チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

中小企業を潰すインターネット売上税

2013-09-25 09:43:44 | 経済
Texas Straight Talk 2013/09/23

Internet Sales Tax Could Crush Small Business

中小企業を潰すインターネット売上税(拙訳:チモシェンコ大村)

私が始めたホームスクール・カリキュラムでは独自に、生徒がネットビジネスを立ち上げ運営できる機会を用意しました。生徒には、どのようなモノやサービスを提供するかを決めるだけでなく、会社設立から運営、マーケティングまで、全てをやってもらいます。また、ネットビジネスで得た収益は生徒とその家族のものになります。この教育プログラムの参加者の中に、自分で立ち上げたネットビジネスが本業あるいは副業となるくらい成功する人が現れるのを期待しています。

インターネットを利用した商取引は、米国において最も活力に満ちていて急成長を遂げている経済部門です。当然ながら、インターネットには比較的税金がかからず、規制もほとんどありません。しかし、ワシントンの政治家たちはこの現状を変えようとしています。例えば、今年初め、「市場公正法案」が上院で可決されました。正確にはこれは、「ネット販売・売上税法案」と呼ばれているものです。同法案は、ネット販売業者に対し、1万ヶ所全ての税管轄区域に売上税の納付を義務付けるものです。業者は、46州および6領土、さらに500を越えるインディアン居留地から監査を受けなければならなくなります。

同法案の支持者たちは、この法案は、州外での売り上げが100万ドルを越えるネット販売業者にのみ適用されるものだから中小規模の業者にダメージを与えることはない、と主張しています。しかし、州外で100万ドル超の売り上げをあげる多くの業者は、極めてわずかな利益率で運営している小規模の店なのです。少しでも経費がかさむと彼らは廃業に追い込まれてしまう可能性があります。

また、この税法が適用されるのを避けるためにあえて売り上げを少なくしようとする業者も現れるでしょう。オバマケアが雇用や経済に与える効果を疑問視してきた同じ保守派が、インターネット販売という最も活力のある経済部門において新たな税金を課そうとしているのです。理解に苦しみます。

同法案を支持する者たちはまた、売上税を自動的に計算してくれるソフトウェアを利用すれば申告は簡単にできる、と主張します。しかし、企業向けに作られたソフトウェアを使ったことがある人であれば誰でも、完全無欠のプログラムなど存在しないことを知っています。ソフトウェアによってエラーが出たり、あるいはインストールに失敗しただけで、中小の販売業者は、高額な費用をかけて時間のかかる会計監査を受けなければならなくなるのです。

一部の人たちは州際通商条項を根拠に、州外での商取引に対する課税権を州政府に与えるのは連邦議会の正当な権限である、としています。しかし、もしこの理屈が正しいとしたら、商取引を行うために州境を物理的に越えた時点で売上税が課されることになってしまうのではないでしょうか。そもそも州際通商条項が設けられたのは、州境を超えてモノやサービスが自由に行き来するようにするためでした。州外でのビジネスに新たな重荷を課すために作られたのではありません。

この法案を熱心に支持しているのは、大手小売業者や有力ネット企業です。大企業は比較的容易にネット売上税法を遵守することができます。彼ら大企業の多くは、ほとんどの州に事務所などを設けることで“物理的に存在”しています。そのため、すでに各州へ売上税を払う義務を負っています。こういった大企業は、同法案のような政治的措置を利用し、現在あるいは未来のライバルを蹴落とそうとしているのです。ネット販売売上税は、消費者や中小規模のネット販売業者、そして次世代の起業家たちにとって悪法に他なりません。


戦争屋にとって流れが変わったのか

2013-09-19 12:25:43 | 軍事
Texas Straight Talk 2013/09/16

Has The Tide Turned Against The Warmongers?

戦争屋にとって流れが変わったのか(拙訳:チモシェンコ大村)

ここ数週間の動きをもってついに潮目が変わったと歴史書には書かれることになるのでしょうか。米国の介入主義的外交政策にとって形勢が不利になったと記憶されることになるのでしょうか。

今月、オバマ政権はもう少しのところでシリアにトマホークミサイルを発射するところでした。自国民に毒ガスを使用したシリア政府を罰するためにミサイル攻撃が必要だと、彼らは主張したのです。報道では、ミサイルだけでなく空爆作戦やさらに大規模な軍事侵攻までもが計画されていたとされます。シリア政府を警告するためには“威嚇射撃”がぜひとも必要だという議論が過熱し、レジームチェンジを起こすためにはシリア軍を解体させる必要があると論じる者もでてきました。彼らは、米軍による地上侵攻の可能性も排除しない姿勢を見せていました。

ジョン・ケリー国務長官は、これまで効果的だった古臭い脅しの文句まで用いました。アサドは新たなヒットラーである、と言うのです。シリア政権への攻撃を取りやめるというのは、ヒットラーやムッソリーニに対して宥和政策を行ったネヴィル・チェンバレンのようなものだ、と。

オバマ政権は、シリア政府が化学兵器を使用したことを裏付ける証拠を公開し、シリアへの軍事力行使について議会に承認を求めました。世論調査によると、中東で新たな戦争を始めることに国民はほとんど関心がありませんでした。そして、米政府が公開した証拠には何も確かなものがないと分かると、開戦に対する国民の支持はさらに低下しました。一方、メディアは相変わらず戦争プロパガンダを広めていました。

そして驚くべきことが起こりました。イギリス議会が、米国主導のシリア軍事介入に参加しないことを決めたのです。これまでイギリスは、海外での軍事行動に関しては常に米国を支持してきました。だからこそ、今回の採決結果は衝撃的でした。米国では、両院の指導層はこぞってオバマ大統領の決断を支持しましたが、国民はこの軍事侵攻に否定的でした。そして何千人もの米国民が自分の選挙区の議員にコンタクトを取り、軍事計画に対する激しい憤りを伝えました。その結果、一般の議員たちが戦争支持の立場を変えるようになりました。下院では否決されそうな勢いとなり、上院でもどちらに転ぶか分からなくなりました。また上院議員たちまでもが米国民の怒りを肌で感じるようになりました。オバマ大統領にとって壊滅的で歴史的な敗北が訪れようとしていました。

しかしオバマ大統領とその取り巻きの戦争屋たちにとって、議会で否決されてしまうのは好ましくありませんでした。一度否決されてしまえば、米国のシリア侵攻への扉が完全に閉ざされてしまうことになるからです。そこで、彼らは採決を取りやめました。少なくとも今のところは―。理想としては、軍事力行使をめぐって議会でしっかり議論し、その上で否決されたほうがよっぽどよかったでしょう。しかしそれでも、大きな転換が起きたことは間違いありません。その後、国連主導でシリア政府の保有する化学兵器を廃棄するという提案がロシアから出されましたが、この提案は、ジョン・ケリーが、「そのような枠組みがあると、米国はシリアを攻撃することができない」とうっかりもらしてしまったことがきっかけだったようです。詳細はまだ決まっていませんが、シリア政府も合意したロシアの提案によって、米国による攻撃は今後避けられるだろうと期待できます。

今回は、米国民が戦争反対の声をあげたのです。私が長年問い続けていた疑問が今、多くの人に共有されています。海外のどこかで紛争が起きるたびになぜ米国が介入する必要があるのか。なぜ米国が世界中の問題を解決しなければいけないのか。大きな変化が起きています。そのことに私は励まされます。我々は平和と自由という大義にとって大きな勝利を勝ち取ったのです。この流れがさらに続くと期待しましょう。

ホームスクーリング革命

2013-09-17 15:23:31 | 教育
Texas Straight Talk 2013/09/09

The Homeschooling Revolution

ホームスクーリング革命(拙訳:チモシェンコ大村)

子供の教育に関する親の権利を政府が侵害することに強く反対し、公教育に代わる教育方法を推進していくことは、我々のリバティ運動における重要なミッションのひとつです。子供の教育手段を選択する権利を政府が親から奪えば、子供には親の価値観ではなく政府にとって都合のいいことが教えられることになるのは不可避です。その結果、国家統制主義的価値観に偏った教育システムが生まれることになります。政府が管理する教育システムによって、国民は次第に、自由社会についての知識と、それがもたらす恩恵を忘れていってしまうのです。

だからこそ私は、議員時代を通じて、子供の教育に関する親の権利を侵害するような法案には常に反対してきたのです。とりわけ、ホームスクーリング(在宅教育)を子供に施す親の権利を侵害する法律については特に反発してきました。教育専門家と呼ばれる人たちの多くは、“政府の認可を受けた”教育者でなければ質の高い教育を子供たちに行うことができない、と主張しています。しかし、多くの研究が示しているように、ホームスクーリングを受けている生徒のほうが公教育を受けている同学年の生徒よりもすべての科目において学力が高いのです。そして、これらの研究によって、ほとんど家庭において、親こそが自分の子供の教育者として最適であり、質の高い教育を施すことができると分かっています。

インターネットの出現によって、ホームスクーリングはずっとやりやすいものになりました。私は、公教育に代わる教育手段を推進していきたいと考えています。そこで今月、独自のホームスクーリング・カリキュラムを立ち上げます。このロン・ポール・カリキュラムでは、歴史から経済学、数学、物理、自然科学まで、網羅的な授業科目を用意しています。

高学年向けの授業では、自分自身でネットビジネスを立ち上げ運営する機会もあります。さらに、レポート課題に取り組んでもらう機会をふんだんに用意することで、生徒のコミュニケーション力の強化を目指します。

また、生徒も保護者も、オンライン・フォーラムに参加することができます。このフォーラムの目的は、生徒の主体性を促し、生徒が受け身の姿勢で教師から与えられた情報を得るだけになってしまわないようにすることです。生徒には積極的に他の生徒と交流することが求められ、教師だけではなく同級生同士でも学びあうことができます。

もちろん、歴史や経済学をはじめ、多くの授業科目では、私の自由主義的思想が反映されています。しかし、公立学校での国家統制主義的カリキュラムとは違い、私のカリキュラムは、イデオロギーを生徒に植え付けるものではなく、まず生徒に質の高い教育を提供することを最優先しています。経済学の授業ではあらゆる学派の思想を教えますが、なかでも特に、自由市場の重要性を謳うオーストリア学派に重きを置いています。

自由思想を反映した質の高い教育を子供に施したいと考える保護者にとって、この教育プログラムは良い投資となるでしょう。カリキュラムでは、西洋の文明において宗教が果たした重要な役割についても、恐れず議論していきます。しかし、このプログラムは、ひとつの宗教に偏向することなく作られており、保護者がキリスト教徒であってもユダヤ教であってもイスラム教徒であっても、あるいは無心論者であっても、問題なく利用でき、歴史や哲学、自由経済学などの科目から成る最高の教育を子供に提供することができます。

ここ数年、若者たちが自由思想に関心を持ち始めています。彼らが結婚し、自分の家庭を持つようになるにつれ、私の教育カリキュラムへの関心は次第に高まっていくと期待しています。こういった人たちは男女共に、政府によって管理された教育システムには欠落している自由思想を反映した教育を自分たちの子供に施したいと思うはずです。

ホームスクーリングに興味を持つ親が増えている今、自由思想やその歴史、そしてオーストリア学派の自由市場経済学に重きを置いた良質の教育プログラムを提供することができ、私は興奮を覚えています。私のホームスクーリング・カリキュラムについては、こちらのリンクをご参照ください。また、私の新刊書「The School Revolution: A New Answer for Our Broken Education System」のご注文はこちらからお願いします。

連邦議会はオバマの戦争計画を承認するか?

2013-09-17 13:56:17 | 軍事
Texas Straight Talk 2013/09/02

Will Congress Endorse Obama’s War Plans? Does It Matter?

連邦議会はオバマの戦争計画を承認するか?(拙訳:チモシェンコ大村)

今週末、オバマ大統領はシリアに対し軍事力を行使することを決定しました。夏休み明けに、議会に承認を求める予定です。すべての議員は、この軽率で不道徳な武力行使について反対票を投じるべきです。仮に両院のすべての議員がこの戦争に賛成票を投じたとして、合衆国憲法の規定にのっとって宣戦布告が行われたとしても、このような軍事行動が許されるわけではありません。

しかも大統領は、軍事行動に際して議会の承認は不必要であるという立場を明確にしており、議会に関係なく行動を起こすことができると、非常識な主張をしています。皇帝のような米大統領にとって議会は飾りでしかないという状況に議員自身も甘んじているわけですから、これは非常に驚きです。

シリアのアサド政権が8月21日に化学兵器を使用したという報道がなされ、これは「わが国の安全保障に重大な影響を与える」とオバマ大統領は主張しています。世界中のあらゆる紛争、独裁者、そして反政府運動が何かしらの形で米国の安全を脅かすとでも彼は思っているようですが、私はこのような考えに反対します。これは、共和国ではなく、帝国のマインドセットです。この種の思考は、ジョージ・W・ブッシュにも共通してみられ、わが国の経済を崩壊させ、人民の自由を破壊してきました。

米軍にはシリアに侵攻できるだけの十分な予算がなく、追加予算の承認を議会に求めることになるだろう、と報道されています。わが帝国の財政状況はすでに逼迫しているようです。オバマ大統領が求める、シリアでの限定的な軍事行動には、何億ドルもの金がかかるのです。統合参謀本部議長のマーティン・デンプシー陸軍大将は先月、シリア反体制派に軍事訓練を施し“限定的な”空爆作戦を行うだけで“十億ドル”単位の費用がかかる、と証言しました。新たな戦争が米国経済にどのような影響を与えるか我々は明確に理解すべきでしょう。燃料費の高騰をはじめ、さまざまな副次的な悪影響をもたらすことは言うまでもありません。

もちろん、化学兵器による攻撃、特に民間人を標的にした攻撃は、非常におぞましいものです。戦争や暴動におけるあらゆる殺人行為は非難されて当然です。しかし、シリア内戦でこれまで10万人が犠牲になっている中で、化学兵器による数百人の犠牲者だけがなぜ特別視され、それをもって米軍の空爆はやむをえないと判断されるのでしょうか。米国の同盟者がシリア国内で殺害した推定1000人ものキリスト教徒より、アサド政権が化学兵器で殺害したとされる数百人のほうがなぜ重要なのでしょうか。米国が支援するイスラム過激派がシリアで何人ものキリスト教聖職者の首をはねたことよりも、毒ガスによる殺人行為のほうがなぜ恐ろしいとされるのでしょうか。

さらに、オバマがパキスタンで無人機を使って殺害した2000~3000人よりも、シリアで化学兵器によって殺された数百人のほうがなぜ重要なのでしょうか。民間人が殺されているという事態の中で、その殺害手段が毒ガスなのか無人機なのかナイフなのか、そのような違いが果たして重要なのでしょうか。

ジョセフ・シュンペーターは彼の著書「帝国主義の社会学」のなかで、ローマ帝国を自壊に導いた彼らの介入主義について次のように述べています。

「ローマ帝国は世界中どこにでも常に利害関係を持っていた。ローマ人にとって直接の利害がなかった場合は、同盟者の利害とした。もしその地に同盟者がいない場合は、適当な同盟者を作り出した。利害関係を作り出すことがまったく不可能な場合は、帝国の名誉が汚されたことになったのである」

残念ながら、これは、先週のオバマ大統領の演説に似ています。シリア戦争へ突き進めば、米国はローマ帝国のように急速に崩壊することになるでしょう。今なんとしてでも必要なのは、議会が毅然とした態度で戦争にノーを突きつけることです。仮に賛成票が投じられたとしても、これが米国の崩壊を招く非道な作戦であることには変わりありません。

医療における中道政策は社会主義を招く

2013-09-11 17:31:12 | 医療
Texas Straight Talk 2013/08/26

Middle of the Road in Healthcare Leads to Socialism

医療における中道政策は社会主義を招く(拙訳:チモシェンコ大村)

わが国の医療分野において政府の役割はどんどん拡大しています。これは、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスがかつて警鐘を鳴らした、「中道政策は社会主義を招く」という事態の好例です。1940年代に始まり、数々の政策が米国の医療市場を歪めてきました。その結果、医療費は高騰し、多くの米国民にとって質の高い医療は手の届かないものになりました。連邦議会は、これまでの市場介入によって引き起こされた医療の問題を、健康維持機構法(HMO Act of 1973)をはじめとするさらなる市場介入によって解決しようとしました。連邦政府によるあらゆる市場介入は、医療問題の解消という本来の目的を達成することができなかったばかりか、新たな問題を作り出し、それに対処するためさらなる市場介入が要求されました。この流れは、議会がオバマケア法案を可決した2010年に最高潮に達しました。

オバマケアに反対する一部の者たちは、これを社会主義型医療制度として非難していますが、実際にはそうではありません。正しくは、コーポラティズム(利権構造体)型の医療制度です。結局のところ、オバマケアの主要な特徴も、特定の民間保険会社から医療保険を購入することを全ての米国民に義務付けることにあるからです。政府によるこれまでの市場介入が問題を悪化させたきたように、オバマケアも、過去の連邦法が引き起こした問題を解決するどころか、新たな問題を生むことになるでしょう。

オバマケアが与える悪影響について、ほぼ毎週のようにニュースを耳にします。オバマケアが原因で、医療保険の保険料は値上がりし、雇用主も従業員を解雇するか、就労時間を削減しなければならなくなっています。また、医療の現場から離れざるを得なくなった医者も増えています。医療保険改革法の一部が施行され、連邦政府による「保険市場」(Health Insurance Exchange)の運営が始まったばかりですが、すでに政府はさまざまな問題を抱えています。

私の予測では、オバマケアの内部崩壊は今後も続きます。そして、国営医療制度を支持する者たちは、オバマケアの失敗を政治利用し、今度はカナダ式の単一支払者制度を要求するようになるでしょう。残念ながら、一部のオバマケア反対派は、問題の本質はオバマケアだけではないという点を見抜いていません。単にオバマケアだけではなく、あらゆる類の、政府による医療市場への介入が問題なのです。一部の反対派は、オバマケアを「オバマケア・ライト版」に変更することを主張しています。しかし、経済の法則が明らかにしているとおり、「オバマケア・ライト版」もオバマケアと同じく失敗に終わるでしょう。

医療の自由を求める戦いに勝つため、国営医療制度に反対する者は勇気を持ち、完全な自由市場に医療をゆだねることを主張しなければなりません。例えば、税額控除の適用や医療貯蓄口座の利用拡大は、医療コストを再び国民自身の手で管理できるようにすることで、医療における自由市場を取り戻すことにつながります。手始めに、まずは、オバマケアが医療貯蓄口座にかけている規制を取り払いましょう。

また、長期の団体医療保険を活用することで、持病のある人でも保険に加入することができるようになります。この保険契約では、複数の個人が共同で出資してひとつの団体保険に加入し、加入期間中メンバーの誰がどのような病気になっても医療保障を受けることができます。企業、教会、地域コミュニティ、あるいは大学の友愛会までもが、このような保険契約の恩恵に浴することができます。

さらに、医療過誤が起きた場合、被害者は訴訟を起こす権利を放棄する代わりに適切な補償を受けることができる、という内容の損害保険もあります。これがあれば医療過誤訴訟にかかる負担も軽減することができるでしょう。

医療分野での市場競争をさらに活性化し医療費を低くするために、他にもできることがあります。例えば、州内に限らず全国どこからでも医療保険を買えるようにするのです。また、個人経営の病院に対する規制を取り除くのです。さらに、食品医薬局(FDA)の規制権力をそぐのです。

オバマケアを廃止し純粋な自由市場を導入するのは現実的ではないと言う人もいるでしょう。しかし、あらゆる所得層の国民に質の高い医療を提供するにあたって、自由市場以外のものを提案することのほうが非現実的なのです。自由市場に政府が介入して国税を投入し規制をかけるという“中道政策”を続ければ、いずれ医療の社会主義化を招くことになるだけです。