先週の日曜、タケシの『誰でもピカソ』にフジコ・ヘミングと上原ひろみが出ていて、二人とも、数週間前、NHKに出演したときと同じ、フジコはベートーベンのピアノ・ソナタ「テンペスト」の第3楽章、上原はガーシュインの「IGot Rhythm」を、それぞれに、またかなり違う味わいで即興性の醍醐味いっぱいに弾きこなしていた。
特に上原は、ブルージーなバラードの前半とアップテンポでスピーディーな後半とのコントラストが圧倒的に鮮やかだったので ゛まるで別な人がいるみたい…゛というタケシ独特のホメ言葉が飛び出した…までは良かったのだが、その後 ゛超絶技巧による速弾きは、まさに神ワザ ゛なんていうナレーションが流れてどっと興醒め…というよりアタマにきちゃったのだ!!
ピアニストたるもの、次々に湧き起こるインスピレーションを意のままに表現しようとすれば、あらゆる場面に合わせられるだけの十分な技術の研さんを積むわけで、結果、表現の一部分では非常に早いフレーズが必要だったりする。
だが ゛速く弾く゛そのことが目的じゃないのだ…ここをカン違いしないで欲しい!! ゛日本のジャズ文化の中で育まれた輝かしい成果だ ゛とまでチック・コリアに云わしめた上原ひろみの、他に類を見ないピアノ・ジャズに水を差すような古色蒼然とした非文化的な形容をしたがるライターに大喝だ!!
上田力のクロストーク ~6月30日~