ほとんど期待してなかったけど、想定外に痛快だったのは、寺井尚子が飛び入り参加したリシャール・ガリアーノの「タンガリア・カルテット」だ。ピアソラと共演したことを ゛お墨付き ゛として大事にしているガリアーノは、バンドネオンで古典タンゴも弾くが、いかにもフランス生まれらしく、ヨーロッパ特有のクロマチック・アコーディオンでシャンソンからジャズも一応はこなす才人だ。
それが今回は予定した奏者が急に来日不能となり、寺井に代役がまわったというわけだが、ステージでは、代役というイメージは全く無く、むしろ寺井のバイオリンがメインで、ガリアーノは共演者じゃないのか~と思えてしまう演奏が展開された。
だがこれは、 ゛ひいき目 ゛をどんなに差し引いても、寺井が ゛出しゃばり過ぎていた ゛からではなく、ガリアーノの方に、終始 ゛前に出てこないモタつき ゛が付いてまわっていたからだ。クロマチック・アコーディオンがジャズ向きであるか無いか~なんてことではなく、ガリアーノの表現姿勢そのものの、ある種の ゛生ぬるさ ゛が生み出した ゛違い ゛ではなかったか?
゛初めて弾く曲を、いかに体の中に入れ込むかという作業が必要…とにかく、今日は思いっきり、すべてを忘れて楽しもう…それだけの思いで来ました… ゛ この寺井のコメントが、すべてを云いつくしている…尚子に文句なしの天っ晴れだ!!