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自然回帰マーチャンダイジング

-地域-自然-デザイン-商品-生活-を繋ぐ遊び場・仕事場から

ゆるゆる遠州ガイドライド2days の意図と展望

2014-02-08 15:53:03 | サイクルツーリング
 3年間にわたって開催してきた“ゆるゆる遠州ロングライド&ガイドライド”は、これからのサイクルツーリズムの展望と、静岡遠州観光ネットワーク(磐田市、袋井市、森町、掛川市、菊川市、御前崎市)の事業を通じて、各観光協会の目指す観光需要の進化を踏まえ、今年度より開催形態を変更することにした。

 サイクルツーリズムに対する関心の高まりは目を見張るものがある。広島県、愛媛県、北海道での順調な国内外からのサイクリスト誘客の成功例に準じて多くの自治体や観光協会が取り組み始めた。しかし、ゆるゆる遠州ロングライドをはじめ、狩野川100kmサイクリング、ぐるっと浜名湖サイクルツーリングといったワンデイのサイクリングイベントへの参加者数は伸び悩んでいる。県内だけの現象ではなく北海道や沖縄、佐渡ヶ島などの島部を除く国内全体の傾向だ。これは、他地域での類似の大会が多くなったことが要因の一つだが、それ以外にもサイクリスト人口の拡大とともに、サイクリストがアスリート系とツーリズム系に大きく分かれていく傾向が現れてきたことも大きな要因である。

 レースや大会に参加するサイクリストたちは、ロードバイクに乗り始めてから数年の間に多くの機会へトライするようになる。過去のデータをみると、ゆるゆる遠州も、狩野川100kmも、ぐるっと浜名湖も、その年毎の新たな参加者が7~8割も占めるような状況だ。今までこうした大会に参加してきたサイクリストたちは何処にいってしまったのか。これは、足を洗ったのではなく、より遠くの地での大会に参加したり、あるいは自転車を持って旅に出たり、というように自転車人生の新たなステップに踏み出しているのだ。さらには世代別の傾向として、リタイヤを契機にサイクリング人生をスタートさせたサイクリストが圧倒的に増えているのが現実である。2000年からずっと続いてきた自転車ブームは、干支が一巡する12年以上を経て、そろそろ分岐点を迎える時期になった。つまり、ベテランになっていくサイクリストたちがもつ「自転車旅」への欲求に対する受け皿を、いま用意しておくべきなのだ。

 また、各観光協会がネットワーク事業を活用して宿泊や飲食を伴う滞在型ツーリズムを推進していくためには、イベントによるワンデイ集客ではなく、前泊や後泊を伴う自転車の旅を提供していく必要があるだろう。ゆるゆる遠州サイクルツーリズムは、120kmのロングライドイベントと、5コースのガイドライドツアー、そしてネットワークを構成するエリアのサイクルマップの整備という3つの組合せで推進してきた。しかし、ロングライドイベントが持つ起点・終点以外の地域は、どうしても通過エリアとなってしまいがちだ。それに比べてガイドライドは、各地域を目的地としつつ、その土地の魅力をゆっくりと味わうことができる「旅」の要素を充分に有している。

 台湾を中心とした海外セールス活動においても、進んだ自転車文化を持つ地域からの誘客に対応するために、ガイドサイクリングの充実化が求められている。ガイドサイクリングの商品化においては、夏場の北海道が日本の先進地だが、それ以外には「ゆるゆる遠州ガイドライド」のような規模で、ガイドサイクリングを顕在化している地域は未だに見受けられない。こうしたオリジナル商品を充実化させ、他に先駆けて積極的に提供していく必要があるとの考え方で、今回は2日間それぞれにガイドサイクリングを実施し、5市1町をゆっくりと味わっていただき、当地域にできるだけ長時間滞在してもらう自転車旅の機会を提供していきたいと考えている。

●2014ゆるゆる遠州ガイドライド2days-3/15sat. 16sun.

SCTA|静岡県サイクルツーリズム協議会が設立

2012-12-18 19:49:51 | サイクルツーリング
 静岡県サイクルツーリズム協議会が、2012年12月12日に設立。準備と調整に奔走した。コンセプト株式会社で事務局を担う。小笠山山麓を囲む5市1町と、狩野川流域の2市1町の観光協会が発起人となり、静岡県全域の市町および観光協会、法人に参画を呼びかけていく。

 当日は、八重洲出版 CICLISSIMO編集長の宮内 忍さんをお迎えして『サイクルツーリズムのこれから―自転車利用観光施策の導入』と題した記念講演会を催した。いつもの宮内節が炸裂!日本のサイクルツーリズムはここまでいっているのか!?と、皆さんは認識を新たにしていただけただろう。

 サイクルツーリズムに極めて有効なこの静岡の地は、“聖地=mecca:メッカ”と言うより“適地=niche:ニッチ”と呼ぶのが相応しい。日本を代表するしまなみ海道や北海道はサイクリストが一度は走りたい非日常的な地なのに対して、こちらはロコサイクリストたちが季節を問わずに自転車を楽しんでいる地。しまなみの次の地、あるいはその次の地で充分である。何度訪れても、日本の良さが凝縮したような多彩なみちと風景がある。ロコサイクリストたちが日常的に楽しむみちが、訪れる人にとってはとびきり新しい、面白いみちなのだ。

サイクルツーリズムの適地へ

2012-01-13 19:34:57 | サイクルツーリング
 サイクルツーリズムは、日本よりも西欧諸国を中心とした海外の国々において、観光業に大きく寄与してきた。日本でも、ここ10年でサイクリングライフの素地が進化し、静岡県でもサイクルツーリズムの素地が確立しつつある。サイクリスト人口の拡大、高額のロードバイクのかつてない需要、自転車専門誌の普及、サイクリングイベントの発展などを背景に、自転車による旅のニーズは急速に増している。

 それを示すように、サイクルスポーツ環境のなかでは、競技人口が減少する一方、地域の特性や自然の魅力を活かし、ツーリズムの要素を取り入れたサイクリングイベントが着実に愛好者層を増やしている。静岡県では、「狩野川100㎞サイクリング」(伊豆・狩野川流域)、「ぐるっと浜名湖サイクルツーリズム」(浜名湖沿岸)、そして「ゆるゆる遠州ロングライド」(小笠山山麓)がその代表例となる。

 サイクルツーリズムという新しい旅のジャンルにおいて、静岡県は通年で自転車を楽しめる気候、風光明媚な景観、適度な起伏に富んだ多彩なみちにより「自転車適地」といえる4つのゾーンが形成されつつある。

 1)伊豆狩野川流域(伊豆の国市、伊豆市、函南町、三島市、清水町、沼津市)
 2)浜名湖沿岸(浜松市、湖西市)
 3)小笠山山麓(磐田市、袋井市、掛川市、菊川市、御前崎市、森町)
 4)富士山麓(富士市、富士宮市)

 多くの自転車専門誌、ライフスタイル系の雑誌が「自転車の旅」を頻繁に特集し始めた。これは、増加したサイクリストと拡大したサイクルマーケットのニーズが、サイクルイベント参加型から、滞在型サイクルツーリズムへと進化していることを示している。

 今回の渡航と招聘活動は、静岡県を自転車適地として国内外のサイクリストに着目してもらい、静岡空港を活用して豊かな四季と自然を愉しむ「自転車の旅」を提案し、国内外のサイクリストの誘客に結び付けていこうというものなのである。


台湾自転車事情~その4

2012-01-08 22:48:56 | サイクルツーリング
 ちょうどこのタイミングで、静岡と台北が定期就航便で結ばれることが発表になった。チャイナエアラインが、この春3月25日(日)から運航を開始する。当面の運航は火、木、日 の週3便。静岡発20:00-台北着22:30、台北発15:20-静岡着19:00ということなので、金曜休暇をとり、木曜の仕事が終わってから出かけて日曜の夜帰国するというスケジュールを組めば、2日半の自転車旅ができることになる。台湾からも、同じパターンで静岡を旅することができる。

 冬、サイクリストたちには飛行機での自転車輪行で、台湾へ旅するのをお勧めしたい。もちろん、夏を除く春や秋もいい。現地のサイクリストは「春は東海岸、特に花蓮辺りがお勧め」と言う。ただし、「夏はやめておいたほうがいい」と付け加えた。やはり、よほどの暑さになるのだろう。

 飛行機輪行をお勧めするのは、今までも書いてきたように、国民の自転車への理解度の高さと、マップ、サイクルショップ、自転車専用道などのインフラ整備がすすんでいるからだ。GIANT社のレディースオンリーのサイクルショップ“LIV”では、店舗開店前でも、自由に空気入れを使えるようになっていたし、トイレにはサイクリストが自由に使えるシャワールームまで完備されていた。また、GIANT社のフラッグシップショップのトイレのサインなど、あまりにも気が利いているではないか。

 台北中心部で、われわれをガイドしてくれた陳さんが「公道上の自転車専用レーンの設定は失敗だったね」とつぶやいた。確かに、自動車の駐停車スペースと自転車レーンが干渉し合っているし、さらには尋常でない数のスクーター軍団の走り方を見ると、設定がやけに短絡的だし、修正の余地が大いにありそうだ。とはいえ、郊外の自転車専用道は、地図を見ただけでも膨大なルートが設定されている。

 ちょうど同じタイミングに、親しくしていただいている編集者でサイクリストの澤田さんが台湾へ向かうことを、出発前の中部国際空港でfacebookを開いて知った。なんとほぼ同じ日程で台湾に滞在するという。ただし、澤田さんは東海岸を旅するということで、現地では結局会えずじまいだったが、サイクリストは台湾に向かっているのだ。台湾での自転車ブームを後押しした映画があるというので、レンタルしてDVDで観賞した。タイトルは『練習曲』。ただの自転車推奨プロモーション映画ではなかった。そこにはリアルな台湾が、自転車の視点から描かれていた。

 ゆるゆる遠州サイクルツーリズムでは、3月17日(土)にロングライド、18日(日)にガイドライドというツアーイベントを開催する。そこに、台湾からのゲストサイクリストを招いている。惜しくも定期就航便のスタートに間に合わないので、那覇を経由して静岡空港に降り立ってもらおうとしている。果たして、早春のわれわれの“ゆるゆる”みちや風景資源は、台湾のサイクリストにどう映るだろうか。


台湾自転車事情~その3

2011-12-31 01:13:52 | サイクルツーリング
 台中はGIANT社の本拠地だ。フラッグシップショップも、女性専用サイクルショップ“LIV”も、さらには自転車専門誌「単車誌」の編集部もここにあった。また、最近出来たという話題のサイクルショップ“185”も台中にあり、この写真は“185”の店内だ。驚いたことにカウンターバーが備わっている。

 “185”の自転車展示空間は圧巻で、キャノンデールだけで15台以上を展示。レンタサイクルも質の高いもので、写真ではタンデムと「自行車出租」というレンタサイクルのサインを紹介しておこう。

 GIANT社は、自転車の旅を専門とする“GIANT ADVENTURE”という旅行会社を傘下に置き、台湾一周912kmを9日間で巡るツアーなどを商品化し、販売している。もちろん、3日間行程のツアーが主力となるようだが、注目すべきは、日本での3泊4日ツアーを催行している点で、これは沖縄への渡航型自転車旅なのだ。

 われわれの目論見としては、この日本への旅を静岡へ、というものである。新緑・新茶の季節や、紅葉の時期に合せたサイクルツーリズムにきっと可能性があるはずだ。折しも、3月25日から静岡空港と台北空港を結ぶ定期便の就航が決まった。これは追い風だ。GIANT ADVENTURE の若い女性スタッフに、通訳を介してプレゼンテーションし、3月にはファムトリップで実際に静岡を訪れてもらうことにした。

 台中でも台北でも、自転車道の整備が驚くほどすすんでいる。それに輪をかけるような、行政が発行する自転車マップの充実度に目を見張った。鉄道の廃線路や河川敷が自転車道となっているケースが多いようで、なんと牛車やリヤカーは禁止のサイン。ロコサイクリストたちは、ロードバイクにサイクルウエアをバリバリにきめた最近の日本のスタイルとは違い、おおらかで、日常の中にある自転車生活を愉しんでいるように見えた。



台湾自転車事情~その2

2011-12-27 22:53:34 | サイクルツーリング
 台北駅のすぐそばにある商業施設とバスターミナルの前には、自転車のフレームを使ったアートモニュメントがあった。大学とGIANT社が協力し合ってつくったとある。まちのあちこちで、自転車をテーマにしたモニュメントやサインを見かけた。左下の写真は台中市内。見づらいだろうけれど、まん中右側の街灯下にサイクリストのシルエットをあしらったモニュメントがあるのがわかるだろうか。

 左から2番目は台北中心部のビル街。ここにも歩道脇に車輪止めが完備されていた。次は街なかのレンタサイクル。ツーリング用ではないからファニーなデザインのシティサイクルだ。ステアリング部やカゴ前のプレート表示はご覧の通り。シティユースとして割り切った車種選びやカラーリング、デザインは、使い捨てシステムを踏まえた紛失や盗難防止のため、と考えれば納得もいく。

 都内でも、実物は見たことないけれど、最近こうしたシェアリングシステムのレンタサイクルが出現したとテレビで見た記憶がある。しかし、台湾ではずっと前からこのシステムが稼働していた。そういえば、高速道路のETCシステムも、日本よりずいぶん前から普及していたらしく、さらにコンパクトになった次世代ETCへの移行時期を迎えているという。


台湾自転車事情~その1

2011-12-25 14:47:57 | サイクルツーリング
 伊豆の狩野川流域を自転車適地にしようと、当時大仁町観光協会会長だった内田隆久さんと一緒にコリドー狩野川構想を立ち上げたのが1999年。2000年の伊豆新世紀創造祭という伊豆の観光再生事業で、唯一“川”を観光商品化しようという取り組みだった。それから3年後には生まれ故郷の森町のサイクルツーリングコースの設定とマップ・サインの整備を手掛け、さらにぐるっと浜名湖ツーリズムの名称で浜名湖サイクルツーリングを事業化した。

 1980年代の終りから90年代の初めまで、静岡県サイクリング協会の協力のもと、ヤマハリゾートつま恋や西武百貨店をスポンサーにハーフセンチュリーランやロードレース、耐久レースなどの事業に携わってきた。参加者の範囲とその評価から、静岡県が自転車適地であることは明白だったが、90年代終りまでぷっつりと自転車から遠ざかった。

 サイクルツーリズムの商品化に取り組んで12年。この12月に世界の自転車フレーム供給基地である台湾へ、初めて足を踏み入れた。そこで見えてきたのは、自転車産業が台湾経済の重要な位置に置かれていることだった。もちろん、世界最大の自転車メーカーであるGIANT社の本拠地は台湾だし、ヨーロッパの著名なメーカーの多くが台湾にフレーム生産を依存している。そうした業界事情とも相まって、行政の交通施策や観光施策に、自転車が積極的に位置付けられていることがよくわかるのだ。

 例えば、台北市内の地下鉄は、曜日指定があるものの自転車を地下までエレベーターに載せ、車両にもそのまま積載することができる。中心市街地には車道や歩道に自転車レーンが、歩道脇には車輪止めが、ICカード利用の乗り捨て可能なレンタサイクルが整備されている。これは、自転車先進地であるヨーロッパでは通常の光景だろうが、ともすれば日本!?と錯覚するようなアジアの都市で、このようなシステムがごく普通に運用されていたことに率直に驚いた。地元のガイドに言わせると、車道の自転車レーンの整備は失敗例だと言っていたが、これで一丁上がり、ではなく試行錯誤しようという意思も読み取れた。

 GIANT社が展開する女性のためだけのサイクルショップ“LIV”が面白かった。自転車もウエアも女性専用。ショップ内はスポーティーなレディースモード全開で、台湾のマーケットの懐の深さを思い知らされた。いくつかのショップに立ち寄ってみたが、広大な展示スペース、扱いブランドやパーツの充実度は素晴らしかった。

 台湾をはじめ、北海道など国内外のサイクリストとの交流によって、静岡県を自転車適地として顕在化し、商品化しようという取り組みをスタートさせている。ここ数回にわたって、自分が実際に体感した台湾を、自転車事情としてレポートしていくこととする。


ツーリズムの互産互消

2011-04-05 22:41:07 | サイクルツーリング
 以前の記事“北海道がテリトリーになった”と、“互産互消”は、その関係性が深まってきた。互産互消という概念は「食」のカテゴリーからはみ出し、「ツーリズム」の領域で通用し始めそうだ。

 北海道の人口は約552万人。これは国でいうとデンマークやフィンランドに匹敵、ニュージーランドの1.3倍にあたる。そのうち札幌市の人口は191万人。北海道の3人に1人が札幌市に住んでいる計算だ。5年前、ツール・ド・北海道協会から、「ツール・ド北海道のあり方検討会」委員に任命いただき、冬の札幌に何度か通った。札幌の都市力とともに、雪に閉ざされた北国のサイクルショップとサイクリストたちがとびきり元気なことに驚かされた。極端に言えば、北海道は11月から4月まで自転車に乗れない(スパイクタイヤを履いたMTBは別として)。1年のうち半年近くも快適にバイクを走らせられない環境にもかかわらず、北のサイクリストたちは平日の昼間からショップに集っていた。

 北のサイクリスト、特にロードバイカーたちにとって、大井川と天竜川に囲まれたわれわれのフィールド:ゆるゆるした自転車適地への“冬の自転車旅”は間違いなく魅力的ではないか・・・厳寒の札幌から温暖な静岡へ空路で降り立つ度、その想いは強くなった。

 ・年間積雪日がほぼゼロに等しく、温暖な気候
 ・北海道にはない柑橘、魚介、緑茶などの豊かな食材
 ・里山・里川・里海が織り成すゆるゆる地形、ゆらゆらみち
 ・茶畑に代表される農の営みによる美しい自然空間
 ・千歳空港から直行便が行き来する富士山静岡空港のすぐそば
 ・素敵なみち、快適な時間、面白い場面をガイドできるロコサイクリストの存在

 北海道のサイクリストたちへ・・・あなた方が雪に閉ざされる冬、ロコサイクリストたちが快適なみちと魅力ある空間を巧みにガイドする、雪知らずの静岡へ走りに来ないか。

 静岡のサイクリストたちへ・・・蒸し暑い初夏から盛夏は、北海道へ走りに行かないか。静岡ではまったく見られないストレートロード、大自然、ダイナミックな農空間、乾いた空気、美味しい道産食、そしてあなたがガイドした北海道のサイクリストたちが待っている。

 自転車ブームがまだまだ続くなか、富士山静岡空港を使った新次元のサイクルツーリズムを実証したい。食の互産互消から、ツーリズムの互産互消へと発展させると、地域間交流の価値はさらに高まるはずだ。

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メインおよび *撮影:残間正之

100人×100kmサイクリング

2009-12-11 19:04:41 | サイクルツーリング

 淡路島でのサイクルツーリングを終えてからというもの、身のまわりは自転車のことで盛り上がっている。新聞社からNPO活動の取材を受け、主要事業に“スロースタイルサイクリング”があるということから、「朝のスロースタイルサイクリング」に女性記者が実走体験をしていただくこととなった。明日12(土)早朝は、約25kmのツーリング(ポタリング?)へ久しぶりに参加する。

 宮内 忍さんが編集した砂田弓弦さんの写真集「ツール・ド・フランス 七月の輪舞」が届き、事務所にやってくるサイクリストたちと、圧倒される写真に見入っている。

 昨日事務所にやってきた法政大学の大学院生は“工場建築が地域にもたらす価値”なるものを研究していて、資生堂企業資料館を訪ねるとともに、ねむの木美術館などを巡りたいという希望。じゃ、と事務所の自転車を貸し出した。辺りが暗くなると「掛川のみちと風景はキモチ良いですね!」と息を切らして帰ってきた。

 淡路島サイクリングの反省から。掛川のサイクルツーリズムを、サイクリストたちにもっとわかりやすく、魅力的かつモチベーションを上げられるような仕立てにすること、これが来年のテーマでもある。そこで、多彩なコースで100kmをとれる掛川のみちを使って、100名が参加し“100人が100km走る”掛川10,000kmサイクリング!をツアー化しようと、鋭意構想中である。

             

うねる道~淡路島を行く

2009-12-01 13:26:08 | サイクルツーリング

 淡路島で開催中の“スローライフ月間in淡路島”に協力するカタチで、淡路島でのスロースタイルサイクリングを試行実験しようと、総勢14名のNPOスローライフ掛川のサイクリストたちとともに淡路島へ渡った。メンバーには強力ゲストが2名。宮内忍さんと山村レイコさんだ。ふだんからライフスタイルデザインカレッジの講師としてお付き合いいただき、また6年前には、このお二人と一緒に四万十川を走ったこともある。掛川の流儀で淡路島を走り、サイクルツーリズムのヒントを地元の方々と一緒に考えようという試みに賛同いただき、同行いただけることとなった。

 四国への通過地でしかなかった淡路島の地へ初めて立ち、2日間で100kmのツーリングを試行した。期待していたのは、淡路島の原風景との出会いであり、それがスロースタイルの真髄でもあると考えていたが、淡路島は果てしなく広かった。ところどころで、画像のような段丘状・棚田状の農地(タマネギ畑とレタス畑)を貫く“うねった”農道の美しさ等に、原風景のさわりを見ることができたが、あまりにも時間が足りなかった。

 宮内さんは、一日目の懇親会時のレクチャーで、『世間では“あわ一”(淡路島一周)“びわ一”(琵琶湖一周)がサイクリストのブームになっている。島や湖を一周するという行為は、サイクリストのモチベーションと達成感を得るのに最適な要素なのだから、地域がその認識を新たにし、一周サイクリストを迎えるための環境をもっと整えたい。具体的にはロングライドイベントであり、マップやサインの整備をすすめていくべきだ』と語った。
 
 サイクリスト人口の増加という好機に、単純な観光客誘致的な場面をつくる(イベント)だけでなく、サイクリストがいつ来ても楽しめる時間を提供すること(サービスやシステム)が必要だ。しかし、最初からサービスやシステム化だと言うより、まずは集客型イベント等により目に見える成果があることで、次のステップへすすむことができる。つまり、サイクリストたちの“あわ一”ブームを加速させるのがまず最初なのだろう。それは決してレースでなく、ツーリングであるべきだ。次いで、味わい深い淡路島の原風景と出会う自転車旅の提案だ。それには、われわれが編集したコリドー狩野川のような読本型マップがどうしても欲しい。一周コースに多彩なサブコースを加えた読本型マップだ。

 掛川の場合、こうしたステップの前に先進的な実験や試行ばかりを重ねたことで、コマーシャリズムに乗らない『通好み』のサイクルフィールドとなってしまった感がある。我々は、最初から淡路島の原風景をきちっと巡るための資源の顕在化とマップ編集の必要性を求めてしまうけれど、宮内さんから「おこがましい!」と一蹴されたように、“あわ一”を知らずして、また、たった数時間で淡路島のサイクルツーリズムは語れないことに、一同ハッと気がついた。

 たった2日間、実際のツーリング時間は9時間にも満たない。淡路島をもっと知りたい&もっと走りたい のモチベーションは、淡路島のロコサイクリストたちとの出会いでさらに高まった。地域を良く知るサイクリスト、感覚が通じ合うサイクリストが存在するだけで、サイクルツーリズムの可能性はもっと拡がることは間違いない。

    

ショートムービー~自転車で行きたい

2009-03-10 22:34:03 | サイクルツーリング

 自転車に乗りながら声を出すと、声は今走っていた後ろへ後ろへ、と過ぎ去って行ってしまう。風が強い日はなおさらだ。自転車に乗りながら、口笛を吹いた経験があるだろうか。颯爽と自転車で風を切りながら口笛を吹こうとすると、スピードが出ていたり、風が強いと、それはなかなか難しくなる。

 こうした経験と、自転車の持つ速度感を絶妙に表現したTHE BOOMの「口笛が吹けない」という曲がヒントになって、理事をつとめるNPOで、ショートムービーをつくった。そして、先日掛川市の美感ホールで完成上映会を行った。

 NPOでは、自転車による地域資源の再認識、魅力ある景観の再発見、新しい価値観のツーリズム提案に取り組んでいる。そこから派生してきたのが、ロケーション支援プロジェクトだ。フィルムコミッション活動が各地でさかんだが、単なる経済効果を目論むだけのロケ支援ではなく、地域住民が映像を通じて、地域の景観や空間を誇りに感じられることを重要視している。

 映像制作者たちの便利屋になるのではなく、掛川という地域の価値をキチンと伝えられる作品を見極め、メリットがもたらされるであろうロケを支援することに意味がある。ならば、「我々の地域にはこんなロケーションがあります」と紹介するのでなく、「こんな映像作品が出来ちゃいます」と提案するほうが有意義だと考えた。

 作品は約12分、台詞無しのささやかなもの。しかし、監督兼撮影はカメラマンの小川博彦さん。スチールをムービーに持ち替えての初監督作品だ。そして、編集は深田博さん。Web制作稼業をさしおいて、難儀な編集作業にのめり込んでくれた。このほか、多くのNPOメンバーの手によって仕上げたショートムービー。実作品は12分だがYouTubeへアップしてあるため、10分弱に編集してある。ぜひ見て欲しい。

■ショートムービー~自転車で行きたい

積極的試行錯誤

2009-03-08 20:23:53 | サイクルツーリング

 掛川のスローな資源を巡り、スローな価値を体感する自転車旅(1泊2日)を試行し、掛川における今後の滞在型サイクルツーリズムの可能性を探ろうと、3/7-8に、“スロースタイル・ガイドサイクリング モニターツアー”を実施した。

 このツアーは、われわれのNPOが提唱するライフスタイルツーリズムの試行実験であり、既に数年実施してきた自転車によるガイドサイクリングを、さらにステップアップし、ガイドツアーとして商品化しようというものである。
 
 掛川のローカルサイクリストが、掛川を訪れたサイクリスト(モニター)をガイドする
 モニターは、自転車・アウトドア関係者、研究者等を対象とする
 滞在型サイクリング+ガイドサイクリングを試行する
 あえて里山温泉旅館に滞在、里山の地形と風景を体感してもらう
 掛川のスローな資源をスローに巡り、触れ、味わい、そのフィーリングをフィードバックする
 サイクリストが滞在することで、自転車の旅と新しい交流型産業の可能性を探る


 一日目は、小笠山山麓に拡がるモコモコ地形の中をうねりながら、横須賀の街並みや食材を体感し、北上して倉真温泉に宿泊。二日目は掛川市北部の里山で、水田と茶畑の中を走り、2つのテーマ館(ねむの木こども美術館と資生堂企業資料館・アートハウス)を堪能した。

 結果、既にわれわれのサイクルツーリズム資源として顕在化しているものを提案するシチュエーションには、一定の評価が得られたようだ。しかし、課題も明確になった。ガイドに必要なリーダーシップ。安全対策としての明確なレギュレーション。充実したレンタルシステム。この3つをクリアしていくことを、当面の目標としたい。

 掛川市内には、写真のように表示された広場がいくつかある。自転車の愉しみ方を人びとに提供するため、我々には積極的な試行錯誤と練習が必要だ。

■静岡新聞3/7朝刊記事より
http://www.shizushin.com/news/local/west/20090308000000000035.htm

自転車を愉しむ生活提案

2009-02-28 00:39:22 | サイクルツーリング

 自転車がもたらす絶妙な速度感、歩くよりも遠く広く、クルマよりも自由な機能性は、自然と生活を五感で感じとることができる。

 他所のサイクリストたちと交流を深めていくと、訪れた側から地域の魅力を再認識させられる。いつもの見慣れた風景は、自転車に乗って少しだけ立ち止まり、余分な道を進み、視点を変えるだけで驚くほど新鮮に映る。ふだんのままの地域料理をサイクリストたちが美味しそうに平らげるのを見て、地元の食材や飲食店を見直すようになる。サイクリストの視点は決して特殊な視点ではない。全国的な自転車ブームが続いているし、NPOに携わった何人もの仲間がサイクリストになってしまった。

 自転車がもたらす価値が、地域の魅力の再発見・自立と再生・活性化へと繋がる可能性を示した、というと少し大げさかもしれない。しかし、掛川のような地方都市で「ひとが自転車に乗って走る」だけの行為が、地域のひとびとが地域に誇りを持ち、その価値を知ってもらうための新しいステップを踏み出している。

 自転車ブームはまだまだ続く。サイクルツーリズムを標榜する地域も現れてきた。その中で、私たちが取り組む「自転車を愉しむ生活提案」。それは、足るを知る心で、個性的で豊かな地域生活を実現するためのひとつの手段なのだ。

進化する掛川のサイクルツーリズム

2009-02-26 21:16:09 | サイクルツーリング

 掛川市は観光都市ではないものの、近年の観光的アプローチの中に注目すべきアイテムとして、自転車によるツーリズムがある。観光地として有名ではない掛川市のような地方都市が、サイクリストの視点に立つと、地域資源の宝庫であることがわかってきた。

 何気ない田園風景や茶畑、ローカル線沿いの道、昔懐かしい路地が、サイクリストには素晴らしい風景と映り、強く記憶に残る。また、自転車は移動範囲を大きく拡大すると同時に、いつでも止まれる歩行者の視点を併せ持つ。広範な移動性と歩行者の視線を組み合わせ、掛川市の歴史、伝統、自然条件、風景を楽しむツールとして自転車に着目してみると、掛川市は自転車に適したサイズ、起伏のまちだ。

 地域を知るツールとしての自転車の可能性、遠方から観光で訪れる人たちへの、受け皿としてのルート選定やマップ作成などのソフト制作は、地域資源の新たな創造につながるため、ここ5年間はこうした掛川流儀の自転車のツーリズム実験やツアーを重ね、ガイドを養成してきた。

 この3/7(土)~8(日)には、掛川でモニターサイクリングを実施する。このツアーは、日頃、自転車と関わりの深い仕事・生活をしている方に、掛川のサイクリングツアー(ロコサイクリストがサイクリストをガイドする)を実体験していただき、様々な意見・感想を、今後のツアーにフィードバックしようというものだ。われこそは、という方はまだ少し枠があるので、ぜひ名乗りを上げて欲しい。

 写真は、隆起した古の大地があらわになった掛川市上内田の大地層だ。サイクルツーリズムは、大地の起伏を五感で感じるテライン(地形)ツーリズムでもある。

その先のサイクルツーリズムへ

2008-10-03 01:26:53 | サイクルツーリング
 
 例年、9月の最終日曜日は「狩野川100kmサイクリング」に携わっている。既に9回を数えるようになったこのツーリングイベントは、申込者数が600名を超えるまでになった。静岡県のあちこちで、サイクルツーリングを仕掛け、仕立ててきた。単にでっかいサイクリングイベントをやりたかったのではなく、 “自転車乗りたちの質の高さ”をもって、ツーリズムの新しいカタチをつくりたかった。

 狩野川100kmサイクリングが2000年から。掛川スロースタイルサイクリングは2002年から。ぐるっと浜名湖ツーリズムが2003年から。森町サイクルツーリングデイは2004年から。それぞれの地域の、サイクルツーリズム元年である。このうち浜名湖では、立ち上げから3年間、軌道に乗るまでを全力で携わった。今や参加者は1,500人を超えるビッグイベントに成長し、参加サイクリストの評判も上々だ。しかし、そのソフトは広告会社のためのビジネスノウハウとして使われただけで、次の一手がない。浜名湖のサイクルツーリズムは、どこへ向かおうとするのか。

 本質的サイクルツーリズムとは何か。今現在のロードバイクビギナーズたちのニーズを汲めば、ロングライドイベントを否定するものではないが、日常的にサイクリストたちが集い、走り、滞在する、という基本に立ち返った“システムの構築”が急務であろう。

 掛川は、里山地形と味わいある資源、ロコサイクリストがサイクリストをガイドする独自のサイクルツーリズムを確立しようとしている。

 狩野川は3年ぶりに晴れた。ここ2回は雨の中のサイクリングだった。そして、来年は10年目を迎える。一味違う、新しい時代の伊豆のサイクルツーリズムを提案したい。ビッグサイズイベントでなく、ビッグヴィジョンイベントにしないとならない。