上田力 「クロス・トーク」

作・編曲家、ピアニスト:上田力とスタッフが徒然なるまま語ります。

東京ジャズ・レポート~2~

2008-10-20 | diary
今回、対照的で面白かったのは、ハンク・ジョーンズのトリオで一人ずつがコメントした時、一番若手のドラマー、ビリー・キルソンが、90才のハンク、64才のジョージ・ムラーツに向かって ゛この二人はボクにとっては雲の上の人たちだ、一緒にやらせてもらえるだけで光栄だョ ゛なんて、テレ笑いしながら、そのくせ、しなやかにシンプルなリズムをたたき出し、普通はバカげた超アップテンポで演奏されがちの『オレオ』を、カッコ良く抑制の効いたビートで支えきっていたし、もちろん、ジョージの正確無比なベースラインがあってこそのコラボレーションなんだが、それに加えて ゛見事!!゛としか云いようがなかったのは、このリズムに対するハンクのピアノだ。

90才というトシなど全く感じさせない<遊び心タップリ>のタッチと、一切余計な音は出さない選び抜かれたフレージングによる、ただ<速い>だけではない心地よいスピード感…そして、形は8ビートをとっているが、それがそのまま4ビートを感じさせる名人芸ともいえる『マーシィ、マーシィ、マーシィ』など、大ゲサにではなく
、本当に ゛何気なく ゛伝わってくる実感は、まさに ゛ジャズの王道 ゛そのものだったこと。

一方、これも名曲『ジャイアント・ステップ』に猛スピードで立ち向かったミシェル・カミロ・トリオは…そう、味もそっけもない ゛まだそんなことやってるのかい? ゛と絶句してしまうような迷演奏だったこと…!!

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