真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

日本大空襲「実行犯」の告白―なぜ46万人は殺されたのか― 鈴木冬悠人~“空軍無反省会”

2021-10-29 | 読書-歴史
鈴木冬悠人 『日本大空襲「実行犯」の告白―なぜ46万人は殺されたのか―』 | 新潮社

テレビドキュメンタリーの派生商品ね。
BS1スペシャル なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った“真相”~
番組:BS1スペシャル「なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った“真相”~」 - 真似屋南面堂はね~述而不作
「なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った“真相”~」前編20170813 - 動画 Dailymotion

“アメリカ側”から戦争を見つめる BS1スペシャル「なぜ日本は焼き尽くされたのか~米空軍幹部が語った”真相”~」
イヨッ、エースディレクター!

上記番組を本にしましょうという企画だね。
たいへん結構。

とはいえ、関係者で種々吟味した結果であろうとはいえ、タイトルがちょっとどうか感。
米空軍独立に大いに寄与した陸軍航空軍幹部たちは、「実行犯」などとは全く思っていなかったわけだし、「告白」などと扱われるのは心外だろう。
日本人から見れば、犯罪行為にほかならないので、上記のようなタイトルが日本の読者の支持を得やすいと考えたのかもしれないけどね。

もし徹底的な爆撃が行なわれていなければ、8月時点で日本の指導部が終戦の決断ができていなかった可能性があり、11月の九州上陸が実施されていたかもしれず、その前にソ連が北海道に上陸していたかもしれないのだよな。

あのように日本中の主要都市ばかりか中規模都市までくまなく空爆されたゆえに、8月のダメ押しで昭和天皇はじめ国家リーダーらもできない決断ができたと評価することもできる。
46万人はそのために犠牲になってくれた恩人といえるかもしれぬわけね~生き残った人々とその子孫にとっては。

存在するとは知られていなかった録音テープ(300時間)が発見されて…という展開は、旧日本海軍幹部が水交会に集って語り合った「海軍反省会」(録音テープ400時間-あまり反省はしてないようだったけど?)に似ているかも。
澤地・半藤・戸高 『日本海軍はなぜ過ったか―海軍反省会四〇〇時間の証言より』 (2011年) - 真似屋南面堂はね~述而不作

日本海軍高官の生き残りに対して、こちらは、米空軍の独立に寄与した元幹部への個別インタビューの録音テープということで、自画自賛集なのだ。
「反省の言葉は、一つも聞かれなかった」(おわりに)ということだが、それはそうでしょうよ。
反省を求める気持ちは、日本側固有のものだろう。
ナイモノネダリ

負け戦の回顧は「反省会」となり、勝ち戦の回顧は「無反省会」なのよ。

本書は、日本の「海軍反省会」との対比で、米「空軍無反省会」といえようか。
『米「空軍無反省会」-日本人46万人を殺して勝ち取ったもの』
『米「空軍無反省会」-日本人46万人の犠牲の上に勝ち取った空軍の独立』
とかね!
(ま、海軍反省会を知らないと、面白くないんだろうけど)

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