チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

公教育を統制し劣化させるコモンコア

2013-05-28 12:24:13 | 教育
Texas Straight Talk 2013/05/27

‘Common Core’ Nationalizes and Dumbs Down Public School Curriculum

公教育を統制し劣化させるコモンコア(拙訳:チモシェンコ大村)

「保守派」と称されたブッシュ政権はかつて、市民的自由をこっぱみじんにし、民主化の名の下に理想主義的な世界戦争を起こし、そして、リンドン・ジョンソンでも躊躇するレベルの散財を行いました。それだけではなく、同政権は、「落ちこぼれ防止法」によって教育に対する連邦政府の権限を劇的に増大させました。当時議会にいた私は、この法律に関して、教師や学校、さらに生徒や保護者から不満の声しか聞いたことがありません。落ちこぼれ防止法の中でも特に不評だったのが学力試験の義務化で、これがために教師はテスト対策の授業をやらざるを得なくなったのです。

残念ながら――しかし驚きはしませんが――オバマ政権は教育改革のために落ちこぼれ防止法を無効にするどころか、「コモンコア」(全米共通学力基準)の導入によって学校に対する国家の支配力をさらに強めようとしています。コモンコアとは、教育専門家と称される人たちの会議で発案された新たなカリキュラムです。オバマ政権は、コモンコアを公立学校に導入した州への教育関連予算の増額を提示することで、これを全国的なカリキュラムにしようと目論んでいます。いつもながら、こうやって政府は国民から盗み取った金で各州を買収し政府の命令に従わせるのです。

コモンコアの批判者は、伝統的な国語教材の代わりに「情報文」を用いるコモンコアのカリキュラムは学力の低下を招く、としています。このカリキュラムの下、生徒は、サンフランシスコ連邦準備銀行による研究論文や、環境保護庁の「断熱材の使用基準」、さらにはカリフォルニア州の「外来植物リスト」のような刺激的な教材を読むことになるのです。建国の父たちは、自由な国家を維持するためには、政府に対して批判的思考と懐疑心を持つ習慣が不可欠だと考えていましたが、政府の報告書を読ませることで生徒にそのような習慣が身に着くかは甚だ疑問です。

オバマケアのように、コモンコア(今では「オバマコア」と呼ぶ人もいますが)は各州で強い反発に会い、一部の州ではこの制度への州の参加を禁止する法案も提出されるという事態になっています。私は、州がコモンコアへの参加拒否をするだけでなく、落ちこぼれ防止法やその他の教育関連プログラムからの脱退を行って欲しいと願っています。

また、生徒の保護者も、公教育への代替手段を模索することで、コモンコアのような制度から効果的に逃れることができます。連邦政府が教育へのコントロールを強めるにつれ、公教育の質は低下し、ホームスクーリング(在宅教育)を行う家庭が増えているのは、まったく偶然ではありません。

そういった保護者の方を支援するため、私は新たなホームスクーリングカリキュラムを作りました。コモンコアとは違って、指導内容のレベルを意図的に下げることはしません。目標は、歴史や数学、国語、外国語など、多面的な教育に不可欠な主要科目において、徹底的な教育を生徒に提供することです。トップダウン型の国営教育とは違い、このホームスクーリングプログラムは、親と生徒が主体になって最大限参加できるようデザインされています。カリキュラムの内容には私の思想――つまりオーストリア経済学やリバータリアニズム、国家権力との戦いの歴史――が反映されていますが、それを除けば、教育内容がひとつの宗教に偏向することがないよう注意深く作られています。どのような信仰を持っていても、あるいはまったく無くても、すべての親が心地よくこのプログラムを利用できると信じています。

教育と自由を重んじるのであれば、自分の住んでいる場所から戦いを始めるべきだと私は考えます。我々は、地元公立学校の自治権のさらなる侵害に反発し、政府の介入を撃退しなければなりません。そして一方で、ホームスクーリングなどの代替的教育手段の広がりを促し支援しなければなりません。質の高い教育を取り戻すための鍵は、教育の官僚統制を取り除き教育に自由市場を導入することです。すべての親には、自分の子供に最適な教育方法を選ぶ自由が与えられてしかるべきなのです。

我々の自由を侵害するのがIRSの仕事

2013-05-22 12:58:50 | 経済
Texas Straight Talk 2013/05/20

The IRS’s Job Is To Violate Our Liberties

我々の自由を侵害するのがIRSの仕事(拙訳:チモシェンコ大村)

「大統領を攻撃すればどうなるか分かっているか」国税庁(IRS)の職員はこのように言って、当時のクリントン大統領の弾劾を求めた保守系団体の代表者に対して会計監査を行ったとされています。現政権の政策に反対する団体に対してIRSは「特別な監視」を行っているという事実が最近明らかになりました。これは、いまだに多くのIRS職員が大統領の政敵に嫌がらせをすることもまた仕事の一部だと考えているということを意味します。

IRSに関する最近の報道は衝撃的なものでありますが、こういったIRSによる現職の大統領の政敵への嫌がらせを、一部の党だけが絡んだごく近年の現象だと捉えることは誤りです。バートン・フォルソムは著書「New Deal or Raw Deal」の中で、1930年代にIRSがニューディール政策に反対する者を集中的に捜査していたことを指摘しています。また、ジョン・F・ケネディ政権とリンドン・ジョンソン政権がIRSを利用して言論を封じたことは良く知られています。さらに、リチャード・ニクソンへの訴追条項の中には、彼がIRSを用いて政敵を攻撃したことが挙げられていました。IRSの乱用はクリントン政権下では常態化していたとされ、さらに今週、オバマ政権の支持者によれば、ブッシュ政権時代に、進歩主義的な反戦団体がIRSによる捜査を受けたことが分かりました。

両党とも政敵叩きのためにIRSを利用してきたという事実は、問題が非常に深刻であることを示唆しています。一部のたちの悪いIRS職員や一部の政権下で起きた政治的腐敗が問題なのではありません。真の問題は、税制がIRSに与えた異常なほど強大な権力なのです。

IRSが日常的に収集する情報は実にさまざまで、我々がどうやって収入を得ているか、何に投資をしているか、自分自身や家族のためにどのようにお金を使っているか、さらには我々がどのような慈善・宗教団体を支援しているかまでも調べているのです。来年からは、オバマケアへの加入を徹底するため医療保険に関する個人情報までも収集するつもりです。

また現行の税法はIRSに、非営利組織への非課税を認可しないことで現政権の気に入らない目的や思想をもったあらゆる教育・政治・宗教団体を排斥する権限を与えています。IRSをめぐる最近のスキャンダルはすべて、ここに端を発しているのです。

IRSが米国民に対して行使する権力。そして権力を持った人間の性向として常に自由を侵害するものであるという事実。これらを踏まえると、政治的動機に基づいたIRSの横暴をさらに見聞きすることになっても驚きはしません。初代最高裁判所長官のジョン・マーシャルは「課税権は破壊する力である」(The power to tax is the power to destroy)と言っています。政敵を破壊するのでなくて誰を破壊するのでしょう。

所得税がまだ無かった時代、米国は120年以上にわたる繁栄を享受してきました。我が国に自由と繁栄を取り戻すには現行の税制を廃止する他にありません。国民の労働報酬に手をつけるという不道徳なことをしなくても連邦政府は十分に成り立つのです。特に、所得税の廃止とともに大幅な歳出削減を行えばうまくいくでしょう。まずは、高い税率と大きな政府の反対者を装う多くの人間が大好きな軍事費から始めるべきでしょう。

IRSに関する最近のスキャンダルについて議会が調査し関係者全てに責任を取らせることも重要ですが、この問題を一部の悪人が起こした事件という風に矮小化してはなりません。IRSの真の目的は富を再分配することに他ならず、その過程で自由を侵害するのです。したがって我が国の自由を守るために議会がすべきことは、所得税をなくしIRSを完全に廃止することなのです。

リビア米総領事館襲撃事件の不都合な真実

2013-05-15 12:25:59 | 軍事
Texas Straight Talk 2013/05/13

What No One Wants to Hear About Benghazi

リビア米総領事館襲撃事件の不都合な真実(拙訳:チモシェンコ大村)

議会公聴会、ホワイトハウスの弁明、止め処ない論説、政府批判、言い逃れ。昨年9月にリビアのベンガジで起きた米総領事館襲撃事件が、先週議会の議論の中心になりました。しかし、いつものように、全ては見世物にすぎません。両党とも政局に明け暮れ点数稼ぎをしようとするだけで、クリス・スティーブンズ米大使と他3名の米国人の命を奪った襲撃事件について真の問題を追及しようとはしないのです。

襲撃事件に関する情報機関による当初の報告に政府が大幅に修正を加え、大統領あるいは国務省にとって都合が悪いものを削除したり表現を和らげた可能性があり、これに共和党は政治的なチャンスを嗅ぎ取っています。

しかし驚くことは何もありません。こういった隠蔽工作は政府の常套手段なのですから。

一方で、民主党はベンガジ事件について説得力の欠ける弁明をしています。領事館襲撃は、共和党が警備のための予算を減額したからだと主張しているのです。軍事費に1兆ドルを超える予算が計上されていることを考えると、このような主張は冗談にしか聞こえません。

今回の事件にイスラム過激派が関与しているという情報機関の報告に政府は修正を加え、反イスラム的な映像に対するイスラム過激派の自発的な抗議が領事館襲撃につながったと嘘をつこうとしているようです。

政府が話をすり替えたがるのも無理はありません。領事館を襲撃したイスラム過激派は、米国主導でリビアを攻撃したときに解き放たれた集団と同じなのです。彼らこそが、米国に代わってリビア政府を打倒した過激派です。スティーブンズ米大使は、彼がちょうど1年前に支援したイスラム過激派によって殺害されたのです。

しかし共和党もまた責任転嫁をしようとしています。彼らもオバマ政権によるリビア空爆と政権打倒を支持しました。共和党も「カダフィは自国民を殺害しており、今止めなければ大虐殺が行われる」という同じでたらめの主張を繰り返していたのです。共和党は大統領による隠蔽工作に国民の関心を向けることで、リビア攻撃がなければスティーブンズ大使の命が奪われることはなかったという真実に誰も気付かないことを願っているのです。

ベンガジで得た真の教訓についてどちらの党派も語りたがりません。その教訓とは、介入主義的外交政策は常に予期しない結末を招く、ということです。米国によるリビア攻撃がイスラム過激派を解き放ちました。彼らが国を破壊し、何千人もの人々を殺し、米大使を殺害したのです。彼らの一部は、米国とフランスの軍事介入を受けているマリに今度は関心を向けています。

米国のリビア空爆後、リビアにあった武器は同国内から流出し、その多くはシリア政権打倒を目指すイスラム過激派の元へ流れています。米政府が、リビア戦を共に戦った過激派の代わりにシリア紛争に介入し、おそらく彼らのために武器移転を手伝ったのです。これらの過激派のほとんどはアルカイダと結びつきがあることが公になり、政府は現在、一部の過激派組織にその他のグループのメンバーを殺害するようけしかけています。めまぐるしい介入主義的政策です。

共和党も民主党も聞く耳を持たない状況では、ベンガジの真の教訓が生かされることはないでしょう。しかし、我が国の介入主義的外交政策とそれがもたらした予期せぬ結末こそが、領事館襲撃とスティーブンズ大使殺害を含む諸々の問題を引き起こしたのです。この真実に比べれば、議会での議論やホワイトハウスによる隠蔽工作など単なる見世物にすぎません。

さらなるバブル崩壊を誘導する連銀

2013-05-14 13:50:11 | 経済
Texas Straight Talk 2013/05/06

The Federal Reserve Blows More Bubble

さらなるバブル崩壊を誘導する連銀(拙訳:チモシェンコ大村)

先日開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)にて、連邦準備制度理事会(FRB)は、これまでに不景気しかもたらすことのなかった政策を再度試みると発表しました。残念ですが、これは予想できた動きです。

FRBは、状況が改善されなければ、毎月行っている、トレジャリー(米国債)と不動産担保証券(MBS)の買い入れを拡大する用意があることを確認しました。しかし、現在のFRBによる資産買い入れ総額は、今回発表された月額850億ドルをすでに上回っています。2月から3月にかけて、FRBの証券保有額は950億ドル増えています。また3月から4月にかけて1000億ドル増えています。全体で見ると、FRBは、2012年9月に行われた直近の量的金融緩和(QE3)以来、5000億ドル以上を米国経済に注入してきたのです。

FRBが前回のQE2において総額6000億ドルの米国債買い入れを発表した時には多くの人が反発しましたが、QE3での資産買い入れ規模については誰も非難の声を上げていません。事前に知らされている巨額の買い入れ規模にまだ達していないからでしょう。しかし、年末までにはFRBによる資産買い入れは4兆ドルに達する可能性があります。

景気回復が起きていない状況で、市場に注入された金はどこに行くのでしょうか。それはバブルをもたらすのです。住宅市場や株式市場、国債市場においてバブルがもたらされるのです。FRBが貨幣化した米国債務の総額は17兆ドルに達する勢いです。FRBによるこのイージーマネーに投資家が飛びついた結果、ここ2カ月間において株価は史上最高値を更新しています。FRBが蛇口を開けっ放しにしている限り、見せかけの富がもたらされるからです。しかしこれは砂上の楼閣に過ぎません。2008年から2009年にかけて起きたように、結果的に市場はFRBの悪策に対して正しく反応し、株価は真の水準に落ち着くことになるでしょう。

一方で、一般家庭は喘いでいます。FRBが新たに注入する「タダの」金にウォール街や政府の人間が群がる中、FRBは、インフレは起きないと主張しています。しかし明らかに、食料品やガソリンの値段、教育費や保険料は値上がりしています。世帯収入が伸び悩んでいるというだけで悲惨な状況ですが、それに加えて購買力も大幅に低下し、現在では国民の7分の1に当たる4730万人がフードスタンプを受給しているのです。また政府の統計によれば、現在500万人が失業保険を受給しており、失業者数は2150万人に上ります。これは13.9パーセントに相当します。政府が先週発表した失業率の7.5%のおよそ2倍です。

米国の経済はまったく回復していません。大恐慌時のように失業者が食料配給所の前に行列を作るような光景を目にすることはありませんが、それはただ、現在では全てが電子化されているからにすぎません。

FRBが過去の失策をまた繰り返すことを決断したのは驚くことではありません。しかし失望させられました。真の解決策は自明です。市場を機能させなければなりません。政府の恣意的な規制で技術革新を妨げるのではなくてそれを生み出すチャンスを起業家に与えなければなりません。米国経済の真のリスクを反映させた水準まで金利を上げさせなければなりません。経済再生の地盤を固めるため不良債権を処理しなければなりません。紙幣を刷り散らかし政府と大手銀行の懐を肥やすのをやめなければなりません。健全な貨幣こそが繁栄の基盤であり、大きな政府とクローニーキャピタリズム(コネ重視型資本主義)に対する最高の抑止力なのです。