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未来組

宝塚の舞台、DVD、SKYSTAGEを観た感想と、最近はカメラに凝ってます。

雪組「風の錦絵」「ZORRO 仮面のメサイア」

2009年05月18日 | 舞台感想(2007~2009年)
東京宝塚劇場公演 5月16日 15:30~
「風の錦絵」作・演出:石田昌也/「ZORRO 仮面のメサイア」作・演出:谷正純

30分強の短い日本物のショーと、2時間弱のお芝居の2本立て。
日本物のショーには専科から松本悠里と轟悠が出演。
雪組育ちで星組の娘役トップをつとめ、水夏希の相手役として雪組に帰ってきた白羽ゆりの退団公演。女心を盗んだ伊達男をひったてる岡っ引きとして威勢よく銀橋に飛び出してきます。コミカルなシーンなのに、これまで彼女がどれほど頑張ってくれたかを思い出すと、泣けてきました。

白波五人衆の一人、凰稀かなめが星組への異動で抜けた後を早霧せいなが埋めていて新鮮でした。雪組にはぴったりのジェンヌさんです。
「風林火山」で上杉謙信役の轟悠と、武田信玄役の水夏希がダンスで戦うシーンは超カッコいい。二人ともイケ面で眼光鋭い。水夏希の髭もいい。轟悠のざんばら髪からは色気が滴る。銀橋に立って一人で劇場空間を埋める存在感はさすがです。

音月桂の源義経、白羽ゆりの静御前も若々しくて美しい。このキャスティングで作品を観てみたかったです。
ジャズアレンジのソーラン節はエネルギッシュ。小僧さんのラインダンスなど(緒月遠麻はかわいかったです)、奇をてらった演出もありましたが、風林火山と源義経・静御前のシーンは、お金を払う価値があります。

「ZORRO」はプロローグから大階段を使います。黒装束に身を包んだ仮面の剣士たちが居並び、激しいスパニッシュギターにあわせて勇ましく踊ります。リズミカルにマントが翻って裏地の赤の面積が広がっていくところなど、豪華で、期待感をあおります。

舞台は19世紀スペイン領のロス・アンヘルス(今のロサンジェルス)。民衆はスペインからやってきたオリバレス総督(早霧せいな)、腹心のメンドーサ大佐(彩吹真央)による圧政に苦しんでいました。無力なインディアンは搾取されてひたすら堪え忍ぶのみ。

大農園の御曹司ディエゴ(水夏希)は留学から帰国するや、両親が反逆罪の汚名を着せられて処刑されたことを知ります。普段は愚鈍を装いながら、救世主ゾロ、仮面のメサイアとして民衆を救うことを決意します。

幼なじみのロリータ(白羽ゆり)とは好意を抱き合っていますが、この秘密も自分の気持ちも打ち明けることができません。男勝りのロリータが為政者を前に向こう見ずな言動で危険な目にあうので気が気ではありません。

主人公が正義の味方という間違いのない台本。舞台芸術も具体的でわかりやすい(舞台転換のスペクタクルはないけれど)。軍服や輪っかのドレスが洪水のように登場する。(インディアンの女の子たちの衣装はむしろ今風で可愛かった)

水夏希はゾロの時は髭を付けています。いい!仮面をつけていても立ち姿からして男らしい。マントさばきは一級品。アドベンチャーロマンと言うだけあり、アクションシーンがあり、舞台狭しと駆け回り、時には客席も駆け抜けていきます。影武者もいて神出鬼没。生き生きとして、体育会系の魅力全開。
馬に乗っている映像が流れますが、それも格好いい。それとは反対に優男ディエゴの時は、フリルたっぷり、パステル調のごてごてした服を着て宮廷風の鬘をつけ、コミカルで笑わせます。

男勝りのお転婆なお嬢様ロリータは白羽ゆりのはまり役。キィ~と癇癪を起こすときもあります。輪っかのドレスの裾を持ち上げて舞台上を駆け回ったり、レディ・ゾロに扮したところをゾロと鉢合わせして決闘のシーンも。元気いっぱいで何をしてもかわいい。
メンドーサ(彩吹真央)は両親をインディアンに殺され、インディアンを目の敵にしています。政治には興味がなく、戦うことだけに命をかけている。クールな役作りで、スペインの軍服を着ているので、ルックスからすぐにわかる悪役ではないのが難しい。彩吹真央にしては見せ場が少ないと思いました。

音月桂はディエゴの使用人でインディアンのベルナルド。目の前で母親を殺され、死ぬ前に自分を隠してくれた母親に“何があっても声を出してはいけない”と言われ、その言い付けを守って喋るのをやめた青年。傷ついた魂がいとおしい。
しかし、あれだけの名シンガーに劇中で歌わせないとは思い切ったキャスティングです。芝居の最後に演技で泣かせ、フィナーレでは妻、夜の稲妻(愛原実花)とのダンスで泣かせ、パレードではエトワールとしてワカン・タンカ(大いなる魂)をフルコーララスで聴かせました。歌のパートが少なかったのは物足りなかったですが、とても余韻が残りました。

緒月遠麻が演じる、単細胞で、あまり勉強ができないガルシア軍曹が面白い。ぴったりの役どころと言ったら語弊があるかもしれませんが!
オリバレス総督を演じる早霧せいなも健闘。今後が楽しみです。

フィナーレは、これぞ宝塚! 知恵熱が出そうなほどの濃厚なワールド。
水夏希が赤いスーツに白いソフト帽姿で、銀橋でステップを踏んだり、寝そべったり。演出家は水さんの魅力をよくわかっています。男役が白いタキシードでずらっと並んだ時の清潔感も素敵。

白羽ゆりが男役さんたちとかわるがわるデュエットダンスを踊り継いでいくシーンは、いかにも退団を意識した演出ですが新鮮でした。そして最後は激しく情熱的に掻き鳴らされるスパニッシュギターをバックに水夏希とのデュエットダンス。大人の魅力満載でうっとりするほどの美しさ。
しかし、「Z」だからと言うのでもないのでしょうが、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」をスパニッシュギターでデュエットダンスに使うという異色の組み合わせに痺れました。

まるで老舗割烹で創作料理に舌鼓を打った後、フランス料理をフルコースで平らげたような満足感。ワインが進みます。お腹いっぱいなのにデザートは別腹! ごちそうさまでした。

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