MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~基本的人権としての医療通訳とは~

2年3ヶ月

2017-04-13 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週、妹がなくなりました。
告知から2年3ヶ月。
よく頑張りました。

告知の日からずっと寄り添いというより
一緒に伴走したといったほうが近いかもしれません。

薬が効かないと落胆し、
医療者の方の優しさに感謝し、
ひとつづつ失われていく機能にいらいらし、
それを補う介護用具の力に励まされ、
差し入れの季節はずれのマンゴや
ボランティアさんの作る毎日のおやつに勇気付けられました。

1月以降は病状が日毎に変わり
介護保険の認定手続きの一方で救急車での搬送、
緩和ケア病棟での看取りと様々なことを経験しました。

看護するものは患者本人の痛みや苦しみを
本当の意味で理解することはできないのだということ、
でも、寂しさや心細さは少しは補えるのだということも
少しわかった気がします。

遣り残したことはないけれど
心にぽっかり穴が開いています。

一人で戻る日常がさびしいですが、
滞っていた医療通訳の活動も少しずつ始めていこうと思います。

新しい年度になりました。
今年度もよろしくお願いします。

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食べるということ

2017-03-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
今週末、病院でリクエストメニューが出されると言われました。

ほとんど食べられない状態の患者でも
好物は食べたいし、口に運びたいと思うもの。
そして、何であっても少しでも口から食べてくれるのは
家族にとっても大きな喜びです。

いままでの人たちがリクエストしたメニューが
写真で一覧表になっています。
好物って人によって違うんだなあと思いながら、
親子丼からお好み焼き、あんみつまで、
人が選んだメニューを見ながら
どんな思いで選んだかに思いをはせます。

何よりもとても面倒で時間がかかる仕事であるにもかかわらず
こうした試みを考えてくださる医療者の方の
温かい気持ちがとてもうれしいと思うのです。

南米の患者さんなら何を選ぶかな。
それは日本では手に入らないものかもしれないな。
そうしたら食べさせてあげられないのかな。
群馬や静岡に行けば、食材は手に入るかな。
通訳に聞いてもらえば、食材の通販も知っているはずです。
そして、異国で病に倒れることの切なさを感じます。

そういえば、
ポルトガル語の通訳者が
患者の病室にブラジルレストランの
お弁当を持ち込んだことがあるという話を聞きました。
脂っこくてカロリーが高そうに思うかもしれませんが、
彼らにとっては子どものころから親しんだお母さんの味に
近いものなのでしょう。
そうした気持ちがわかるのは
通訳者自身もそう感じているからだと思います。

栄養の通訳が難しいのは
食べ物は「変える事のできない文化」のひとつだから。

点滴で生きることはできるけれど
食べることには生き様や思い出も詰まっている。
あまり意識せずに食べているけれど
食べることってすごいなあとあらためて考えています。

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車椅子が2台

2017-03-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先日、介護保険の車椅子が納車されました。

まだ介護認定結果がでていないので
前倒しでの利用ですが、
価格は1割なら500円/月です。
軽くてきれいで快適な車椅子です。

こんなに快適なら自宅でも使いたいなと思って
自宅で使うためにタイヤカバーみたいなものは
ないですかと業者の方に質問しました。
もちろん、カバーもあるのですが、
介護保険では車椅子は2台までレンタルできるようになっているとのこと。

業者の方の説明では、
介護保険がはじまった当初は1台しかだめだったそうです。
けれど外と中で同じ車椅子を使うのには限界があります。
仕方なく、もう一台を自分で購入する人たちもいたそうです。
同時に、いろんな地域で二台までつかえるように署名をしたり
陳情をする人たちがいて、
現在の二台までが実現したとのことでした。

制度は黙っていては変わらない。
先人が変える努力をしてくれて
いまの二台つかえる便利な状況を
後からつかえるものが享受することができています。
制度に声をあげてくれた人たちの努力のお陰です。
本当にありがたいことだと思いました。

今の日本社会の快適な部分は
こうした人たちの力が結実したものであることを
私たちは時々忘れそうになります。
当たり前のサービスや制度も黙っていてはでてきません。

医療通訳も黙っていては制度化は実現しません。
2020年に向けて、いろんな声が聞こえます。
混沌とした状況であればこそ、
しっかりと目標を見据えなければいけないと思います。

二台目の車椅子のように
医療通訳がいつか、当たり前の世の中になるように。


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化学反応

2017-02-22 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
1月と2月は年度末ということもあり
行政や団体の研修会が多くあります。

最近は、異業種の方に招いていただいて
お話をする機会が増えました。

通訳者は単体では成果を出せません。
話者がいて、繋ぐことで、はじめて力を発揮します。
今やっている研修で共通することがひとつあります。
特に、一方のユーザーである医療者や行政窓口、国際交流協会といった
専門職の人に「医療通訳」を理解してもらうことが大切だということです。
その「繋ぐ」という働きがコミュニティ通訳の分野には必要だということなのです。

また、もう一方のユーザーである外国人やろう者の背景にあるものを
きちんと見ながら通訳をすることも大切です。
なによりも通訳者がその仕事をなぜやるのかということを
しっかり概念としてもっておかなければ
ただの翻訳機になってしまいます。
私たちがなろうとしているのは「ひと」でなければ成立しない
言葉をも訳せる通訳者なのです。

また、今回手話通訳研修で要約筆記の方とはじめてお会いしました。
通訳者研修のワークの中に入っていただいたのですが、
その役割と必要な技術は通訳者とは違うけど
言語を補償する活動としては目的は同じなのだなと痛感しました。

本来は、通訳者の人たちや外国人相談の人たちと話をするのが一番好きですが、
最近、他業種の方と話すことで起こる化学反応で、新しい刺激的な発見があります。

地域で活動していると
時々孤独を感じます。
でも、仲間のいる場所に出かけていけば
一人ではないことと 、たぶん間違っていないことを実感できます。

医療通訳は当たり前のものでなければならない
もう少しこの路線でがんばろうと思っています。

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治療とぜいたく品の境界線

2017-01-30 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
寒い日が続きますね。

最近はダウンのコートに
マフラー、マスク、ヘッドフォンの重装備です。
地下鉄の中で、
なんとなくよく知っている何かがいたので、
何かなあと思ったら「ベイマックス(画像にリンクします)」で、
もっとよく見たら自分でした(笑)。

先日、家族が一時退院するので
メーカーの方から在宅酸素療法の説明がありました。

今まで知らなかったのですが、
酸素濃縮装置や携帯用酸素ボンベはレンタルで病院外で使うけれど
医師のオーダーにより処方されるものなので
診療報酬に含まれるとのこと。
「薬」に近いものを思ってもらえればと言われて納得しました。

かたやテレビカードは相変わらず高いです。
1時間60円といえば安く感じますが、
8時間見たら2日で1000円のカードを使います。
以前、義父が野球を見るとき、チェンジでCMになると
こまめに消していたのを思い出しました。
そしてテレビカードはもちろん自己負担。
テレビを見て気晴らししたり、笑いが免疫を上げると言っても
これはぜいたく品の扱いですね。
エアコンはさすがに全室についていますが、
加湿器は病院の備品ではないようです。
これもぜいたく品の部類なのかな・・・。

では、医療通訳はどの辺にあたるんでしょうか。

私は医師が治療に必要とみなせばオーダーできる
携帯用酸素ボンベに近い存在であってほしいと思います。
患者の症状を聞いて、説明をして、納得してもらうのは
治療に必要なことだと思うからです。

特別扱いを求めているのではありません。
「医療通訳」は最低限必要なものというコンセンサスを作ることが
今年の目標でもあります。

当分、ブログの更新が不定期で遅れがちになります。
でも、つづけていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。



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通訳者を連れてきてください

2017-01-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
新しい年になりました。
いかがお過ごしですか?

話には聞いていましたが、
年をとればとるほど1年の密度は薄まってくるらしいです。
5歳なら1年が人生の1/5ので、50歳なら1/50だから
感覚的に時間の流れがはやくなるというのは本当だなと思います。

あまり書いていませんが
私の医療通訳は仕事柄ほとんどが電話や視読です。
なぜなら、対応人数が多くて現場にいけないし、
神戸から1時間2時間かかる田舎や通訳者がいない地域からこその要請が多いから。
都会でも小さなクリニックや歯科、
直接医療通訳のカテゴリーに入らないような薬局、
3歳児検診やちょっとした傷病手当金の説明、
救急車の中や今すぐに症状を伝えてという需要が少なくないからです。

もちろん、電話通訳の弱点は知っています。
ひとつの病院にきちんと雇用されて活動できる通訳者は
それはそれで大変なこともたくさんあるでしょうが、電話通訳者から見るとうらやましい。
でも、こうした「すきま産業」みたいな医療通訳を続けていると、
医療通訳の「王道」ではなく「末端」を知ることができます。

今日も電話通訳を始める前から
「次は通訳者をつれてきてください」と言われました。
兵庫県ではFACILさんの医療通訳配置病院が増えてきていますが、
スペイン語の通訳者で昼間稼動できる通訳者がいるのは
まだ本当に限られた地域です。
この病院のある地域は過疎が進み外国人労働者がその穴埋めをしているような場所でした。
どこに通訳者がいるのでしょうか。
通訳者を連れて行くのは患者の義務なのでしょうか。
ならば、日本語のできない外国人患者は病院にいけません。
電話通訳ならパーフェクトではないけれど
主訴や病歴など言葉で表現しなければいけない部分は最低限伝えることができます。
検査や触診などとあわせてもらえれば診断も可能だと思います。
病院から渡される細かい説明の紙もFAXで送ってもらって、
時間があるときにサイトラできます。
完璧ではないことを知りながらも
せめてお互い歩み寄って欲しいと思います。

医療通訳のシステムを作るとき
配置、同席のみを想像していると
こうした過疎のケースや周辺ケースは見逃されてしまいます。
先週歴史の話をしましたが、2000年よりずっと前から活動されている
AMDA国際医療情報センターは電話が中心であることを思い出しました。
古くて新しい医療通訳の形がここにもあると思っています。




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医療通訳の歴史を振り返る

2016-12-26 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
RASCコミュニティ通訳支援センター(Cots)の西村さんと話していたときのこと。
「医療通訳の歴史は大事だよね」という話になりました。
医療通訳学習テキストの中にもちょっとだけ日本の医療通訳の歴史についての標記があります。
そのことについて、今日は書いてみたいと思います。

日本の医療通訳を西暦にたとえると「BC(紀元前)」と「AD(西暦)」がある気がします。
さだかではありませんが、潮目が変わってきたのは2000年くらいかなと感じます。
医療通訳を派遣する団体MICかながわと多文化共生センターきょうとができたのがこの時期です。
このふたつに並べるのは申し訳ないですが、神戸でMEDINTが誕生したのも2002年10月です。
もちろん80年代、90年代にも医療通訳はあったし、
医療通訳をしている通訳者や支援者、家族や友人たちは存在しています。
それを団体としてまとめたり、「一般通訳」と「医療通訳」を区別し始めたのが
ちょうどこの時期かなと思います。
同じ頃、さきほどの西村さんの「言葉のプラクティス」がでています。
これはばらばらだった各地の団体を横軸として繋いだはじめての報告書だと思います。
また、CLAIRが医療通訳テキストを作って配布してくれたのもこの頃です。
その後、それまでは単語としてWikipediaにも掲載されていなかった「医療通訳」ですが、
2007年に連利博先生の「医療通訳入門」が発行されてやっと「医療通訳」という言葉が定着しました。
今はありませんが、パブリックサービス通訳(PSIT)翻訳学会がコミュニティ通訳の団体として
司法、医療、行政通訳の関係者が一緒に議論したのもひとつの流れだったと思います。

それからまだ10年たっていない段階で、
今の流れは本当にすさまじいなあと思いながら眺めています。

今、議論されている医療通訳は
訪日外国人が年間1000万人を超えたあたりから考えられているとか、
メディカルツーリズムを経産省が推奨しはじめてからと思っている人もいるかもしれません。
でも、それよりずっと前から日本の中には医療通訳の系譜があります。

私は人の名前を覚えるのが苦手なので歴女ではありませんが、
ものごとの流れを考えるときには
どのように進んできたかを振り返ることは大切です。
日本の医療通訳はなぜ議論されるようになってきたのか、
どうやって声をあげていったのか、
派遣制度を作るときにどんな問題があって
それをどう克服していったのか、
医療通訳者はその時何を感じていたのか、
医療者は、外国人患者はどう思っているのか。

そうしたことを議論することで
未来が見えてくる気がします。

医療通訳制度が
自分の研究やビジネスの我田引水にならないように。
広い視点を持つことがなによりも大切です。

今年は身体を壊すくらい辛くて、でも充実した1年でした。
バランスをとることの難しさも痛感しました。

今年の反省から、来年はじめは一時的に、
自分の専門の多文化ソーシャルワークの勉強とFP資格更新に
シフトするつもりです。

2016年はいろいろお世話になりました。
よいお年をお迎えください。

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合理的配慮

2016-12-19 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
週末「国際臨床医学会」の第1回学術集会が東京で開催されました。
訪日、メディカルツーリズム、在日外国人と様々なインバウンド医療についての発表と
医療通訳についても公開シンポジウムが開催されました。

今回参加して、以前に書いた「医療通訳の見え方」は
本当に人や立場によって違うのだなあと思いました。

医療通訳がビジネスチャンスに見える人、
医療通訳が新しい研究課題に見える人、
医療通訳がトレンドに見える人、
皆間違ってはいないのだと思います。
というか、私になかった視点なので新鮮でした。

ともあれ、学会は船出したばかりです。
これからの活動に期待したいと思います。

**************************************

国際看護の授業をいくつかの看護系大学で受け持っているのですが、
だいたい「制度・文化」と「コミュニケーション」の2コマ(1.5時間X2)にわけて話します。
医療現場のコミュニケーションを理解してもらうために、
まずはじめに言語を使わないで病状を伝えるワークを行います。

学生は伝えるために悪戦苦闘します。
音声や言語(手話も言語です)がないってなんて不便なんだろうと感じます。
まだ言葉を持たない赤ちゃんや言葉のいらない大恋愛中の恋人との会話以外には
言語が必要であることに気づくことでしょう。

実は絵を描いたり数字を書くことは禁止していないのですが、
なぜかいつもジェスチャーゲームのようになってしまいます。

たとえば「額に手をあてる」ことで熱があることを表現しようとしますが、
これは頭が痛いようにも見えるし、なにかでおでこを打ったようにもみえます。

「37度の熱」を伝えるときになぜか指文字を使います。
さん、なな・・・何の事だかわかりません。

「2週間前、3日前・・」などの時間の経過は
ジェスチャーではお手上げです。

「乾いた咳」も、実際にコンコンやっているのですが
学生によって表現が違うのもなかなか面白いです。

「痰」が伝わらないと困っていた学生もいました。

結局、「マイコプラズマ肺炎」の事例だったのですが、
みんなが聞き取れたのは「風邪」という一般的な症状でした。

医療通訳は患者のためだと思われがちですが、
患者の訴えをちゃんと聞きたい医療者の為ともいえます。

医療通訳を使った誤訳の心配をする人がいますが、
その前に、医療通訳を使わなかった誤診のほうが
より心配ですね。

最近、合理的配慮という言葉をよく聞きます。
障害者権利条約の第2条には以下のようにあります。

「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、
又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、
特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

外国人は障がい者ではありません。
でも、私が医療通訳に求めているのはまさにこういうことです。
特別扱いするのではなく、
医療サービスにアクセスする権利を理解してもらうことが、
どうしてこれほど難しいのかということを昨今痛感しています。

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一般社団法人 全国医療通訳者協会(NAMI)設立

2016-12-12 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
12月10日のセミナーには
東京、大阪、愛知の3会場合計で130名以上の方が
集まってくださいました。

具体的な研修ではなく、
医療通訳制度や医療通訳の未来を考える研修会に
果たして人は集まってくれるのかと心配していたのですが、
杞憂(きゆう)でした。

私は自分の活動場所である関西ではなく、
愛知会場を担当しましたが、
先週書いた「医療通訳はひとつではない」を本当に実感しました。
愛知のみなさん、スカイプ音声やPPのずれなど
なれないことが多くてお見苦しい、お聞き苦しいところがあったと思います。
すみませんでした。
会場を貸してくださった愛知県立大学、
お手伝いくださった県大医療分野スペイン語ポルトガル語のかわいいOVたち、
元同僚のYさんありがとう。

また、忙しい中、特に地方では
移住デー関連のイベントやフォローアップ研修などとも重なる中、
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

みなさんにご報告です。

やっと医療通訳者の職能団体
「一般社団法人 全国医療通訳者協会」(愛称 NAMI)が
設立されました。

HPは こちら

なかなかすぐには検索に反映されないので、
検索してくださる方々のために、
とりあえず、このブログで宣伝させてもらいます!
是非、HPをチェックして、できれば「ブックマーク(お気に入り)」してくださいね。

医療通訳者は団体を持たない、
医療通訳者には力がない、
医療通訳者は上手に使ってあげることが大切

と、ずっと言われ続けてきました。
学会などで発言しても、他の偉い先生方の発言にかき消され、
書籍で書いてもなかなか他の人の発言が続かない。
結局、通訳者の意見は少数派になり、
いつも忸怩(じくじ)たる思いをしてきました。

今回やっと専門職としての職能団体がたちあがったことは、
道のりとしては長かったですが、ようやくだと思います。

苦情を言う人はたくさんいます。
でも今回、前段階の準備会として参加していたメンバーは
通訳者として関わり続けながら、他の医療通訳者にも思いをはせることができます。
何よりも「ひとり倒れても、活動は続く」とはっきりといってくれる仲間に
やっと出会えたという思いがします。
また、法人の立ち上げや趣意書の作成、HPの作成など
私にはできなかったことをやれる人たちが集まっています。

これからは、MEDINTとNAMIの2つの団体でバランスをとりながら、
医療通訳の次の未来を一緒に考えていきたいと思います。

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ここから見える景色

2016-12-05 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療通訳に関する議論が活発になってきています。

医療通訳者や外国人医療支援者だけでなく、
研究者、病院、政策担当者様々な人たちが
医療通訳に関する議論に参加してきています。

今まで、「医療通訳」という分野すら注目されてこなかったのに
ここ数年の動きは地方にいるとついていけないくらいの速さです。

いろんなレポートや発言を聞いていて
ひとつだけ心にひっかかっていることがあります。
今日はそのことについて書いておきたいと思います。

私も含めて、いろんな人が医療通訳を語りますが、
「医療通訳」はひとつではありません。
極端なことをいうと、
医療通訳はその人が見ているもの、その人から見えるものがすべてであって、
日本各地で起こっている現象を総称しているものではない気がするのです。

だから、東京から医療通訳を見ると
訪日外国人の救急医療が課題になっているし
難民の医療が大きな問題になっています。
南米の人たちの多い地域ではポルトガル語やスペイン語だし、
フィリピン人配偶者の多い地域ではタガログ語の産科・小児科が緊急課題かもしれません。
在日韓国朝鮮の人たちの多い地域では、高齢者医療や認知症ケアの問題が、
中国のメディカルツーリズムの多い地域では不妊治療が人気だったりします。
九州では、メディカルツーリズムで東アジアから来る人たちがいたり、
新潟や北海道ではロシアから来る人たちがいると聞いています。
インドネシアやベトナムの技能実習生が多い地域では
怪我や事故が問題になっているかもしれませんね。
また、感染症や精神疾患は見えにくいですが、どの外国人にもかかわってきます。

とにかく、日本人と同じで
その人の生活スタイルによって、医療は変わっています。
もし、医療通訳を議論するならば、
今自分が立っている位置からだけではなく、
広く日本の中の外国人医療を見ていく必要があります。

東京から見える景色だけで医療通訳の制度を作ってしまうと
地方では使えないものになります。
訪日外国人のブームも今後は落ち着いてくるでしょう。
誰をイメージして、医療通訳制度を作るのか。
この一番根本の問題が共通認識にないような気がします。
ここを徹底的に議論しておかなければいけない。

何度も言いますが、
自己負担でやってくるメディカルツーリズムと公的保険を使う在日外国人医療は別物です。
メディカルツーリズムからのトリックルダウンは起きません。

制度を考えるときに、まず在日外国人医療を充実させて、
その社会資源を訪日、メディカルツーリズムに使うほうが現実的です。

みなさんからは、どんな外国人医療が、医療通訳現場が見えていますか。
それは普遍的なものですか?
それともあなたの周辺だけに見えている景色ですか?

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「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」

2016-11-28 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
すっかり秋も深くなってきましたね。
皆さんお元気ですか。

12月10日の医療通訳セミナーの準備が進んでいます。
土曜日でお仕事の方も多いと思いますが、
お時間のある方は、是非ご参加くださいね。
たぶん、はじめての通訳者のための3箇所同時開催です。
愛知、大阪からも一人でも多くの方に参加していただき、
医療通訳者の声を届けたいと思います。
皆さんのお力を貸してくださいね。

*********************

10月は、私のキャパでは結構一杯一杯でした。
ずっとipod classic(古い!)で音楽を聴きながら乗り切りました。

そのひとつが、「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」の作成です。
このハンドブックはNGO神戸外国人救援ネットが以前(2009年3月)に発行したものを
2012年の入管法改正などをうけて加筆修正したものです。
今回は、以前入っていなかった「医療通訳」をいれました。
書き始めて、医療通訳は何の法律もないなあということに気づきました。
というか、そもそも医療通訳は何を根拠に行われるのかということが
統一見解となっていないことに愕然としたわけです。
ただ、「参加することに意義がある」というか、
外国人の医療と福祉に「医療通訳」の視点を入れるだけでもいいと思って書きました。
たった6ページですが、
次回改定の時にはもっとたくさんページ数をさけるようにと願っています。

興味のあるかたは是非ご一読くださいね。
宣伝になりますが、購入方法は以下のとおりです。
(MEDINT会員の方には別途お声かけをします)

*********************

「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」

外国人の相談を受ける際に問題となることが多い医療・福祉・社会保障制度につい
て、在留資格の有無や種類による利用の可否やその運用のほか、災害時の支援策や通
報義務、医療通訳等についても解説。2012年の新たな在留制度に対応。

【発行】福島移住女性支援ネットワーク(EIWAN)
【編集】外国人生活・医療ネットワーク関西/外国人医療・生活ネットワーク
【価格】1部1000円 (郵送の場合は160~300円の送料が別途必要です。)
(B5判 189頁)

●目次
はじめに
第1章 外国人の社会保障・社会福祉の権利
第2章 制度の活用
(生活保護 国民健康保険 後期高齢者医療 健康保険  
介護保険 自立支援医療 入院助産制度 感染症予防法  
精神保健福祉法 難病患者のための医療 無料低額診療 
制度 行旅病人法 小児慢性特定疾患治療研究事業 母
子健康手帳 養育医療 予防接種 救急医療費損失補て 
ん事業 国民年金・厚生年金 児童手当 児童扶養手当 
外国人と労働法)
第3章 災害時の支援策と外国人
第4章 通報義務と相談・支援活動
第5章 医療通訳
【資料】関係法令通知類を掲載

【お申し込み】
お名前、住所、電話番号、メールアドレス、必要部数をご記入の上、NGO神戸外国
人救援ネットにメールまたはFAXでお申し込みください。

「外国人の医療・福祉・社会保障相談ハンドブック」編集委員会
(連絡先)〒650-0004 神戸市中央区中山手通1-28-7 NGO神戸外国人救援ネット内
TEL & FAX 078-271-3270   mail : gqnet@poppy.ocn.ne.jp

〇お申し込みいただいた場合、12月になってからの発送となります。

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第2回 全国医療通訳者セミナー(ミニ!)

2016-11-21 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週のブログで、
医療通訳者の辛さをわかってくれるのは
同じ言語の医療通訳者と言うお話をしました。

もちろん、医師や看護師、ソーシャルワーカーの方々など
医療職の方にもたくさんお世話になっているんですが、
通訳者は意外と横のつながりの少ない仕事なのです。

そこで来月、全国の医療通訳者の皆さんとつながるミニセミナーを実施します。

様々な言語、そして在住や観光などの患者さんの背景を問わず、
日ごろ「医療通訳者」として活躍している(したい)皆さんと思いっきり話してみませんか?

私は愛知会場に参加します。
少し名古屋からは遠いですが、期待をこめて、
愛知会場は100名はいる教室をご用意しています。

第1部は東京からの講演を聞く形になりますが、
第2部では3か所をつないで、議論をしていきます。

医療通訳者は全国にいます。
本当はもっとたくさんの場所をつなぎたいのですが、
まずは3か所から。


医療通訳者が主役のセミナーです。
是非ご参加くださいね。


********転載歓迎*********


   第2回 全国医療通訳者セミナー(ミニ!)
夏のセミナーでは、全国の医療通訳者のみなさまと一堂に会して意見交換をすることができました。
今回は、3地域で同時開催となります!全国ならびに地域での繋がりを強めてみませんか。
第1部では海外の先行事例から学び、
第2部で今後のあるべき日本の医療通訳者像について議論していきたいと思います。

と き: 2016年12月10日(土)14:00 - 16:00

ところ: <東京>順天堂大学本郷・御茶ノ水キャンパス 
第2教育棟 三階 301と302教室(文京区本郷2丁目1番1号)
http://www.juntendo.ac.jp/intro/campusmap/

<大阪>大阪大学吹田キャンパス 人間科学部 東館106講義室  
        (吹田市山田丘1-2) 
http://www.hus.osaka-u.ac.jp/ja/access.html  
 
<愛知>愛知県立大学長久手キャンパス H棟201教室
           (愛知県長久手市茨ヶ廻間1522-3)
http://www.aichi-pu.ac.jp/access/ 

プログラム
第1部: 海外の医療通訳制度から学ぶ
「先行するアメリカから学ぶ」
森田 直美(東京医科大学兼任講師)
         「多文化国家オーストラリアの通訳資格」
久次 奈美(東京福祉大学社会福祉学部非常勤講師)
「欧州の医療通訳について」
大野 直子(順天堂大学 国際教養学部 講師)

第2部:「これからの医療通訳が目指すもの」
~3会場から中継で話をしてみます~
 
申込先: 参加会場を選んでお申し込みください。
 東京:tokyomedlab@gmail.com:森田直美(東京医科大学)
 大阪:nami3kinki@gmail.com :飯田奈美子(多言語コミュニティ通訳ネットワークmcinet )     
 愛知:nami3tokai@gmail.com :伊藤美保(Medical Interpreter Network Tokai MINT)

コメント (2)
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敵が見えない

2016-11-17 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
外国人医療において、一番の困難は言葉の問題だと思っていました。
だから、良質な医療通訳を配置することで
医療のアクセスを確保できると信じていたのです。

でも、最近、そうでないケースがあまりにも山積みなので
だんだんわからなくなってきました。

思えば、以前は闘う相手がはっきりしていました。
「闘う相手」が必ずしも悪いというのではなくて、
法律や制度や通訳というツールやそういうものを駆使すれば
交渉したり解決したり、合意したりできたのです。

相手は、ブラック企業だったり、やくざまがいの派遣会社だったりもあったし、
労働基準監督署だったり、国保の窓口だったり、入国管理局だったりでした。
自分を通訳者という道具として最大限使うことで
問題解決の糸口がみつかっていました。
医療現場でもそれに近い状態だったと感じます。

最近では、「言葉」の問題に、「貧困」がからみ
そして「家族」が絡んできます。

医療現場で、日本語ができないだけでなく、お金がないだけでなく、
母子が夫から捨てられる、親が子どもをネグレクトする、
認知機能が落ちて判断ができない、遺棄に近い状態もあります。

こうなってくると、医療にアクセスする機会以前の問題なのです。
やはり、母子保健と精神疾患は時間がかかります。

外国人医療で通訳していると
そもそも病院にたどり着くまでが困難であるケースが少なくありません。

誰も悪くない。
患者の過去を批判することは、今やることではない。
だから、闘うべき敵が見えないのです。

ぐったり疲れて家に帰り
同じ言語の友人に話を聞いてもらいました。
やっと眠れました。
やはり、困ったとき医療通訳者の頼りになるのは同じ通訳者だよなあと思います。

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伝言ゲーム

2016-11-08 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
社会福祉士の授業の中で
アイスブレークとして「伝言ゲーム」をしました。

前の人の伝言を伝えて後ろの人にまわす
よくある伝言ゲームです。

メモ取りを禁止していたわけではないし、
時間を競っていたわけでもなく、
普通に前の人が言ったことを伝えるだけ。
全然難しくはありません。

なのに7人目の一番後ろの人には
季節や場所や名前などが間違って伝わっています。

これが私にはどうもわからないのです。

通訳者は言葉を発した人が言ったとおりの言葉を
短期的に記憶して、別の言語で訳出します。
日本語→日本語なら短期的に記憶してそのとおり言うだけの至極単純な作業です。
ため息や「え~と」といういい淀みまで再現してもおかしくありません。

なのになぜお話の根幹である季節や場所や名前が
間違って伝わるのか・・・・。

これはたぶん、「聞き方」の違いなのだと思います。
対話の中では細かいことを聞き漏らさずに聞くのではなくて
話を大枠で聞いてイメージするのが日常的です。
大切なことには耳をそばだてるけれど、
あまり重要じゃないときには聞き飛ばしてメモリを節約します。
つまり、聞き逃しても大変かどうかを判断しながら聞いている気がします。
よりわけて聞いているのだと思います。

しかし、通訳の場合は
通常、この言葉が大切かどうかをよりわけることはしません。
発語された言葉はすべて訳するのが原則です。
伝言ゲームのように再現することは日常茶飯事にやっているのです。

すべてを聞くから逆に、
いらない修飾語や挨拶や「事前のお断り(もしも・・たら)」みたいなものが
ごたごたとくっついているのに中身のない言葉は大きなストレスになります。

政治家の言葉はそういうものが多いですね(笑)。

最近「やさしい日本語」を医療従事者や行政窓口にという研修依頼が多いのですが、
「やさしい日本語」は通訳しやすいシンプルな日本語です。
聞いていてもイメージが浮かびやすいし、間違いがないので合理的でもあると思います。

話は変わりますが、
講師の仕事をはじめた頃、自分の話し方にコンプレックスがありました。
どうしたら聞き取りやすい日本語になるんだろうと
3年くらい悩んでいる間、落語を聞くことにしました。
結局、話している内容は同じでも話の「間」が大切だということに気づきました。
同じ日本語でも、「間」の違いで届くものも届きにくくなる。
自分も含めて、対話を仕事で使う職業人は「届く言葉」を意識しなければと思います。

余談ですが、最近では「落語」を聞くと眠くなるため、
朝の通勤ではハードロックを聴いてます!!
元気が出ますよ~。

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涙が枯れるまで

2016-10-31 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
ある研修でのワークショップでのこと。

「がんの告知を受けて、泣いている患者さんにはどうするか」というテーマで話し合いました。

通訳は「泣かないで」と伝えるのかどうか。
「大丈夫だよ。私が手伝ってあげる。」といっていいのか。
ましてや「治療が決められないなら、私に任せて。」ってどうなのか。

教科書にそって皆で考えていきます。

その中で、年配の男性の方が
「泣き止むまで待つ」とおっしゃったのです。

支援者はすぐに「何とかしてあげたい」と思います。
また、「泣き止ませて前に進みたい」とも思います。
医者がいらいらしているのをみると、こちらもあせります。

でも、患者の立場からすれば
混乱する中で、考えたりましてや前に進むのはとても難しい。

相談の窓口でも
最初に面談したときに、きちんと泣いてくれた人は
次の面談から少しずつ前に進めるようになります。
だから、涙はこころを整えるのに必要なものだと思うのです。

こういうワークをしていると
参加者から教えてもらうことが少なくありません。
その男性は通訳のベテランではないかもしれませんが、
少なくとも人生のベテランだなあと思いました。
コメント (2)
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