古いアルバムの1ページ目を、生まれて間もない僕を抱いた母が映っている白黒の写真がかざっています。このアルバムの写真は母が引き出しの中に重ねるように入れていた写真をこっそり貼ったものです。父親が家を出て行ってしばらくしてから見つけた写真です。以前はどこか別のアルバムに貼ってあったような跡がついていました。母と2人で映っているか、僕だけの写真ばかりです。写真が好きだった父はいつも写っていません。どこにも父の写真は見つかりません。最後にたまたま別の引き出しの隅に1枚だけ見つけた父の写真は白黒の小さな写真でした。見た事もないほど若い父の写真でした。鳥打帽をかぶってスーツ姿で片足を石の段に乗せてポーズを取っています。父が出て行って長い時間が過ぎて当時の顔を思い出す事も出来なくなってしまいました。父の訃報が届いた時も会いに行けず最後の顔も見れなかったので今手元にある若い父の1枚の写真が思い出です。ただ僕が知らない若い父の写真は僕の知っている父の記憶をどんどん書き換えてしまうようで今ではアルバムを開く事も無くなってしまいました。
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