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日本でも離婚率が上がっていて、結婚したカップルの3組に1組は別れるという状況になっています。離婚はそれだけ普通のことになっているわけですが、「離婚」しやすいカップルには何か特徴はあるのでしょうか!?

アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士にお話を伺いました。

■離婚原因のTop3はこうなっている!

――日本でも離婚率が上がっていますね。

篠田弁護士 まず「離婚の原因Top3」を見てみましょう。平成25年司法統計によれば、離婚調停の申し立て動機について、男女別に見てみると以下のような結果となります。

●夫からの申立

第1位 性格の不一致(63.5%)

第2位 精神的虐待(17.4%)

第3位 異性関係(15.5%)

●妻からの申立

第1位 性格の不一致(44.4%)

第2位 生活費を渡さない(27.5%)

第3位 精神的虐待(24.9%)

――男女とも「性格の不一致」が第1位ですね。

篠田弁護士 1975年-2012年の離婚原因の推移を見ると、やはり「性格の不一致」は、長年ダントツ1位です。しかも徐々に増加傾向で推移していることが分かります。

一方、DV(ドメスティックバイオレンス)関係については、大きな変化が見られます。例えば、妻側が申し立てる離婚原因として、

●「物理的な暴力」が1975年:37.6% → 2013年:24.7%

と激減しているのに比し、

●「精神的虐待(いわゆるモラハラ)」が1975年:17.0% → 2013年:24.9%

と激増していることが見て取れます。また、夫側が申し立てる離婚原因として、

●「物理的な暴力」が1975年:3.2% → 2013年:8.1%

と激増しており、さらに、

●「精神的虐待」が1975年:9.1% → 2013年:17.4%

とこれまた激増していることがわかります。妻による「殴る蹴る」の暴力や精神的な暴力が増えているといえそうです。

――なるほど。ずいぶん様変わりしていますね。

篠田弁護士 さらに、異性関係についても、妻側が申し立てる場合の

●「夫の異性関係」は1975年:34.3% → 2013年:19.5%

と激減しているのに比し、夫側が申し立てる場合の

●「妻の異性関係」は1975年:22.8% → 2013年:15.5%

と、さほど減っていない傾向にあります。ここ最近は、さらに「昼顔」ブームのせいで、妻側の異性関係が離婚原因として急増しているのでは……なんて話もよく聞かれます。

――昼顔はずいぶん影響力があったんですね。

篠田弁護士 以前は、「夫の暴力」や「夫の浮気」が、離婚原因の典型といったイメージがあったかもしれませんが、最近の統計を見る限り、これらの原因は「妻からの離婚原因」のトップ3には入っていないことになります。

現代においては、離婚原因として「性格の不一致」が挙げられる傾向がさらに進み、モラハラや女性側の暴力・不倫といった事情も、看過できない離婚原因となっているといえるでしょう。

■コミュニケーションの不足が問題!?

――離婚しやすい夫婦には何か特徴がありますか?

篠田弁護士 離婚しやすい夫婦の特徴は、やはり離婚の原因から逆算して考えるほかなさそうです。離婚原因として「性格の不一致」というカテゴリーがダントツで、現在もなお増加……という傾向からすると、やはり、

「話し合いの機会が少ない夫婦が離婚しやすい」ということがいえるでしょう。

夫と妻とは、育ってきた環境も違う以上、多少の価値観の違いやすれ違いは当たり前です。なので、話し合いもしないまま「許せない」という結論に走ってしまうことが、結局、「性格の不一致」というカテゴリーで離婚につながることを示しているといえるでしょう。

どちらか一方が

●相手の意見を尊重しない

●許容力がな

という性格だと、これもやはり離婚につながってしまうように思います。

――話し合うことの重要性が分かるわけですね。

篠田弁護士 また、最近よく聞かれる「モラハラ」が離婚原因として急増していることも注目に値します。

モラハラが生まれる状況は、「夫(妻)が外でストレスを抱えていてこれを家で爆発させる」、「夫(妻)のプライドが高い」「妻(夫)が自分が悪いと思い込んでしまい反論できなくなる」等の事情があります。

――プライドの高さが問題になることもあるのですね。

篠田弁護士 一般的には、夫のモラハラでいえば、「夫が外で働いていて『俺が稼いでるんだ』というスタンス」であったり、「常に夫が妻より優位に立っている」というケースだと、どうしても離婚しやすい状況になってしまうといえるでしょう。逆に、妻が、「夫は何もできない」、「夫は私の言いなり」というケースの場合は、妻のモラハラが原因で別れに至ることになりそうです。

また、「浮気を隠す」のは女性のほうが圧倒的にうまいといわれています。

なので、「妻側から性格の不一致を理由に離婚を申し出る」ケースでは、実は「妻が他に好きな人ができた」のが一定数あると予想されます。妻の普段の行動に無関心な夫は、妻の不倫にも気付かないままに離婚されてしまうリスクが高いといえるでしょう。

■どんな異性に気を付けるべき!?

――未婚の読者が多いので、結婚を考えるのなら、「こんな男性に注意しよう!」「こんな女性に注意しよう!」があれば、ぜひお聞かせください。

篠田弁護士 やはり、離婚原因のダントツは「性格の不一致」、これに続いて「モラハラ」ということができます。

これらの根底にある原因は、「相手の理不尽な言動・態度」ということができるでしょう。すれ違いがあった場合には話し合いで解決したり、不満があった場合にはこれを伝えたら改善してくれる、そのような関係であれば離婚には至りません。逆に、「意見を聞かない」「話し合いにならない」ケースは離婚に直結してしまいます。

――やはりコミュニケーションですか。

篠田弁護士 結婚前に、相手について「自分の非を認めない」態度や「人の話を聞かない」ような様子が見えたらこれは要注意ですね。あとは、やたらプライドが高い方や褒められ好き、受験や仕事で過去に挫折をしたことがない方は、結婚後に「モラハラ」に走る可能性があるので見極めも大事でしょう。

女性については、「やたらお金に細かくてケチ」な人や「豹変(ひょうへん)してヒステリーになる」ような性格を持っている人は、結婚後に、「稼いできたお金を全て妻の好きに使われてしまう」ケースや、「文句を言いたくても話し合いにならない」ことになることが多いので気を付けましょう。

そして、何よりも男性に注意していただきたいのは、「気が多い女性」ですね。最近の「妻の不倫事情」を見る限り、そういった女性は結婚後に不倫に走る可能性もあり、不倫を知った場合のダメージは女性よりも男性の方が大きいともいわれているので、覚悟が必要かもしれません。

■「離婚」を避けるために! 結婚する前の確認事項とは!?

――離婚相談に応えてきた経験の中で、結婚を考えている読者へのアドバイスがあればぜひ教えてください。

篠田弁護士 結婚を目前にしたときは、幸せいっぱいで、夫婦間に危機が訪れるとは想像できません。だからこそ、いざ「離婚」という話になった場合には、泥沼中の泥沼に陥ることもあります。結婚前は「このくらい許せる」と思っていたことが、結婚後は「絶対許せない」に変わってしまうことがままあります。

もちろん、結婚した以上は、「夫婦円満で一生を添い遂げる」ことができるに越したことはありません。なので、そのような夫婦になれるかどうか結婚前に吟味するとともに、結婚後もそのような夫婦でいられるようお互いに努力することも必要ですね。

――結婚するまでに確認するべきことはありますか?

篠田弁護士 結婚までに、少しでも「怪しいな」と思ったことや「不満」に思ったことがあれば、これをあいまいにしないで、しっかりと確認や話し合いをすることが大事です。

また、お互いのことをよく知らずに勢いで結婚してしまうのも当然NGです。特に、異性関係や借金などの隠し事などがないか、はしっかりと確認しておいたほうがいいでしょう。また、「この人とは合わないな」という危険信号を感じた場合は、結婚は慎重になったほうが良いといえるでしょう。

――とどまる勇気も必要ですね。

篠田弁護士 結婚後、夫婦関係が円満にいくためには、「夫婦はあくまで別々の家庭環境で育ってきたこと」をお互いに受け入れることが大事ですね。

当然、意見が食い違うこともありますし、一緒に暮らしていくうちに「こんなはずじゃなかった」と思うようなこともあるかもしれません。そのような場合でも、お互いの意見を尊重しながら話し合いで解決できれば、夫婦の信頼関係はさらに強まることになります。

――雨降って地固まるというやつですね。

篠田弁護士 ただ、夫婦というのは、長くいればいるほど、そのような思いやりや敬意を忘れてしまいがちになることも否定できません。

なので、これを「婚前契約書」の形で作成しておいたり、定期的に「初心に戻れるような言葉を掛ける」などの工夫も必要かもしれませんね。少なくとも、夫婦のうちいずれか一方が優位に立っている、という関係になりそうだったら、完全にそうなる前に、早急にこの関係を改善することが大事だといえそうです。

――ありがとうございました。

いざ「離婚」なんて事態になると、相当な労力とお金が掛かります。今、結婚を考えている人は再度自分たちが大丈夫かどうかを検討してみてはいかがでしょうか。

⇒『アディーレ法律事務所』公式サイト

(高橋モータース@dcp)


参考までに…