みんないい それもいい

鳥人間を見に行った。
待って待って待って漸く係りの人の赤い旗が白い旗に変わった。
いよいよスタートだ！
飛ぶぞ飛ぶぞ飛ぶぞ飛ぶぞ・・・飛んだ落ちた！
あっけなかった。
この日このときまでに費やした日々に込められた
夢、計画、知恵、工夫、製作、汗、涙・・・
そういったものたちが飛ぶ一瞬に集積されて、そして散った。
当事者達の心の中は私の想像を越えるものがあるだろう。

帰り道
田んぼで鷺が優雅に飛び立ち、舞うように飛んで行くのを見た。
さっきの鳥人間とどこか形が似ている。
それを見て、金子みすずの『わたしと小鳥とすず』を思い出した。

わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面（じべた）をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

そうだよ、人間は飛ばなくてもいいのだよ。
と思った瞬間、加藤登紀子の『この空を飛べたら』を思い出した。

ああ　人は昔昔
鳥だったのかも　知れないね
こんなにも　こんなにも　空が恋しい・・・

そうかもしれない、と思う。

みんな違ってみんないい
違うものになってみるのもそれもいい（あさり）