剃り、肉も口にしないという別世界にいる青島さんが、めったに見せない麹室の扉まで開け、紹介してくれた。

 見事なまでにストイックなライフスタイルから生まれた、プリミティブな日本酒。多くのひとに味わってみて欲しい。本格的な春になったら、カレッジのファイナルイベントにこの酒で乾杯だ。