チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

納税者をがんじがらめにする連鎖式CPI

2013-11-25 13:19:32 | 経済
Texas Straight Talk 2013/11/11

Chained CPI Chains Taxpayers

納税者をがんじがらめにする連鎖式CPI(拙訳:チモシェンコ大村)

オバマ大統領が提出した2014年度予算教書では、インフレが国民の生活水準に与える影響を計る指標として、連鎖式消費者物価指数(連鎖式CPI)を採用しています。これは、予算案の中でおそらく最も重大な問題であるにもかかわらず、ほとんど議論されていません。連鎖式CPIというのは、「完全代替」というトリックを用いて実際のインフレ効果を補正する方法です。これは、ある消費財の価格が上昇した時、消費者はより価格の低い類似商品へ消費をシフトさせるようになることを前提としています。つまり、もしステーキを買えなくなっても、ハンバーガーを買うことができている限り、国民の生活水準は変化していないと見なすのです。

この「完全代替」という概念がもたらす問題は、政府関係者以外の一般の国民には明らかです。消費者は、インフレによってステーキの価格が上昇する前に、安価なハンバーガーに消費をスイッチできるわけではありません。価格が上がっても、本当に欲しいものはステーキなのです。ですから、FRBの金融政策がもたらすインフレによってステーキの値段が上がり、代わりにハンバーガーを食べなくてはならない状況になったとしたら、それはやはり、生活水準の低下を意味しているのです。従来のCPI算出方法でもすでに、このような補正によって真の物価上昇をごまかしてきましたが、連鎖式CPIはこの補正を頻繁に行うため、見かけのインフレ率はどんどん低下することになります。

連鎖式CPIを支持する者たちはまた、技術革新によって商品の質が向上することも考慮すべきだと主張しています。彼らの論理でいくと、物価上昇は生活水準の向上を意味することになるのです! 確かに、技術革新によって我々の生活水準は良くなるでしょう。しかし同時に、自由な市場が機能している限り、モノの値段は低下していくものです。例えば、80年代の携帯電話を思い出してみてください。当時の携帯電話は機能もいまいちで、常に充電が必要で、しかも非常に高価でした。しかし今では、ほとんどの国民が簡単に携帯電話を買うことができます。そして、通話だけでなく、テキスト、Eメールができる上に、ネットや動画、読書までも楽しむことができます。

同じことがパソコンや車など、他のあらゆる商品について言えます。自由市場の下では、自然にモノの値段が下がり、同時にモノの質も向上するのです。逆に、政府がフィアット・マネーを通じて市場に介入すると、消費者は継続的な物価上昇にさらされるようになります。

政府が連鎖式CPIを採用しようとするのは、社会保障年金などの福祉プログラムにおいて、物価上昇に応じて給付金額を算定しなければならないという義務から逃れ、政府の負担を軽減したいからです。しかし一方で、政府は、インフレによって名目所得が増大した個人には何の控除も行いません。したがって、そのような個人は所得階層区分が上がり、所得税が高くなってしまうということがあり得ます。連鎖式CPIを用いることで、政府は、社会保障費削減も増税も、議会の承認なしにできるようになるのです。

著名な経済評論家のピーター・シフは、連鎖式CPIは生き残るために必要な費用の指標だと的確に表現しました。大統領も議会も、実質的な増税や給付金減額をもたらすようなインフレ統計を用いるのではなく、FRBのインフレ誘導政策によって生じる著しい生活水準の低下を如実に表す指標を用いるべきです。国民の生活レベル低下につけこんで一部の政治家や銀行家をもうけさせるように統計に手を加えるようなやり方は、国民にとって百害あって一利なしです。

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