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チルソククリニックは診療中◆お引越ししました

映画「チルソクの夏」は永遠です♪

西川美和監督~『ゆれる』

2007-03-05 23:44:21 | 最近観た映画
DVD借りてきて、やっと観れました。『ゆれる』。

映画を観ている最中に、笑うことも、泣くこともなく、観終わったあとも、じわ~んとくるものもない。そういう映画に出会ったことがない・・私、多分。えっと、どう表現したらいいのでしょう。
彼が帰ってしまったあと、からっぽのたばこの袋に鼻を近づけていた彼女。・・そういう「におい」とか、切りっぱなしのトマトの断面の「液体」とか、彼が彼女の心に残していったものは、お互い決して等しくない。

洗濯物をたたみながら、帰ってきた弟(オダギリジョー)と話すお兄さん(香川照之)の背中と・・なんか全く気持ちのこもっていない「いただきます」な態度の彼(オダギリジョー)の裸の背中と・・  全くの対岸にいるふたつの背中。

等しくないから、バランスが悪いから、端っこと端っこにいて、だから「ゆれて」いる。

記憶だってそう。確かなものなんてない。思い込みだけのもの。忘れてしまっているもの。誰かにとっては大切な記憶でも、他の誰かにとっては大したものじゃなくて、だから「ゆれて」いる。


あのあと、二人の兄弟のゆれていた7年間は、これから取り戻せるのでしょうか。
あのバスが発車した後、兄の姿はそのままあるのでしょうか?「お兄ちゃん」と呼ぶ弟に、手を振り返すのでしょうか?

・・私が、あの兄なら、(帰ることはないと思います。)