背後から飛び出して来たそれを
黄泉は振り返ることなく蹴り飛ばした。
ぎっ!と悲鳴があがり先に進んでいた盗賊団の
中堅が何事かと戻って来る。
「なんだ?今の。」
げ、なんか間違った?また怒鳴られるのかとげんなりしながら
黄泉は何かを蹴飛ばしたと説明した。
訝しげなその男は黄泉の後方に視線を向け驚いた。
「・・・これオマエがやったのか?!」
「へ?」
男が指差す場所には口から血を流し絶命している小型の獣。
ウリ坊っぽいなあと黄泉は思う。
「・・・神経毒持ちの凶暴なバケモンだ。」
「・・・?」
タダのウリ坊だろ?あ、今日アンタらの飯猪鍋かいいな畜生。
たまには肉食いてぇな。くーの果物うまいけどさあ等と考える黄泉の
背中を男はばしん!と叩いた。
「いって!」
「オマエやるなあ!ガキの癖に!まぐれでも凄えぞ!」
男の大きな手でぐしゃぐしゃと髪を撫でられる。
初めて褒められたのと合わさり何とも言えない
感覚に黄泉は驚く。
「黒鵺。」
今日の仕事は大成功と言っても良い。
こちらの被害は最小。二、三人が軽い怪我をしたくらいだ。
あちらの被害は甚大。生きている者は殆どなく溜め込んだ宝も
あらかた盗んで来た。5日程宴会をしても痛む懐はないくらいの
儲け。
下っ端の自分には縁がないが一人待っている可愛い小狐の元へ
戻ろうと羽根を広げた彼を呼び止めたのは所属する盗賊団の副長。
「なんですか?」
「・・・おら。」
いきなり投げつけられた革袋を顔の横でキャッチする。
じゃら、と音が鳴った。
(・・・金?なんで?)
疑問が顔に出ていたのか副長はにやりと笑う。
「今日のお前の取り分だ。」
「・・・え、」
「今日の陽動は良かったぜ。
飛ぶしか出来ねぇ穀潰しかと思ってたが意外な拾いもんだった。」
背中を向けて手をひらひらと振りながら副長は騒ぐ
団員達の集まりに戻った。
一人残された黒鵺は怪訝そうに革袋を見つめた。
(ぬー・・・遅い。)
つまらなそうに口を尖らせ銀髪の妖孤はごろんと住処の
床に転がった。
ふかふかの落ち葉が気持ち良い。
十日程前から保護者、と言うか兄貴分と言うかなんかそんな存在である
黒鵺が会いに来ない。
『黒鵺さんは仕事だぜ。』
と聞いてもないのに頭に角がある黄泉が教えて来た。
黄泉はあんまり強くないし頭も良くないから妖孤ー蔵馬は
一緒にいても楽しくない。
すぐ怒るし打つし黒鵺が買ってくれた本で文字の勉強をしていると
邪魔してくるからだ。
とは言えその黄泉も三日前から会いに来ない。
ごろりと寝返りをうつ。
ー二人ともどうしたんだろう。
黒鵺や黄泉は良く怪我をしてる。
何処かで危ない目にでも合っているのか。
この木からは二人がいない時は降りるなと言われている。
だけど。
二人が危ない目にあってるなら。
「たすけないと。」
うん、と頷いて蔵馬は立ち上がー
「おーい!くー!」
聞こえて来たバカっぽい声は黄泉。
バサバサと蔵馬のすぐ後ろから羽根音が聞こえた。
「蔵馬。何も無かったか?」
蔵馬の身長に合わせたうろの中に身を縮めて黒鵺は入って来た。
「・・・ぬー・・・」
大きな目をいっぱいに開いた蔵馬はゆっくりと黒鵺に
近づくと腕に触れた。
「・・・どうした蔵馬?」
蔵馬から触ってくるなんて珍しいと黒鵺は首を傾げた。
「ぬー、怪我は?」
「怪我?無いな。今回はなんだか楽だったから。」
「・・・あぶないなかった?」
「ヤバいことは無かったな。」
「・・・そうか。」
蔵馬は嬉しそうに微笑んだ。
(可愛いなあ、こいつ)
微笑む蔵馬を見て釣られた黒鵺も微笑む。
「なー!くー!黒鵺さん!
二人で何やってんだよー!おーい!
肉貰ったから食おーぜー!」
黄泉の大声に蔵馬は顔を歪める。
「よみは。」
「ん?」
「いっつもおれとぬーの邪魔する」
「悪気はないんだ。許してやれよ。それにさ。」
「なに?」
「黄泉がいなくなったらお前も寂しいだろ?」
耳をぴん!と立てた蔵馬は。
「さみしいない!」
と怒鳴ると黒鵺に背を向ける。
背を向ける前に見えた蔵馬の顔は朱に染まっていたのを
黒鵺は見逃さなかった。
〜お久しぶりの三!人!組!
ちょっとずつ認められて来たぬー&黄泉。
箱入り娘(?)なくー。
どうなるのかしら、この三人。
きら☆こんさん。コメント有難う御座います。
本当に黄泉様アレでもイケそうですよね。
一応人形だからかしら?亀(なんでだ)とかなら
どうするんだろう?
黄泉は振り返ることなく蹴り飛ばした。
ぎっ!と悲鳴があがり先に進んでいた盗賊団の
中堅が何事かと戻って来る。
「なんだ?今の。」
げ、なんか間違った?また怒鳴られるのかとげんなりしながら
黄泉は何かを蹴飛ばしたと説明した。
訝しげなその男は黄泉の後方に視線を向け驚いた。
「・・・これオマエがやったのか?!」
「へ?」
男が指差す場所には口から血を流し絶命している小型の獣。
ウリ坊っぽいなあと黄泉は思う。
「・・・神経毒持ちの凶暴なバケモンだ。」
「・・・?」
タダのウリ坊だろ?あ、今日アンタらの飯猪鍋かいいな畜生。
たまには肉食いてぇな。くーの果物うまいけどさあ等と考える黄泉の
背中を男はばしん!と叩いた。
「いって!」
「オマエやるなあ!ガキの癖に!まぐれでも凄えぞ!」
男の大きな手でぐしゃぐしゃと髪を撫でられる。
初めて褒められたのと合わさり何とも言えない
感覚に黄泉は驚く。
「黒鵺。」
今日の仕事は大成功と言っても良い。
こちらの被害は最小。二、三人が軽い怪我をしたくらいだ。
あちらの被害は甚大。生きている者は殆どなく溜め込んだ宝も
あらかた盗んで来た。5日程宴会をしても痛む懐はないくらいの
儲け。
下っ端の自分には縁がないが一人待っている可愛い小狐の元へ
戻ろうと羽根を広げた彼を呼び止めたのは所属する盗賊団の副長。
「なんですか?」
「・・・おら。」
いきなり投げつけられた革袋を顔の横でキャッチする。
じゃら、と音が鳴った。
(・・・金?なんで?)
疑問が顔に出ていたのか副長はにやりと笑う。
「今日のお前の取り分だ。」
「・・・え、」
「今日の陽動は良かったぜ。
飛ぶしか出来ねぇ穀潰しかと思ってたが意外な拾いもんだった。」
背中を向けて手をひらひらと振りながら副長は騒ぐ
団員達の集まりに戻った。
一人残された黒鵺は怪訝そうに革袋を見つめた。
(ぬー・・・遅い。)
つまらなそうに口を尖らせ銀髪の妖孤はごろんと住処の
床に転がった。
ふかふかの落ち葉が気持ち良い。
十日程前から保護者、と言うか兄貴分と言うかなんかそんな存在である
黒鵺が会いに来ない。
『黒鵺さんは仕事だぜ。』
と聞いてもないのに頭に角がある黄泉が教えて来た。
黄泉はあんまり強くないし頭も良くないから妖孤ー蔵馬は
一緒にいても楽しくない。
すぐ怒るし打つし黒鵺が買ってくれた本で文字の勉強をしていると
邪魔してくるからだ。
とは言えその黄泉も三日前から会いに来ない。
ごろりと寝返りをうつ。
ー二人ともどうしたんだろう。
黒鵺や黄泉は良く怪我をしてる。
何処かで危ない目にでも合っているのか。
この木からは二人がいない時は降りるなと言われている。
だけど。
二人が危ない目にあってるなら。
「たすけないと。」
うん、と頷いて蔵馬は立ち上がー
「おーい!くー!」
聞こえて来たバカっぽい声は黄泉。
バサバサと蔵馬のすぐ後ろから羽根音が聞こえた。
「蔵馬。何も無かったか?」
蔵馬の身長に合わせたうろの中に身を縮めて黒鵺は入って来た。
「・・・ぬー・・・」
大きな目をいっぱいに開いた蔵馬はゆっくりと黒鵺に
近づくと腕に触れた。
「・・・どうした蔵馬?」
蔵馬から触ってくるなんて珍しいと黒鵺は首を傾げた。
「ぬー、怪我は?」
「怪我?無いな。今回はなんだか楽だったから。」
「・・・あぶないなかった?」
「ヤバいことは無かったな。」
「・・・そうか。」
蔵馬は嬉しそうに微笑んだ。
(可愛いなあ、こいつ)
微笑む蔵馬を見て釣られた黒鵺も微笑む。
「なー!くー!黒鵺さん!
二人で何やってんだよー!おーい!
肉貰ったから食おーぜー!」
黄泉の大声に蔵馬は顔を歪める。
「よみは。」
「ん?」
「いっつもおれとぬーの邪魔する」
「悪気はないんだ。許してやれよ。それにさ。」
「なに?」
「黄泉がいなくなったらお前も寂しいだろ?」
耳をぴん!と立てた蔵馬は。
「さみしいない!」
と怒鳴ると黒鵺に背を向ける。
背を向ける前に見えた蔵馬の顔は朱に染まっていたのを
黒鵺は見逃さなかった。
〜お久しぶりの三!人!組!
ちょっとずつ認められて来たぬー&黄泉。
箱入り娘(?)なくー。
どうなるのかしら、この三人。
きら☆こんさん。コメント有難う御座います。
本当に黄泉様アレでもイケそうですよね。
一応人形だからかしら?亀(なんでだ)とかなら
どうするんだろう?