「財政の崖」とは、まったくうまいキャッチコピーを連中は思いつきましたね。アメリカ経済が崖から落ちたら大変なことになるぞ、恐ろしいぞ、今すぐ何とかしないとヤバイ。そうやって世界中の人を脅してきたわけです。しかし、今回の「財政の崖」回避法案の内容を見れば、結局「財政の崖」ちゅうのんは、特定の団体・組織への利益誘導を図るための口実にすぎなかったということがよく分かります。例えば、こちらの記事にあるように、今回の法案可決で、ハリウッド業界に対する最大1500万ドルの税額控除継続が決まりました。
まったくの茶番ですよ、これは。日本のメディアも単に「財政の崖が回避された」と報道するだけでなくて、その法案の内容に迫って欲しいものです(期待はしてませんけど)。
アメリカ経済が非常に危険な状態にあるのは事実ですが、ロン・ポール氏もこちらでおっしゃっているように、均衡財政を達成しようと思えば2004年の歳出レベルに戻るだけでいいのです。2012年の歳入が約2.5兆ドル、2004年の歳出が約2.3兆ドル。帳尻が合うどころかお釣りが出ます。2004年に戻ることがそんなに難しいことですか。本当の意味で経済を回復させたいのであれば、この点を真剣に考えるべきでしょう。ところが連中は、誇張された「危機」を利用してどの団体に利益を誘導すべきかという点で争っていたわけですね。なんとも見苦しい茶番ではありませんか。
Texas Straight Talk 2013/01/07
Fiscal Cliff Bills Passed in 3 Minutes――They Don’t Even Pretend to Read the Bills Anymore!
わずか3分で可決された「財政の崖」回避法案
~もはや法案を読んでいるふりさえもしなくなった議員たち~(拙訳:チモシェンコ大村)
先週上院と下院で起きた出来事は、なぜ国民が政治不信になるのかをまたしても説明してくれました。154ページにも及ぶ「財政の崖」回避法案は、採決のわずか3分前に上院議員に手渡されました。154ページを3分間で読むことなど誰もできませんから、この法案は読まれずに可決されたと言ってよいでしょう。
そして下院では、この長くて複雑な法案を議員に渡してからわずか22時間後にこれを採決にかけたのです。したがって、法案を最後まで読むことは不可能だったと考えられます。第112回議会(訳注:2012年の議会)では、透明性の名の下に、法案を公開してから下院で採決にかけられるまで丸3日間待たなければならないことが決められていました。しかし、今回の採決は、この「3日ルール」を明らかに違反しています。
作り出された危機への解決策がなければ世界は終わってしまうという悲鳴の中、採決はこのように急がれたのでした。通常よりはるかに多くの利権団体が法案作成に関係していたのも納得です。
合衆国憲法第1条第7節には、「歳入の徴収に関するすべての法案は、まず下院で発議されなければならない」とあります。しかし、これまで何度も行われてきたように、上院は、すでに存在する下院法案に今回の法案を添付しただけで、憲法上の要請を満たしたと主張しています。
法案可決までのプロセスの中ですでに不正があり憲法違反があったわけですが、その法案の中身はさらにひどいものでした。
今回の“救済”法案には、政界に太いパイプを持つ企業に対する税制優遇措置がふんだんに盛り込まれているのです。優遇措置を受ける企業が金を出して雇ったロビイストの正体は、多くの場合は、法案作成に深く関わった人間です。
しかし、減税や税制優遇そのものが問題というわけではありません。税金を本来の持ち主に返すことを、政府から金が奪われたと解釈するのは間違いです。財産はそれを産み出した人間のものであって、政府のものではありません。しかし、ハリウッドやラム酒製造業者など、政界にコネを持つ利権団体だけは税制上の優遇措置を受け、国民の大半は給与税の増額という形で非常に厳しい増税の直撃を受けているのです(訳注:参考)。今回の法律は、財政支出を減らすどころか、ごく一部の大企業だけに減税措置を講じ、その埋め合わせをその他の国民に押し付けているのです。
「財政の崖」法案によって救済される企業利権は他にもあります。例えば、2008年農業法の9カ月の延長が決められました。これは最悪の企業助成政策で、小規模農家や納税者を犠牲にして数十億ドルもの助成金が大企業の経営する農場に投入されます。
先週の土壇場での法案可決は2点において最悪の結果をもたらしました。1つは、ほとんどすべての国民に対する増税であり、もう1つは、歳出の強制削減発動を2カ月先送りしたことです。強制削減がもたらす“苛酷な”歳出削減をめぐって多くの不安の声が聞こえましたが、実際のところ、この強制削減はほとんど効果を持たないのです。これが発動しても、次の8年間で1.6兆ドルの歳出増となります。これを歳出削減と議会が呼んでいるのは、強制削減がない場合には同期間で1.7兆ドルの歳出増を見込んでいるからです。しかし、いずれにせよ支出が増えることには変わりません。
私は、議会や大統領が方針を変え本気で歳出削減に取り組むとはほとんど信じていません。しかし幸いながら、この福祉・戦争国家の与える脅威に多くの人が気づき始めています。政府支出や税金そしてインフレが米国経済を完全に破壊してしまう前に、この運動がさらに広がり政治家に方針転換を迫ることを望んでいます。
まったくの茶番ですよ、これは。日本のメディアも単に「財政の崖が回避された」と報道するだけでなくて、その法案の内容に迫って欲しいものです(期待はしてませんけど)。
アメリカ経済が非常に危険な状態にあるのは事実ですが、ロン・ポール氏もこちらでおっしゃっているように、均衡財政を達成しようと思えば2004年の歳出レベルに戻るだけでいいのです。2012年の歳入が約2.5兆ドル、2004年の歳出が約2.3兆ドル。帳尻が合うどころかお釣りが出ます。2004年に戻ることがそんなに難しいことですか。本当の意味で経済を回復させたいのであれば、この点を真剣に考えるべきでしょう。ところが連中は、誇張された「危機」を利用してどの団体に利益を誘導すべきかという点で争っていたわけですね。なんとも見苦しい茶番ではありませんか。
Texas Straight Talk 2013/01/07
Fiscal Cliff Bills Passed in 3 Minutes――They Don’t Even Pretend to Read the Bills Anymore!
わずか3分で可決された「財政の崖」回避法案
~もはや法案を読んでいるふりさえもしなくなった議員たち~(拙訳:チモシェンコ大村)
先週上院と下院で起きた出来事は、なぜ国民が政治不信になるのかをまたしても説明してくれました。154ページにも及ぶ「財政の崖」回避法案は、採決のわずか3分前に上院議員に手渡されました。154ページを3分間で読むことなど誰もできませんから、この法案は読まれずに可決されたと言ってよいでしょう。
そして下院では、この長くて複雑な法案を議員に渡してからわずか22時間後にこれを採決にかけたのです。したがって、法案を最後まで読むことは不可能だったと考えられます。第112回議会(訳注:2012年の議会)では、透明性の名の下に、法案を公開してから下院で採決にかけられるまで丸3日間待たなければならないことが決められていました。しかし、今回の採決は、この「3日ルール」を明らかに違反しています。
作り出された危機への解決策がなければ世界は終わってしまうという悲鳴の中、採決はこのように急がれたのでした。通常よりはるかに多くの利権団体が法案作成に関係していたのも納得です。
合衆国憲法第1条第7節には、「歳入の徴収に関するすべての法案は、まず下院で発議されなければならない」とあります。しかし、これまで何度も行われてきたように、上院は、すでに存在する下院法案に今回の法案を添付しただけで、憲法上の要請を満たしたと主張しています。
法案可決までのプロセスの中ですでに不正があり憲法違反があったわけですが、その法案の中身はさらにひどいものでした。
今回の“救済”法案には、政界に太いパイプを持つ企業に対する税制優遇措置がふんだんに盛り込まれているのです。優遇措置を受ける企業が金を出して雇ったロビイストの正体は、多くの場合は、法案作成に深く関わった人間です。
しかし、減税や税制優遇そのものが問題というわけではありません。税金を本来の持ち主に返すことを、政府から金が奪われたと解釈するのは間違いです。財産はそれを産み出した人間のものであって、政府のものではありません。しかし、ハリウッドやラム酒製造業者など、政界にコネを持つ利権団体だけは税制上の優遇措置を受け、国民の大半は給与税の増額という形で非常に厳しい増税の直撃を受けているのです(訳注:参考)。今回の法律は、財政支出を減らすどころか、ごく一部の大企業だけに減税措置を講じ、その埋め合わせをその他の国民に押し付けているのです。
「財政の崖」法案によって救済される企業利権は他にもあります。例えば、2008年農業法の9カ月の延長が決められました。これは最悪の企業助成政策で、小規模農家や納税者を犠牲にして数十億ドルもの助成金が大企業の経営する農場に投入されます。
先週の土壇場での法案可決は2点において最悪の結果をもたらしました。1つは、ほとんどすべての国民に対する増税であり、もう1つは、歳出の強制削減発動を2カ月先送りしたことです。強制削減がもたらす“苛酷な”歳出削減をめぐって多くの不安の声が聞こえましたが、実際のところ、この強制削減はほとんど効果を持たないのです。これが発動しても、次の8年間で1.6兆ドルの歳出増となります。これを歳出削減と議会が呼んでいるのは、強制削減がない場合には同期間で1.7兆ドルの歳出増を見込んでいるからです。しかし、いずれにせよ支出が増えることには変わりません。
私は、議会や大統領が方針を変え本気で歳出削減に取り組むとはほとんど信じていません。しかし幸いながら、この福祉・戦争国家の与える脅威に多くの人が気づき始めています。政府支出や税金そしてインフレが米国経済を完全に破壊してしまう前に、この運動がさらに広がり政治家に方針転換を迫ることを望んでいます。
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