ANTI-新P舎

それがぼくには目障りだったから ©[L.Torvalds (et) S.Fujiwara] by 資

「出版権」を含む出版契約の解除――碧天舎破産事件の場合

2008-03-22 | 駄文
新風舎破産事件の川島英明破産管財人(当時は保全管理人)によれば、新風舎に対する「出版権」を含む出版契約は「終了」するとのことである。

20080122
新風舎 | 表現する人のための出版社
質問に対するご回答
http://www.pub.co.jp/s/singpoosha/contents_singpoosha/corp080122.aspx


4 出版契約について
出版契約は破産により終了となります。
①未払い印税は破産債権となりますが、「1債権者関係」で記したように配当は見込めません。
②他社と出版契約を締結されることは自由です。
③本の所有権は新風舎にあります。

さて、ここでいう「破産により」とはどの時点なのだろうか。
20080107民事再生手続開始申立
20080110民事再生手続開始決定
20080118民事再生手続廃止決定(破産手続に移行)
20080122(当該告知)
20080312破産手続開始決定

では同様のケースだった碧天舎の事例を観てみよう。

20060418
碧天舎破産!!管財人から連絡がありました。 「あんじん」のブログ!!-ANJIN-/ウェブリブログ
http://anjin.at.webry.info/200604/article_23.html


以下、破産管財人の田川純一弁護士からの通知です。


②出版契約の解除
まず、破産者は、出版契約に基づく義務を履行することができないので、破産法第53条第1項に基づき、出版契約等全てを解除いたします。したがいまして、著作者各位が破産者以外の出版社等との間で別途出版契約等をされることについて、当職は何らの異議を述べません。

これは碧天舎の破産手続開始決定を告げる文書からの引用である。
破産法第53条は破産手続開始決定以後に破産管財人の判断で契約の解除が出来る旨を定めて居る。


逆にいえば、破産手続開始決定より前に出版契約の解除を破産管財人から宣言するのは問題ではないか。少なくとも「破産により」という曖昧な表現では多分に誤解を招く――(新)破産法における「破産手続開始決定」を「破産宣告」と旧法の用語で呼称する(20080312付)新風舎の破産管財人であるから仕方が無いのか。

碧天舎における(仕掛中途の)被害者へは、「出版権」の取り扱われ方について倒産直後の「債権者会議」できちんと説明がなされて居た模様だ。

20060413
“あっちゃマン”の子育てフィロソフィ: 碧天舎倒産における債権者会議 (その後の更新情報)
http://oyanoyomuhon.hontsuna.net/article/1694216.html


◆版権 (本を刊行する権利)
版権は、法律的には、自動解除というわけではないようです。基本的には破産管財人が裁判所の許可を得て整理することになります。そこで、版権に関しては、破産管財人との間で、契約を解除して版権を取り戻すか、版権の他社への譲渡をして債務の履行を求めることになります。
しかし、版権は碧天舎がなくなった以上、版権を行使する人がいないわけで、管財人が行使するとは考えられないし、ということで、現実的にはほとんど自動的に解除されるのと同じ、つまり他の出版社で同じ内容の本を刊行しても問題にはならないでしょう。

仕掛中途書目の、不細工な事業譲渡を経て破産手続開始決定がなった今、新風舎における「出版権」を含む出版契約は解除されたとみて差し支えないとは想うが、決定以前の時点の宣言では心許ない。正式な文書なりでお墨付きを頂戴するか、破産法第53条第2項に基づく「催告」をするべきだと想う。

新風舎の破産管財人様は色々頼りない。

最新の画像もっと見る