くろさん亭、おかわり

戦いは戦争だけではなく~同志少女よ、敵を撃て(逢坂冬馬 著)

会社の図書室には話題作が入荷することが結構あります。

(リクエストに応えてくれているからかもしれません)

でも、話題作は次々に借りられるので、見つけたときには素早く

借りるようにしています。

(本も結構高くなったので、本当に欲しい本を選んで買わないと

 大変なことになります・・・)

今回は借りることができたのが、この『同志少女よ、敵を撃て』。


前々か読んでみたかったのですが、読み終わって想像以上の作品でした。

(ネタばれになりそうなので、あらすじはここでは書きません)

文章の読みやすさ、登場人物のキャラ立ちもさることながら

この小説の描こうとしていたものを考えると、なんて凄い小説なんだ、と。

これは小説ですが、実際に兵士となった女性は多く存在しています。

(歴史ではあまり語られることもないのですが)

彼女たちの視線で戦争を見ると、一番大きなものはやはりその戦いでしょうが

それ以外にもジェンダーゆえの戦いも多くあったのでしょう。

それは想像に難くない。

しかし、それを丁寧に描いた作品というのは珍しいのではないかしら?

読んでいる間は、気持ちは寒い北国にいるつもりで、実際は蒸し暑い熊本。

ある意味、夏休みに読むのには最適な小説だったかも・・。

この小説を読んだ後に、TVで流れるウクライナの映像。

そこにいる人々は自分たちの町が廃虚になっていき、周りの人たちが

死んでいくことになったのかもしれません。

彼らはただの映像ではなく、それぞれの人生があるのだ、と当たり前でも

それまでは考えていなかったことが心に迫ってきます。

もちろん、ウクライナのひとだけではなく、ロシアのひとたちのことも。

現実に背を向けず、ちゃんと見ていくのも

私たちにとっては大切なことなのではないかしら?


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