チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

生の牛乳を飲む者に訪れる恐怖

2013-02-27 14:27:14 | 経済
Texas Straight Talk 2013/02/25

When They Came for Raw Milk Drinkers

生の牛乳を飲む者に訪れる恐怖(拙訳:チモシェンコ大村)

私は基本的に銃規制に反対しますが、ある米国団体からは武器を取り上げるべきだと考えています。それは連邦機関です。見過ごされやすい点ですが、不当で違憲の法律を執行するために連邦機関が武力を用いていることは、自由に対する大きな脅威です。議会や官僚の都合によって禁止されている商取引に関わっただけで政府の武力行使を受けた被害者は数知れません。

例えば、カリフォルニア州ヴェニスにある「Rawesome Foods」の事務所は、武装した連邦政府および州政府職員によって何度も強制捜査を受け、65歳になる会社設立者のジェイムズ・スチュアートさんは投獄されました。ここまでしなければならないほどの凶悪犯罪があったのでしょうか。この会社は、低温殺菌処理のしていない(つまり生の)牛乳やチーズを自発的買い手に売っただけです。しかもカリフォルニア州では生乳は違法ではありません。連邦政府の許可なくしては牛から乳を飲むこともできないのです。

生乳に対する消費者の需要を満たそうとした者に連邦機関が武力行使をしたのはこれが初めてではありません。2011年には、武器を持った食品医薬品局(FDA)の職員が、ペンシルベニア州在住のアーミッシュ、ダン・オーガイヤーさんの農場を強制捜査しました。オーガイヤーさんが自発的買い手に生乳を売るのを阻止するため、連邦政府職員は、顧客を装ったおとり捜査を丸1年もやったのです。これにはおそらく数百万ドルの税金が無駄に使われているでしょう。

政界の人間によって禁止される行為を行った個人に武力行使をするのは生乳の売買に限ったことではありません。The Natural Newsのウェブサイトでは、健康食品の販売や代替医療に関わった者が連邦政府によって迫害を受けた事例を多数まとめています。中には武装した職員に襲撃された事例もあります。

また連邦政府は、金貨製造を取り締まるためにも武力を用いています。連邦準備銀行(FRB)のフィアットマネーの代替品として金貨が使われるのを恐れているからです。通貨偽造の嫌疑がかけられているLiberty Dollarsの設立者バーナード・フォン・ノットハウス氏は現在判決言い渡しを待っています。彼は、製造した金貨が“法定通貨”として使われることのないよう対策を講じたにもかかわらず逮捕されました。

しかし政府は、フォン・ノットハウス氏の顧客がその金貨を毎日の取引で使用する可能性を恐れ、彼を“テロリスト”として認定したのです。

生乳生産者、代替医療プロバイダー、金貨取引業者――こういった人たち対する警察国家的な取り締まりを正当化しているのは、ワシントンではおなじみの温情主義的な考え方です。ある議員はかつて私にこう語りました。「何が正しいか国民は自分で判断できないのだから、このような法律が必要なのだ」と。このようなマインドセットが過保護国家を肥大化させ、専制政治の中でも最悪の姿勢――つまりC.S.ルイスが言った「国民のためを思って専制政治を行う」という姿勢――を必然的に生み出すのです。

生乳を飲むことや金貨を使うことに賛成しなくても、武力を用いて国民の選択に制限をかける政府のやり方には反発しなければなりません。“国民のため”ならば武力行使も正当化されるなどという考えには歯止めが利かないからです。今は生乳販売者が政府の標的となっていますが、明日は炭酸飲料や発泡スチロールのカップを売った人が狙われるかもしれません。ですから、全ての国民がこのような不当な武力行使に反対の声を上げなければならないのです。

危険な無人攻撃機:超法規的殺人は正義にあらず

2013-02-25 17:17:13 | 監視国家
Texas Straight Talk 2013/02/18

Dangerous Drones: Extra-Juridical Killing is the Opposite of Justice

危険な無人攻撃機:超法規的殺人は正義にあらず(拙訳:チモシェンコ大村)

次期CIA長官にジョン・ブレナン氏が指名されていますが、その指名承認をめぐり一部の上院議員たちが“待った”をかけました。米国市民に対する無人機使用の可能性についてブレナン氏が回答を拒否したからです。無人機を用いて海外でおそらく何千人もの市民を殺害してきた情報機関の次期長官としてオバマ大統領から指名されたブレナン氏ですが、その彼が国内での無人機使用を否定しないというのは由々しきことです。なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

オバマ政権は海外での無人機使用を急速に拡大させてきました。無人機を用いれば派兵という政治的リスクをとることなく軍事行動を展開できるからです。ギャラップ社がパキスタンで実施した最近の世論調査では、92%もの人が「米国を支持しない」と回答しています。この不支持率の高さはいまだかつてありません。この直接の原因は、米国による無人機攻撃です。ブローバック(予期せぬ負の結果)が引き起こされる可能性も常に増大しています。しかし一方で、無人機攻撃プログラムは海外で成功を収めているという偽りのプロパガンダが広められ、無人機を米国内でも用いるべきだと政府の人間は考えるようになっています。

米国市民に対する無人機使用についての批判を緩和するため、一部の議員は議会による監視の強化を提案しています。それさえあれば国民が安心するだろうと言わんばかりです。先週の公聴会においては、秘密法廷を設置することで米国民の殺害を目的とした大統領の無人機攻撃プログラムを監視するいう提案が議会から出されました。次期CIA長官候補であるブレナン氏もこの提案に前向きな姿勢を見せています。しかし実際には、告訴や裁判もなく国民を殺害するという大統領による秘密裏の決定が、政府役人が設置する法廷によって秘密裏に監査されるだけのことなのです。こんな提案を歓迎することはできません。このような恐ろしい未来を受け入れてしまえるほど合衆国憲法は侵食されてしまったのでしょうか。

無人機攻撃プログラムの海外での成功が喧伝される一方で、CIAが実際にそのような作戦を展開しているという事実を米政府は公式には認めていません。先日、ACLU(American Civil Liberties Union)が無人機プログラムの存在に関して情報開示を求めましたが、司法省は「そのような文書が存在するかしないかということ自体も機密事項だ」と回答しています。政府の透明性などどこにあるのでしょうか。

連邦航空局のジム・ウィリアムズ氏は、「米国の領空における武装無人機の飛行は現在のところ一切禁止される」と述べました。しかし、合衆国憲法、特に修正第4条(訳注:不当な捜索、押収、逮捕の禁止)が骨抜きにされてしまった今、政府職員の約束など信用できるでしょうか。警察や大学、さらに7つの連邦政府関係機関から米国内での無人機の使用希望が出されており、その1400件以上がすでに承認済みです。政府が常に上空から国民を監視しているような社会に本当に住みたいでしょうか。東ドイツやソビエト連邦のような独裁政権でさえも、そのような社会を夢見ただけにすぎません。「異常な事態」をきっかけに、国内を飛ぶ無人機を武装し始めるのも時間の問題かもしれません。

米政府がイラクのサダム・フセインやリビアのカダフィを攻撃した際、「彼ら独裁者は、裁判や法の適正な手続きもなく自国民を殺害している」として自らの武力行使を正当化しました。まさに、自由社会においては、超法規的な殺人は不正義に他ならないのです。

大統領による暗殺プログラムについて、アンドリュー・ナポリターノ氏は次のように書いています。「法の適正な手続きなき殺人に関与する大統領は、誰が彼に賛同しようとも、彼が堅持を誓ったはずの法に反している。ゴルフでもするかのように殺人を語るようになってしまえば我々もおしまいだ。しかも、政府から逃れようと隠れようとしても、隠れる場所もない」

暴力的な外交政策がもたらす予期せぬ負の結末

2013-02-24 15:24:43 | 軍事
Texas Straight Talk 2013/02/11

Unintended Consequences of a Violent Foreign Policy

暴力的な外交政策がもたらす予期せぬ負の結末(拙訳:チモシェンコ大村)

米軍における昨年の自殺者数は、アフガニスタンでの戦死者数を上回りました。また、戦地に派遣される軍人のうち20%以上がPTSDを発症するとされています。実際に、派遣後、32%もの兵士がうつ病を訴えています。さらに、現役兵士の20%以上が、危険性の高い向精神薬を処方されています。多くの場合は何種類もです。現役軍人による暴力事件も2006年から2011年に渡って31%も増加しています。

昨年米軍によってまとめられたこのおぞましいレポートは、多くの問題を明らかにしています。国防省は、状況を改善するため、新たなプログラムを導入しようと躍起になっています。彼らは、危険な向精神薬の処方を続ける一方で、新たな薬物乱用防止プログラムや心理カウンセリングを始めようとしています。しかし残念ながら、その真の原因に目を向けられることはほとんどありません。

軍人の自殺、薬物およびアルコール乱用、国内外における暴力事件――これらの急増は、暴力的な外交政策がもたらした予期せぬ結果です。無意味で終わりの見えない「テロとの戦い」がもたらした結末なのです。

特にここ10年間は、外交において武力行使が最初で唯一の手段だと広く信じられるようになってきました。イラク、パキスタン、リビア、イエメンをはじめ、あらゆるところで先制攻撃と侵略戦争が行われてきました。また、前例のない規模の無人機攻撃も実施され、海外で多数の一般市民を死に至らしめています(わが国ではこれを“コラテラルダメージ”〔巻き添え被害〕と呼んでいますが)。時には米国市民に対しても拷問や暗殺を行うことが当たり前になりました。ロン・ワイデン上院議員は先週、「米国本土で米国市民を暗殺する権限が大統領にあるのか」と質問しましたが、次期CIA長官に指名されているジョン・ブレナン氏はまともに返答することもできませんでした。

「剣に生きる者は剣に死す」という警句がありますが、これは個人だけでなく社会全体に当てはまるものです。我々全員に当てはまるのです。予防戦争という暴力を生業にしている国家や社会は自壊していく運命にあります。

忘れてはなりません。これらの終わりなき戦争は、両党の外交政策を牛耳り米軍の海外派遣を常に扇動するネオコンによって引き起こされたものです。当然ながら、一部の例外を除いて、彼らのほとんどは軍務に就こうとはしません。また、これらの終わりなき戦争は、連邦準備銀行(FRB)がなければ不可能だったということを思い出してください。FRBが何も無いところからお金を刷り散らかすことで米国の帝国拡大を支援してきたのです。米国は急速に国家破綻へと向かっています。一方で、攻撃的な外交政策を続ける米国に世界は反発しています。予防戦争が米国をより安全にするなどと誰が信じるでしょうか。

何年もの海外派遣を終え身も心もぼろぼろにして帰ってくる帰還兵がいても、米軍の支持者の多くはその事実から目をそらそうとします。私は1960年代に軍医として5年間務めましたが、その当時でさえも現在の問題の片鱗を目の当たりにすることができました。1960年代の長期にわたる浅はかな戦争は悲劇的にも国内での治安悪化をもたらしました。ケント州立大学では、軍隊が学生に発砲するという事件まで起きました(訳注:May 4th事件のこと。1970年5月4日、ベトナム戦争反対のための集会が大学構内で開催されていたところ、警備のため派遣されていた州兵が参加者に発砲し、4人の死亡者と9人の重軽傷者を出し社会問題となった。ウィキペディアより)。

軍がどんなにその意義を洗脳しようとしても、違憲で無意味な戦争は、人殺しに加担した兵士たちに罪悪感をもたらすのです。彼らはその苦痛を紛らわせるために、アルコールや薬物に溺れたり、あるいは破壊的な行為に出たりすることもあるでしょう。しかしこのような行為がさらなる問題を引き起こすのは自明です。批判を恐れずに言いますが、侵略戦争を始めた者に報復するために同胞を殺すというのは人間性に反する行為です。

国民を犠牲にし米国を弱体化させようと扇動する者たち、一方で不介入主義と平和を訴える我々――どちらが兵士たちのことを本当に気にかけていると言えるでしょうか。米国が生き残るためには、予防戦争がもたらし得るあらゆる影響に留意しなければなりません。

移民“改革”という悪法

2013-02-22 19:20:30 | 監視国家
Texas Straight Talk 2013/02/04

Immigration "Reform" is a Bad Deal for All of US

移民“改革”という悪法(拙訳:チモシェンコ大村)

連邦政府の行う改革というのはいつも問題を悪化させるものです。特に、それが超党派での改革案だと謳われる場合はそうです。先週上院で策定された超党派の移民改革法案もその例に漏れません。

マケイン、シューマー両上院議員によって提出されたこの新法案は、現在米国に不法滞在する多くの外国人に市民権の付与を可能にします。しかしその実現には、国境の警備が強化されることと、対象者が不法入国の罰金を支払うことが前提です。また不法移民は、不法就労によってこれまでに得た収入に対して税金を払わなければなりません。さらに身元調査を受けることも必要で、米国滞在中、常に監視されることになっています。

しかし恐ろしいのはこれからです。マケイン案のディテール(詳細)には非常におぞましいことが書かれています。国境の警備を強化するため、国内に大量の無人機を飛ばし国境における市民の動きを偵察するというのです。しかも、国境と言っても、正確には国土安全保障省が管轄する、国境線から100マイルも離れた地域を含む“国境地帯”がその対象です。もし不法入国とは無関係の不審な行為が見つかった場合はどうなるのでしょうか。この無人機が政府による麻薬戦争に利用されることはないでしょうか。辛うじて残っている合衆国憲法修正第4条(訳注:不合理な捜索、押収、逮捕の禁止)が完全に葬り去られることにはならないでしょうか。麻薬撲滅戦争と移民問題のおかげで利益を得ている“民間の”刑務所会社は、この無人機の配備によって新たなビジネスチャンスが訪れるのを心待ちにしていることでしょう。

さらに、マケイン=シューマー法案は、「E-Verifyプログラム」の導入を全ての企業に義務付けています。これは、移民局職員の代わりに雇用主が従業員の就労資格をチェックするよう強制するものです。この東ドイツのような制度で、全国民分の膨大な個人情報を管理し、その就労資格を記録しようというのです。個人情報保護の専門家である、ケイトー研究所のジム・ハーパー氏は、E-Verifyプログラムによって数万人もの米国民が間違って不法滞在とみなされる可能性があるとしています。その場合、就労資格が奪われ、被害者は自分が不法滞在していないことを政府に証明しなければなりません。ハーパー氏はこう述べています。「もしE-Verify(訳注:verify=確認する)が全国で実施されれば、皮肉にも『確認できず』という言葉が頻繁に聞かれるようになるだろう」

ハーパー氏はまた、E-Verifyプログラムは事実上の国民IDシステムだと指摘し、次のように書いています。「このシステムでは全ての就労者を管理するために生体認証技術が使われるに違いない。そのような技術を導入しなければ国内において移民法を徹底することなど到底できないからだ」

実際のところ、2000年代に起きた移民問題のほとんどは連邦政府によって引き起こされたものです。連邦準備銀行(FRB)による金融緩和政策が住宅バブルを引き起こし、労働力の需要が急増しました。この人為的に産み出された労働需要の大半が、不法入国者によって満たされたのです。そして住宅バブルが崩壊した2008年から1年も経たないうちに、推定100万人もの不法労働者が米国からメキシコなど外国へ去っていきました。昨年には不法入国の純増減数がゼロになっています。

拙著「Liberty Defined」でも書いたとおり、連邦政府が健全な金融政策に立ち返り、不法移民への福祉政策を止めれば、移民問題の多くは解決されるでしょう。その後に残る問題も、より寛容で柔軟なゲストワーカー制度によって解消されるはずです。いずれにせよ、不法移民問題という偽りの“危機”に対処するために米国を警察国家に変えることなど許されてはなりません。

さらなる戦争を招くオバマの介入主義

2013-02-21 18:46:32 | 軍事
Texas Straight Talk 2013/01/28

Blowback Leads to Intervetion in Mali, yet Congress is AWOL

さらなる戦争を招くオバマの介入主義(拙訳:チモシェンコ大村)

オバマ大統領は先週、第2期政権をスタートさせるに当たって、「戦争の時代を終わらせる」と誓いました。しかしこの発言の裏で、米軍はアフリカの貧しい国マリにおいて新たな戦争に介入しつつあります。マリに関しては、まずフランスが介入し即座に米政府に協力と資金援助を要請しました。これを受けて米軍は、輸送支援と情報提供のみに限定して仏軍をサポートしているとされています。しかし、たとえその協力が限定的であったとしても、たとえレオン・パネッタ国防長官が言うように“今回は”現地への派兵はないにしても、この介入は間違いなく新たな戦争に発展するでしょう。そしていつものように、終わりの見えない展開が待っているのです。

フランスは今回の軍事介入を、マリの首都に進攻するイスラム過激派を掃討するための短期戦としていましたが、1週間も経たないうちにその約束は破られました。フランス政府は、数千人規模の派兵が必要だとし、その駐留期間も当初十分とされた数週間を大幅に超えると発表したのです。

米政府がマリに特殊作戦部隊を送り込んでいるのか、無人攻撃機やCIAの準軍事組織を使っているのか――メディアはさまざまな質問を投げかけますがオバマ政権からの回答はありません。一方で議会はこの件に関してほとんど質問もしませんし、大統領から回答を求めることもしていません。いつものことながら、支援決定に関して大統領は議会に助言を求めることさえもしていません。公には米軍はマリでの軍事攻撃にまだ関与していないことになっていますが、そもそもなぜ大統領の一存で仏軍を支援できるのでしょうか。

米国がマリに関わることになった理由については、過去の政策の予期せぬ負の結末(ブローバック)が影を潜めます。オバマ大統領は2011年にリビアへの軍事攻撃を決定しました。その際も議会は無視されました。国連とNATOの承認があるだけで軍事力が行使でき、議会による宣戦布告は必要ないと彼は主張したのです。そして議会はまたしても自らの権限を手放し、押し黙るだけでオバマ政権に対する監督責任も放棄しました。なぜ軍事行動が必要なのか、その結果何が起き得るのか、もし作戦が計画通りに行かなかった場合どのような結末が待っているのか――こういった厳しい質問が大統領に問われることもなければ回答されることもなかったのです。

リビアのカダフィ政権が倒されると、当時リビア軍で訓練を受けていたマリ出身の戦闘員の多くが祖国に帰りました。彼らは高性能の武器を持ち帰り、マリ北部の独立を新たな目標に掲げたのです。つまり、フランスが2011年にリビアを攻撃したことで新たな騒乱がマリで起き、これを受けてフランスはマリへの軍事介入を決定したということです。さらに、フランスがマリへの攻撃を開始して間もなく、アルジェリアの反政府組織がBPのガス施設を襲撃しました。これは、アルジェリア政府が外国軍に自国の領空通過を認めたことへの報復でした。すなわち、リビア空爆が招いた問題を解決するためのマリへの軍事介入が、新たな危機をアルジェリアで引き起こしたのです。まさにこれが介入主義的政策の恐怖です。40年以上も前にベトナムでも目にしていますが、それはさらに米国を泥沼に引き込むことになるのです。そんな折に議会は職務を離脱してしまっています。

合衆国憲法の起草者たちが宣戦布告の権限を立法府にだけ与えたのはまさにこの理由からです。彼らは、王様というのは誰でも、実際に戦争に参加する人間や資金を調達する人間の同意を得ることなくひたすら戦争をしたがるものだと見抜いていました。人民を代表する議会にその権限を与えることで、行政府の軍事的冒険主義を牽制する狙いがあったのです。しかしこのシステムが徐々に崩壊し行政府が暴走を始めた今、悲惨な結末しか待っていません。