










【鍵屋@Chris's monologue】←現在の“鍵屋”
















※裏通りの一軒家に東京の居酒屋の神髄が
鍵屋は安政三年(1856)酒問屋として創業し、昭和初期から店の隅で、一杯飲み屋を始め、戦後居酒屋となった。江戸の建物で酒が飲めると文人や芸人に愛されたが、言問通り拡張のため今の場所に移転し、建物は江戸東京たてもの園に移築保存されている。今の建物は大正時代のもので、裏路地に、白暖簾が置行灯にぼおっと照らされる光景は誠に美しい。懇意の棟梁に存分に腕を振るわせたという店内は剛直で粋な江戸前仕事で、厚い楓のカウンターに、四畳半小上がりに置かれた昔の座卓がいい。
一五、六種類の肴は昔から変わらない。白シャツの主人は代々の銅の燗付器で無類の燗をつける。白布を頭にした女性は無駄口叩かず、きちんと腰を置いて注文を伺う。女性だけの入店はお断り。この店は全てが昔のままで、そこに絶大な価値がある。
まさに東京の居酒屋の神髄である。
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