真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

B24爆撃機ロンサムレディー号の悲劇~どうして?いないはずの捕虜がヒロシマに

2009-10-04 | 読書-歴史
『爆撃機ロンサムレディー号―被爆死したアメリカ兵』
原書名:A DATE WITH THE LONESOME LADY:A Hiroshima POW Returns(Cartwright,T.C.)
カートライト,トーマス・C.【著】〈Cartwright,T.C.〉 森 重昭【訳】
日本放送出版協会 (2004/07/25 出版)

『原爆で死んだ米兵秘史』の著者である森重昭氏の訳。
被爆史研究仲間の高校の先生にチェックしてもらったとはいえ?訳語の選択に改善の余地があるようにも思える個所が散見されるものの、気になって放り出すレベルではなく、十分許容範囲。

森氏の著書はカートライト氏の著書に多くを負っているし、カートライト側も調査の過程で森氏の協力に多くを負っている。
両者の著書からは、両者がお互いに相手に深い敬意を持っていることがよくわかる。紳士の交流。
協力して真相を究明していき、両者は深い信頼関係を築きました。めでたしめでたし。

この番組(31年前)の制作ともリンクか: NHK特集「爆撃機ローンサム・レディ号 〜広島原爆秘話〜」(49分)
 1978年(昭和53年)10月29日放送

1機の大型機で運命共同体として出撃しても、撃墜されて脱出した後は、どこに降りたかや、誰に見つけられたか等々により、運命が分かれるな。

1945年7月28日、沖縄から日本本土の目標に初出撃、呉軍港近辺に隠されていた(じつは写真偵察でしっかりわかっていた)戦艦榛名を見事着底させるが、正確な対空砲火で同編隊のタロア号とともに被撃墜の憂き目にあうロンサムレディ。
~浅い海だと、上部構造まで沈まないので沈没ではなく着底というのね。写真からは、確かに甲板すれすれくらいまで沈んでいる。

(話戻る)脱出できてもパラシュートが開かなくて…という不幸なケース、海上に降りたが、漁民に櫂で滅多打ちにされてから引き上げられ、死亡していたケースなどもある由。

尾部銃手/Tail_gunnerは一人ポツンと離れたところにいるし、脱出口も違う。
ロンサムレディの尾部銃手も他の多くの乗員とは離れて降下、結果として広島市内の中国憲兵隊司令部に収容されなかったので命拾いする。

山に隠れていたが空腹に耐えられずに下山、夜中に列車に潜り込んでおき、朝になって人々が乗ってくると帽子をぐっと降ろして下を向いて、小さくなっていた。
といっても、破れた飛行服という異様な風体なので、人々は遠巻きに。

好奇心旺盛な少年が隣に来てじろじろ観察、「こいつ、目が青い!」か何か叫ばれ、ばれてしまう。絶体絶命!
軍人を探してすがりついて捕まえてもらう~その軍人が行った報告は「格闘の末取り押さえた」(笑)。

などと、映画のようなシーンもあったのですよ、と。写真からも、小柄な人だった感じ。
ちょっとした運命の歯車のタイミングで生死が・・・。
(叫んでしまうのはいつも少年?)

(どのポジションが一番怖いだろうか?というのは、じつは尾部銃手ではないかと睨んでいる。追いかけてくる敵戦闘機や高射砲の炸裂がだんだん近付いてくるなどが一番よく見え、全部自分に向ってくるように思えるのではないか?一人ぼっちだし。)

本書のあらすじ(原著の要約紹介)~写真が転載されているのでヨコモジ忌避の向きも一見の価値あり。

Aオンライン書店の顧客レビューは1件のみ(確認した時点)と、盛り上がりに欠けることおびただしい。
アメリカ人は本書を読むべきだ。日本政府は宣伝してはどうか。

The 494th Bomb Group (H) Association, Inc. 使用機一覧
順にCallNbr SerialNbr NoseArt Model BS Source Missions Disposition MACR、
680 44-40680 LONESOME LADY B-24J-175-CO 866 Original 46 Combat MIA 7/28/45
報告書: 14758

「落ちてゆくのを見た」だけだと、MIA(Missing in Action)になるのか。
・・・The A/C did not appear to be burning, went into a vertical dive into undercast, and was not seen again.・・というのは、本書にも引用されている「爆撃隊の公認報告書」がこれだな。

MACR=Missing Air Crew Reportsだそうで、上記報告書第14758号(7/28にMIAとなったロンサムレディ号について)は、7/30付の報告なので、地上に降り立った生存クルーたちのその後の過酷な運命については、当然のことながら記載なし。

幸運にも復員、テキサスA&M大学教授となったカートライト氏が執筆した論文の例(肉牛の遺伝子・・・。それにしても、35年前の論文でもフルテキスト引けてしまうのはすごい。読みはしませんけど):
Net Effects of Genetic Variability on Beef Production Systems
T. C. Cartwright
Texas A&M University
Genetics. 1974 September; 78(1): 541–561.

The Role of Dairy Cattle Genes In United States Beef Production
T. C. Cartwright
Animal Science Department, Texas A&M University
Journal of Dairy Science Vol. 66 No. 6 1409-1418

「その機長は東京で詳細に尋問しよう」との決定が、米国畜産業の生産性向上に寄与?

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