なんとなく平穏

ありふれた日常の独り言をつづります

みんなのうた『金のまきば』の絵本

2005-01-19 20:40:41 | book
NHKみんなのうた発の絵本、『金のまきば』が届きました
文:大貫妙子さん、絵:坂井治さんのこの絵本、年末にほぼ日で紹介されていたのを読んで、
坂井治さんの絵に一目惚れし、ネットで注文して購入しました
絵が本当に素敵です
色彩鮮やかで、光にあふれていて、ページをめくるたびに
神秘的な世界が圧倒的に広がっていく感じ
イノシシの表情もとても愛らしい でもちょっとコワイ コワカワイイの

付属のDVDの映像も、大貫妙子さんの歌も素敵でした
おお、最近のみんなのうたってのはこんなにハイレベルなのか…とびっくりです

大貫さん作の物語は奥深くて、心にずっしり響きます
「テーマはこころにあいた穴」
バケツの穴は、こころの穴、なんです 哲学的ですね、うむ

‥‥これ、子どものための
絵本じゃないかもしれませんね(笑)。
どちらかといえば‥‥
親のスネをかじってるような人には、
向けてないかも。
働いているすべての女性たちに
向けていると言ったらいいかな。

(中略)
『金のまきば』もね、読んでくれた人に、
働いて疲れちゃってる女性に、
「金のまきば」は自分の中にあるよ、
と言いたいの。
みんな持ってるんだから。
心に穴があいてるかも‥‥と思った時。
でもね、覗くとたいへんかも。
今の仕事も、やめたくなっちゃうかも
しれないしね。
いよいよ、の時に
本気で覗いてみてください。
  (ほぼ日・大貫妙子さんインタビューより)


…私の心、きっと穴だらけ。
覗かなくても、仕事やめたくなっちゃうかも。
バケツ覗いたら、戻ってこれないかも。
怖くてこれ以上考えられない。


でも、そんな難しく考えなくても、坂井さんの絵を見て、
大貫さんの美しい歌声を聞いてるだけでも、十分心満たされる作品です
そして考えだしたら迷宮に入り込んじゃいそうな、奥行きの深さもあります
短い物語だけど、余韻はいつまでも残る、まさに大人のための絵本、って感じです

今年読んだ本

2004-12-30 00:34:44 | book
今日は(あ、もう昨日だ)関東地方でも初雪が降って、寒かったですねえ
今年はずっと暖かかったので油断してました 耳ちぎれるかと思いました

さて、今年の総括の続きです

<今年読んだ本>
まず新選組関連で、浅田次郎の「壬生義士伝」
大河には出てこなかった吉村貫一郎という隊士が主人公なのですが、とにかく泣けます
家族に仕送りするために極度にお金にこだわり、周りからは吝嗇と少し蔑まれてしまうような不器用な隊士の話
真面目で実直で、優しくてそして誰よりも剣が強くてしかも二枚目(←ここポイント)
情けないようでいて本当はとても男らしくてかっこいい なによりも家族思い
時代にそぐわなかった悲しい隊士の物語です
泣き所ベストポイントはなんといっても息子の手紙 ああ、思い出しただけで涙腺が…(←ちょっと言い過ぎ)
浅田次郎?ああ、鉄道員(ぽっぽや)の人でしょ、泣かせの浅田とか言われちゃってる、
って感じで私はちょっと引き気味で、今までこの作家さんの作品は食わず嫌いで読んだことがなかったのですが、
これは文句なく面白かったです 最初は文体に慣れるまでにちょっと時間がかかりましたが、
すぐにぐいぐいストーリーに引き込まれました
家族愛、大和魂、サムライスピリッツ!(?) とにかくオススメです
新選組ものでは、司馬遼太郎の「燃えよ剣」「新選組血風録」も読みました どちらも面白かったです
とくに「燃えよ剣」は土方ファンなら必読 これを読んだら土方に惚れないわけにいきません
本年度・抱かれたい武士No.1は土方歳三で揺るぎないです

その他:
よしもとばなな著・「海のふた」(写真はこれです)
特別大きな事件が起こるわけでもない、一夏の物語なんだけど、
読み終えるとなんだか心があったかくなります
よしもとばななさん独特の透明感あふれる世界に浸れます
ばなな作品を読んだのは高校生の時以来でしたが、読んで良かったです
そして、挿絵の名嘉睦稔さんの版画がほんっっっとうに素晴らしい!!
この本を読んだ後に、偶然NHKの「トップランナー」に名嘉さんが出演されてるのを見たのですが、
この方、作品同様とっても素敵な方でした
自然のエネルギーと共鳴してる感じ 沖縄で生まれ育って沖縄をとても愛している
この素敵な版画たちも、たった数十分(20-40分くらい)で仕上げちゃうんです
作品を作っている姿は、何かが乗り移ってるみたいでした
ものすごいスピードで彫っちゃうの 神懸かりってあんな感じ?
でもご本人はとても暖かく人懐っこい感じのある人でした
「自分で作ってるんじゃない、そこにあるものを『描かされている』ので、時間はかからないんです」というようなニュアンスのことをおっしゃっていて、
ああ、そうか、この人はそういう不思議な力を持った人なんだとすごく納得しました
誰でもそういう力は持っているはず、と言っていましたが、少なくとも私にはできそうもありません…残念。
本当に信じられないパワーだと思いました とても素敵な人でした

小栗左多里作・「ダーリンは外国人」
ベストセラーになってる漫画なので、ご存知の方も多いでしょうが
かなり面白いです めっちゃ笑えます
好きなフレーズは、トニーの発言「抜かれるんなら・・・度肝がいいよね」 爆笑しました

村上龍著・「69(シックスティナイン)」
中学生の時に一度読んだのですが、映画化されたのをきっかけにまた読み直しました
すごく面白いです 笑えます 甘酸っぱい気持ちを思い出します
他の村上龍作品とは、だいぶテイストが違うので、
先に「コインロッカー・ベイビーズ」とか「限りなく透明に近いブルー」を読んでいた私としては、
最初読んだ時は、えっ、この人、こういうのも書くんだ、とびっくりしました
なので、他の村上龍の作品が好きでない方にも、是非オススメします

アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス著「Good Luck」
これもなんかすごい売れてるみたいですねえ
私はこんなに売れる前に「ほぼ日」で知って(なんか、まるで私の情報源、ほぼ日オンリーみたい…)読んでみたのですが、
2人の騎士が、幸運をもたらすという魔法のクローバーを探しに行くという、
シンプルでわかりやすいストーリーでありながら、奥深く、そして押し付けがましくない啓発に満ちていて、
むむむ…と自分を考え直させられる思いでした
「誰もが幸運を手にしたがるが、自ら追い求めるのはほんのひとにぎり。」(本文より)
がーん。ああ、ワタクシ、ただ幸運が降って来るのを待っておりました…がっくり。
純粋に物語としても、結構いい話です 童話って感じかな

それから、イワサキユキオ著・「Say Hello! あのこによろしく」
これは以前にも紹介しましたので、もう何も言うまい
是非!俄然!見て!読んで!読めばわかる!という感じです

私は割と活字中毒なので、他にも色々読んだのですが、
今手元にあったのはこれらの本でした
これだけで長過ぎるほど長くなってしまったのでやめておきます
来年も面白い本に出会えることを期待します

矢野顕子訳「しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる」

2004-12-26 00:45:19 | book
先日、ほぼ日刊イトイ新聞経由で購入した、マイラ・カルマン作、矢野顕子訳の絵本、
「しょうぼうていハーヴィ ニューヨークをまもる」が届きました
ほぼ日特典として限定1000枚の矢野顕子さん朗読CDと直筆サイン付きです

もともと絵本は好きで、本屋さんに行くと絵本のコーナーはよくチェックしています
でも、絵本ってけっこう高いし、なんでもかんでも買うわけにもいかないので選ぶのに困るんですよね
この本は「ほぼ日」で知って、マイラ・カルマンさん(kate spadeのカバンの絵なんかも描いている方)の絵も素敵だし、
矢野顕子さんが気に入って初めて訳したというものだし、
おまけに魅力的な特典まで付いてるなんて、
これは俄然買うべきだろうと思ってゲットしました
特典付きの1000冊分はすぐ売り切れちゃったみたいなので、私はラッキーでした

で、この絵本、予想以上にいいです
絵が素敵なのはもちろんのこと、お話もとても素晴らしい
そ、そんなはずでは…と思いながら、思わずなんだか感動して胸が詰まっちゃいました
あの9・11の事件の時に、ニューヨークで本当にあったお話を絵本にしたものです
それを、淡々とした、でも暖かい文章と鮮やかな絵で綴っています

そして、矢野さんの朗読CDがとてもいい!です
なんか、すぐそばで読み聞かせをしてもらってるような感じがして、
幸せな気分になれました 
CDは非売品なので、残念なことにこれを聞くのは近くに運良く持ってる人がいないと無理かもしれませんが、
絵本は書店で手に入ります オススメです

魔法の本、来たる

2004-11-30 21:25:14 | book
楽しみに待ち望んでいた本『Say Hello! あのこによろしく。』がようやく届きました
この数日、宅配便の人とすれ違いばかりでむなしく不在連絡票ばかりが増えていき、やきもきしていたのだけれど、
今日やっと手に取ることができました

一ページ一ページを、じっくり、ゆっくり、眺めながら、
でも一気に最後まで読み切ってしまった
「うまれて、ありがとう。」
まさにその通り
胸がいっぱいになりました

子犬たちと母犬の写真一枚一枚から自然に感じられる、
母犬の、子犬の、そして飼い主さんの、お互いを思いやる暖かな視線
何の疑いもなく信頼し合ってる様子
こんなにもゆるぎない、あふれんばかりの愛情
わああああ、私なんかが言えば言う程ウソっぽくなるのでこれ以上言わないけど
この本は本当に特別です
とにかく、子犬たちがえらいかわいい!
でも「かわいい」だけではない何か、がそこにいっぱいつまっているのです
うーん うまく言えなくてもどかしい
私の拙い表現力ではとてもこの本の良さは伝えきれません あな口惜し

これは、魔法の本です、とイトイさんが言っていた意味がよくわかりました
暖かい気持ちを思い出させてくれてありがとう
命の特別さ、美しさをこんなにも素直に感じさせてくれてありがとう
宝物をありがとう
…自分で言ってて気恥ずかしいけど、そういう気持ちです

12月10日から全国の書店にも並ぶそうですよ
是非一度手にとってみて下さい