おなじみリバータリアン代表ロン・ポール議員のブログから。
Texas Straight Talk 2012/05/29
Capital Controls Have No Place in a Free Society
自由社会にそぐわない資本取引規制(拙訳:チモシェンコ大村)
国家が人民の国外逃亡を阻止するために壁を作る必要性に迫られるという状況―これは専制国家の最大の特徴です。先日上院に提出された国籍離脱防止法案(Ex-PATRIOT Act)という言語道断の悪法には懸念を抱かざるを得ません。勤勉な米国民から富を取り上げようと無数の法律や規制がこれまで導入されてきましたが、今回の新法案は、すでに負担過剰の納税者の顔につばを吐き、合衆国憲法を蹂躙するものです。
現行法ではすでに、200万ドル以上の純資産を持つ米国民で国籍離脱をした者は、全ての資産を売却したとみなされ、その想定売却益に課税される懲罰的な出国税を支払わなければなりません。国籍離脱防止法案はこの現行法をさらに徹底したもので、国籍離脱者の“将来的な”全収入に対しても30%の資産利得税を課すことを提案しています。この追加課税に飽き足らず、同法案は、税金対策で国籍離脱した米国民を国税庁の裁量だけで取り締まり、そのような国籍離脱者を“二度と”米国に再入国できないようにすることを国税庁に許可しています。同法案はさらに、合衆国憲法(訳注:第1条第9節)で定められた法の不遡及の原則(訳注:実行時に適法であった行為を事後に定めた法令によって遡って違法とし処罰することを禁止する)をあからさまに違反し、過去10年以内に国籍を離脱した者にも法の適用対象を広げています。
今回の法案や、それに類似した法律は、貯蓄や投資、起業に萎縮効果を与えます。この法案は、フェイスブックの創始者の一人が米国籍を離脱し何百万ドルもの税金を逃れた疑いがあるという報道を受けて提出されました。しかし、同法案の提案者たちは、成功した起業家を妬むのに必死で、大事なことを無視しています。この法案は、一生懸命働き、貯蓄し、賢く投資し、住宅価格上昇の恩恵を受ける中流階級の米国民をわなに陥れるのです。そういった国民であれば、退職するまでに余裕で200万ドルの資産を持つようになっているでしょう。特にインフレが加速し続ける状況では有り得る話です。彼らは、資産を温存できるよう、生活費の低い国に移住し、連邦準備制度が引き起こすインフレから逃れようとするかもしれません。多くのベビーブーマー世代はすでにそうしています。もしこのように国外に移住すれば、連邦政府は彼らを罰し、米国にお金を置いている限りその後も一生彼らを罰し続けるのです。
残念ながら、このような法案を検討しているだけで、それがまだ可決されていないにもかかわらず、すでに世界中の銀行に影響を与えています。米国人顧客は外国銀行にとって将来的な悩みの種になっています。米国民と同じように、外国銀行も米国税庁と関わりたくはありません。もし米国人顧客がトロイの木馬となり、米国税庁が銀行業務に巧みに介入するようになれば、米国人に銀行サービスを拡大して得られる利益よりも損失のほうが大きくなるかもしれません。
我々は、合衆国憲法修正第4条が骨抜きにされた連邦政府の下に生きています。現政府は、大統領の命令だけで米国民を無期限拘留し、セキュリティーの名の下に空港で幼児や高齢者に乱暴を働き、そして国民の経済活動のすみずみまでコントロールするのです。現政府は自国民に対して全面戦争を仕掛けていると考える国民が増えているのも驚きではありません。日に日に政府による包囲網は狭まっています。しかし、災いの前兆を予感した者が国外に逃げようとしても、出国させてもらうだけのために法外な税金を納めなければなりません。そして、彼らがどこに逃げようと、政府の触手から完全に逃れることはますます難しくなるでしょう。突き詰めていくと、国籍離脱法案は、国民の資産をコントロールすることで国民を統制しようとするものなのです。これは自由社会には似つかわしくない法なのです。
Texas Straight Talk 2012/05/29
Capital Controls Have No Place in a Free Society
自由社会にそぐわない資本取引規制(拙訳:チモシェンコ大村)
国家が人民の国外逃亡を阻止するために壁を作る必要性に迫られるという状況―これは専制国家の最大の特徴です。先日上院に提出された国籍離脱防止法案(Ex-PATRIOT Act)という言語道断の悪法には懸念を抱かざるを得ません。勤勉な米国民から富を取り上げようと無数の法律や規制がこれまで導入されてきましたが、今回の新法案は、すでに負担過剰の納税者の顔につばを吐き、合衆国憲法を蹂躙するものです。
現行法ではすでに、200万ドル以上の純資産を持つ米国民で国籍離脱をした者は、全ての資産を売却したとみなされ、その想定売却益に課税される懲罰的な出国税を支払わなければなりません。国籍離脱防止法案はこの現行法をさらに徹底したもので、国籍離脱者の“将来的な”全収入に対しても30%の資産利得税を課すことを提案しています。この追加課税に飽き足らず、同法案は、税金対策で国籍離脱した米国民を国税庁の裁量だけで取り締まり、そのような国籍離脱者を“二度と”米国に再入国できないようにすることを国税庁に許可しています。同法案はさらに、合衆国憲法(訳注:第1条第9節)で定められた法の不遡及の原則(訳注:実行時に適法であった行為を事後に定めた法令によって遡って違法とし処罰することを禁止する)をあからさまに違反し、過去10年以内に国籍を離脱した者にも法の適用対象を広げています。
今回の法案や、それに類似した法律は、貯蓄や投資、起業に萎縮効果を与えます。この法案は、フェイスブックの創始者の一人が米国籍を離脱し何百万ドルもの税金を逃れた疑いがあるという報道を受けて提出されました。しかし、同法案の提案者たちは、成功した起業家を妬むのに必死で、大事なことを無視しています。この法案は、一生懸命働き、貯蓄し、賢く投資し、住宅価格上昇の恩恵を受ける中流階級の米国民をわなに陥れるのです。そういった国民であれば、退職するまでに余裕で200万ドルの資産を持つようになっているでしょう。特にインフレが加速し続ける状況では有り得る話です。彼らは、資産を温存できるよう、生活費の低い国に移住し、連邦準備制度が引き起こすインフレから逃れようとするかもしれません。多くのベビーブーマー世代はすでにそうしています。もしこのように国外に移住すれば、連邦政府は彼らを罰し、米国にお金を置いている限りその後も一生彼らを罰し続けるのです。
残念ながら、このような法案を検討しているだけで、それがまだ可決されていないにもかかわらず、すでに世界中の銀行に影響を与えています。米国人顧客は外国銀行にとって将来的な悩みの種になっています。米国民と同じように、外国銀行も米国税庁と関わりたくはありません。もし米国人顧客がトロイの木馬となり、米国税庁が銀行業務に巧みに介入するようになれば、米国人に銀行サービスを拡大して得られる利益よりも損失のほうが大きくなるかもしれません。
我々は、合衆国憲法修正第4条が骨抜きにされた連邦政府の下に生きています。現政府は、大統領の命令だけで米国民を無期限拘留し、セキュリティーの名の下に空港で幼児や高齢者に乱暴を働き、そして国民の経済活動のすみずみまでコントロールするのです。現政府は自国民に対して全面戦争を仕掛けていると考える国民が増えているのも驚きではありません。日に日に政府による包囲網は狭まっています。しかし、災いの前兆を予感した者が国外に逃げようとしても、出国させてもらうだけのために法外な税金を納めなければなりません。そして、彼らがどこに逃げようと、政府の触手から完全に逃れることはますます難しくなるでしょう。突き詰めていくと、国籍離脱法案は、国民の資産をコントロールすることで国民を統制しようとするものなのです。これは自由社会には似つかわしくない法なのです。