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2022-03-09 19:39:00 | 教育
部活動「全員加入」なぜ 生徒の自由では 「強制」撤廃求め署名活動

3/5(土) 17:00配信・毎日新聞

 中学校や高校で生徒に部活動への加入を強いているケースがあるとして、一般社団法人「日本若者協議会」(東京都)が、「強制加入」の撤廃を求める署名活動を展開している。「部活動によって他にやりたい活動を諦めなければならない生徒がいる現状を、なんとか変えていきたい」と訴え、ウェブサイトで賛同を呼びかけている。

 部活動は学習指導要領で教育課程外と位置付けられ「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と明記されている。だが、長年にわたり、地域や学校単位で部活動を原則として全員加入とするケースがある。スポーツ庁が2017年度に全国の公立・私立の456中学校と389高校を対象に実施した調査では、公立中の30・4%、公立高の15・0%が「全員が所属し、活動も原則参加する」と回答した。

 部活動を巡っては、平日に加えて休日も練習試合や大会があることから指導する教員の長時間労働の一因にもなっており、そのあり方が課題となってきた。近年は、学校外でスポーツのクラブチームが増え、習い事の多様化も進んだことなどを背景に、全員加入から任意加入へ転換が進んでいる。こうした現状を踏まえ文部科学省は18年に策定した「部活動ガイドライン」で、運動部、文化部を問わず、各校に対し生徒に加入を強制しないよう求める文言を本文やFAQ(よくある質問)に盛り込んだ。

 一方、全員加入の見直しに慎重な見方もある。任意加入への移行に着手したり、検討したりしている自治体の学校関係者らからは「特にやりたいことがない生徒の行き場がなくなる」「部員数が減って廃部になる恐れがある」といった課題を指摘する声も上がる。さらに「地方で学校外で活動する選択肢が少ない中、人間関係や仲間と何かをやり遂げる機会として、できるだけ部活動を経験させてあげたい」との意見も聞かれる。

 日本若者協議会は15年、若者世代の意見を政策決定の場に反映させることを目的に発足した団体だ。理不尽な校則の見直しを目指すために独自のガイドラインを策定したり、新型コロナウイルス禍でアルバイトができずに生活困窮に陥った学生の支援策などを提言したりしてきた。

 今回の署名活動は、教員の働き方改革の一環として、文科省が23年度以降に部活動を学校から地域へ段階的に移行させる「部活改革」の議論を進めていることを踏まえて、21年12月に始めた。

 署名活動には、どのような狙いがあるのか。協議会の代表理事を務めている室橋祐貴さん(33)は「部活動そのものを否定しているわけではありません」と語る。

 自身は中学、高校時代はサッカー部に所属していた。技術の向上に必要な練習を自分で考えたり、仲間と共に汗を流したりした経験は今でも貴重だったと思っている。

 ただ、全員加入については「部活動をやりたい子もいれば、やりたくない子もいる」と指摘。「子どもが自分のことを自分で決める、という自己決定の権利を大人が尊重できることが重要で、そんな社会を目指したい」と話す。

 他に打ち込みたい課外活動があるのに、部活動に入らなければならない――。子どもたちのそんな声が、室橋さんにも届いているという。

 さらに室橋さんは「校則と同様に部活の問題も、自己決定権を制約する『パターナリスティック』の傾向が強い。大人がよかれと思って決めているが、社会として、もっと子どもを信頼してほしい。部活動改革の議論では、教員の働き方の観点だけでなく、加入のあり方にも目を向けるべきだ」と言う。

 署名は9日にスポーツ庁に提出する予定。①部活動の現状の再調査と任意加入の徹底②部活動は強制ではないことの周知徹底③加入しない選択肢を安心して選べる環境の構築――の3項目を求める要望書も併せて渡すという。

 署名ウェブサイト「change.org」の「部活動の強制加入の完全撤廃を求めます!」のページでは4日午後5時時点で8797人の署名が集まっている。


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