上田力 「クロス・トーク」

作・編曲家、ピアニスト:上田力とスタッフが徒然なるまま語ります。

゛云いきってしまう ゛ことが ゛云い過ぎる ゛

2008-12-30 | diary
ここのところ、夜のBSで、ずーっと黒沢映画の特集を続けていて、先週末も、黒沢としてはかなり晩年の『まァだだよ』を、ちょっと見始めたら、とうとう終わりまで観てしまった。やはり、それだけ ゛惹き付けるもの ゛があるということなんだが、一つだけ気になったのは、あぁこの場面、もうホンのちょっと手前でカットにすれば、しつっこさを残さずに印象が深まるのになァと思うところが何ケ所か有ったこと。

もちろん、黒沢信捧者には、これこそが ゛たまらない魅力 ゛でもあるんだろうけれど、 ゛云いきってしまう ゛ことが、もしかしたら゛云い過ぎる ゛という印象になってしまう場合もあるんじゃないか。例えば、 ゛だから、そうです ゛という意を伝えるのに、そのまま全部を云い切るのではなく、 ゛です ゛をカットする方が、意味の余韻を大きくして印象が深まるんじゃないか…というような…。

アレンジでも、あるフレーズの形を全部出しきってしまうと、それが一つの ゛区切り ゛となり、区切りが多くなれば、そのぶんだけ音楽の広がりにブレーキがかかって、全体が小さく、キュークツになってしまう。

12月8日の、ニュー・アレンジ3曲でも、自分で演奏しながら、かなりそうなってしまっていることに気がつき、もう、このまま改定版をお聴きかせ出来ずに年を越すのかと思うと…ま、とりあえず、良いお年を…。

編曲と変曲

2008-12-21 | diary
12月8日「Jobim My Love~47~」のアンケートの中に ゛編曲 ゛ではなく ゛変曲 ゛と書いている一文が有った。最初は、たんなるミスか、あるいはオバマのChange」、あるいは「今年の文字」トップの ゛変 ゛にかけたジョークかなと笑ってしまったのだが、もし、ひょっとしたら、自分のArrangeに向けての逆説的批判の意味での ゛替え字 ゛じゃないかとも思えてきた。

辞書には<Arrange>という原語のベイシックな意味は、(…のために整理する)とあり、そこから①計画する、準備する、②きちんと並べる、配置する…などの訳語が引き出され、③番目にやっと、編曲する、脚色する…という項目があり、どこにも ゛変 ゛という意味は出てこない。

だから ゛…の目的のために原曲を整理する… ゛の意味を持たせた ゛編曲 ゛という日本語は、まさに名訳!、原曲を ゛変える ゛のではなく ゛整える ゛のが編曲の本質的作業なのだが、いまだに、ただ ゛変えるだけ ゛で、別の味わいは何も引き出せなかったり、原曲を行方不明にしたり…というレベルも通用しているようだ。

アンケート氏の文面全体から察すると、かなり著名なアレンジャーのアレンジと比較された結果の肯定的判断らしく、 ゛変曲 ゛と書いたのもご本人は全く気にしないミスだったのかもしれないが、編曲技法の本領は ゛こなしきった ゛と勝手に思いこんでいる自分にとっては、ちょっと耳が痛いけど、ウィットたっぷりのジョークとして受けとめたい!!

゛火に油を注ぐ ゛

2008-12-13 | diary

初めての方も含め、予想を超える皆さんに来て頂いて盛大にAct=47が終わり、それなりの<達成感>も噛みしめながらの自画自賛的自己評価とともに、ともあれホッとしているところ…。

今回は、かなり大勢の方々からアンケートを返して頂いた中で、やはり一番多かったのは、Big Bandが ゛良かった ゛゛楽しかった ゛という感想で、゛Jobim My Love というBig Bandを作っては?゛なんていう提案まであり、またまた ゛火に油を注ぐ ゛ことにもなりそう!!

一方、Big Band編成を評価して下さると同時に ゛基本的メンバーだけの曲も大好き… ゛という少数派御意見もあり、これまた大いに ゛新たなヤル気 ゛を刺激されたり…。

もちろん今回の狙いは、Big BandのBig Soundをフルに活かしつつ、あくまでもフィーリングはクールに…というコンセプトだったし、中堅ホーン・プレイヤー諸君の、まことにフレンドリーな協力で、その効果は存分にイッた!と自負しているんだが、逆に、Nanda Novaオリジナル・メンバーだけの、たとえば『Stone Flower』など、こんなアレンジは自分としても、そう簡単に生み出せるもんじゃないナという、いつになく ゛手前味噌的酔い心地 ゛の中で快適な演奏が出来てしまったりとか…。

ともあれ、ミュージシャン、スタッフほか皆々さまの熱い協力で、「Jobim My Love」が、全く自然に11年目を超えられたことについては、またもや ゛上田もう大カンゲキ…!! ゛

゛オレも酒やめたょ ゛

2008-12-07 | diary

先週、全く久しぶりにメイから電話があり、゛12月8日は彼氏と行くヮ ゛から始まって近況あれこれ…そのうち ゛私、タバコ止めたの ゛という話題になり、つい反射的に ゛オレも酒やめたょ ゛と返してしまった。すると、いかにも ゛甘えん坊 ゛のメイらしく ゛なァんだ、つまんなーい ゛という反応。

会うときは、ほとんどビールかロックを飲んで ゛おじさん風 ゛を吹かせていた頃から、しばらくずーっと会っていなかったメイにとって、そんな ゛変わりざま ゛は、まさに ゛つまんなーい ゛のが実感だったのだろう。

だが、風邪で2週間ほど飲まなかったのに続いて、前立腺の手術で約1ヶ月入院している間に、飲んで良い気分になるより、飲まずに冴えてくる時の方が遥かに ゛良い気分になれる ゛という味を知ってから、全く酒に興味がなくなって、あんなに好きだったジョニ・クロが棚のスミでホコリだらけ…なんていう有り様。

となると、ロック・グラス片手にスコアを書いていた時の ゛毎度おなじみ ゛と、正気のインスピレーションで冴えてる時の ゛毎度おなじみ ゛とで、アレンジ全体が、どんな ゛変わりざま ゛になるのかが大いに気になるところ。

アルバムでいえば、1st『Jobim My Love』は飲んだくれ時代、2nd『Chega de Saudade』は正気の時代のアレンジなんだが、さて、12月8日のライヴでは、そのどちらでもなく ゛正気でタップリ酔い心地 ゛までイッてしまえればと…!!

皆さんの底力には、それこそ ゛上田もう大カンゲキ

2008-12-01 | diary

12月8日の『Big Band Special』のリハーサルが11月25日、やっと終わった。やっと…というのは、多忙なホーン・プレイヤーの中で、初めは約2名がリハに来られずトラを入れる予定だったのが、結局25日当日には全員ホンバン通りの顔ぶれが揃ってしまったこと、もうひとつは、3曲のニュー・アレンジが、本人にしか読みとれないような走り書きピアノ・スコアで出来上がったのが、やっと3日前、これではとても写譜にまわせる状態じゃないので、ボク自身がガンばって、ン10年ぶりで写譜に取り組み、なんとかリハ前日の深夜にパート譜が揃った…ということ。

だがそんな状況では、読みなおしの時間などとてもとれず、当日、音を出し始めたら、案の定、写譜ミスが続出、トロンボーン・パートなど4小節スッコヌケ…なんてところも。 でも、そんな ゛ミスなおし ゛の手間も含めて、皆さんのフレンドリーな協力のおかげでスムーズに ゛思っていたとおりの音 ゛が確認できたので、3日間48時間書き続けた労は報われたかナとも…。

パート譜がそんな具合でも、そうやって ゛思ったとおりの音 ゛が出せてしまう皆さんの底力には、それこそ ゛上田もう大カンゲキ ゛なんだが、もうひとつ、この調子でゆけば、8日のホンバンでは ゛思っていたとおり ゛ではなく、逆に ゛思ってもいなかった ゛ようなサプライズで盛り上がるんじゃないかと、ワクワクしているところ…!!