晴れときどき化学、ところにより雑想

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放射性炭素による年代測定法

2012年01月27日 22時53分46秒 | 化学のお話
放射性同位体である、質量数14の炭素(この後は簡略化して14-Cと書きます)を使った年代測定法についてです。

まず前提として、

・14-Cは、宇宙線の影響により常に生成しているので、大気中での割合は一定になっている。

・14-Cは放射性同位体なので、徐々に別の元素に変わっていってしまうが、その減少の度合いは、もとの半分の量に減るまでの時間が約5700年である。

(もとの半分の量になるまでの時間を「半減期」といいます。14-Cの半減期は約5700年である、というように使います)。

・生物は大気中でCO2のやりとりをしているため、生きている間は大気中と同じ割合の14-Cを持っているが、死んでしまうとそのやりとりがなくなるので、14-Cは減る一方になる。

ということを押さえておきます。


ここで、例えば木でできた古い道具が見つかったとします。

それに含まれている14-Cの量を測れば、(上に書いた前提をもとに計算すると)それが今からどれくらい前に作られたのかがわかります。

測定した結果、14-Cの量が大気中の半分の量だったとすれば、この道具は約5700年前につくられたもの、ということになります。

また、もし大気中の4分の1の量だったとすれば、約5700×2=約11400年前のものということになります。

※約5700年経つと1/2、さらに約5700年経つとその半分である1/4、その後さらに約5700年経つと1/4の半分である1/8になる、というように減っていくためです。

(約5700×2=約11400年で、すべてなくなってしまうということではありません。あくまでも半分、さらにその半分、そしてさらにその半分、というように減っていきます)。


なお、この年代測定法では、約6万年前くらいまでのものが測定可能になります。

考古学にとって、大変有益なツールとして役立っています。